こんにちは!

Sygnite Tokyoの小林です。 

 

春めきとセットの花粉症、そしてウクライナ情勢に涙する日々です。

不穏な世の中ではありますが、皆に等しく心の春が訪れますように。

 

 

 

さて、前回は「どんな建物が」「どういう理由で」許諾が必要になってくるのか,

というお話を、実務上のリスクヘッジと併せお伝えしましたが、今回は逆に「どういう時に許諾は不要なのか」ということを、法的側面からお話ししてみたいと思います。

 

 

テーマは「写り込み」です。

 

 

「写り込み」は割と手軽にすがりたくなる<著作権に抵触しない例外規定>ですが、

ここできちんと該当要因を確認してみたいと思います。

 

① 分離することが困難であるため、付随して対象となる著作物であること。

軽微な構成部分であること。

③ 著作権者の利益を不当に害さないこと。

 

 

一つ有名な裁判事例を。

「雪月花事件」と言います。

 

「照明器具のカタログに掲載されたモデルハウスの和室」という写真の中に、書の掛け軸が写っていたことについて、書道家が著作権侵害を訴えました。

 

裁判所の判断は以下の通りです。

「当該写真では、原作品の50分の1程度に縮小されて写っているに過ぎず、運筆の緩急と抑揚、墨色の冴えと変化、筆の勢いといった著作物としての本質的な特徴が再現されていないため「複製」にはあたらない。」

 

別の設定を考えてみましょう。

*対象となる物は著作権保護期間の著作物である前提です。

 

 

【タレントが公園の中を歩いているシーンを撮影したところ、園内にある彫刻作品や

目を引くデザインの建築物が背景に写っていた。また撮影中、新曲のリリースを宣伝するプロモーションカーが音楽を流しながら通り過ぎ、車体にはアーティストの肖像も描かれていた。】

 

 

該当要因に照らして考えてみます。

彫刻と建築物については、例えば画面の片隅に小さく写っている程度であれば、複製権の侵害にもならず、写り込みの範疇と考えられそうです。

プラス、屋外に恒常的に設置された著作物の原作品(ここでは彫刻作品や建築物のことです)については、別の規定で自由に使って良い事になっています。

(興味のある方は「公開の美術の著作物の規定(著作権法46条)をご確認ください)

 

また、音楽や車体に描かれた肖像も含めて本件のような著作物や肖像は、いわゆる「写り込み」に関する規定に基づき、付随対象著作物として映像に収録した上で利用することができると考えてよいと思います。

 

本当のところ、これらを写すはっきりとした意図がある場合は、①の要因を満たしていない可能性があります。「なんとか許諾を得ない方向」という意思が働いていないか(笑)、ここは一度冷静に検討してみてください。

 

実作業では、今回お伝えした「法的な側面」と前回の「実務的な配慮」と両方への留意をする必要があり、ケースごとに最適なバランスで対処することが大切なのだと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらもご参照ください。

 

文化庁HP: https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/utsurikomi.html

 

 

本日は、ここまで。

また次回をお楽しみに。

 

   

 

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