こんにちは!

Sygnite Tokyoの小林です。

 

あのミッキーマウスが本国アメリカで、昨年末を以ってついに著作権が切れ、パブリック

ドメイン入りしました!

アメリカの古い作品(1923年から1977年の間に発行された著作物)は、法人の著作物の

場合、発行後95年で著作権が消滅します。

ミッキーマウスのデビュー作は、1928年に公開されたディズニー制作の短編アニメーション『蒸気船ウィリー』 だと言われているので、2023年12月31日に著作権が切れました、と

いうわけです。

 

著作権が切れたのはオリジナル・ミッキーやと初期の映像のみですので、ご注意を!

                        『蒸気船ウィリー』ディズニー・スタジオ公式YouTubeより
  

それを受けて、さっそく映画2本、ゲーム1本の話題でアメリカのエンタメ界は賑わっている

ようですが、これがいずれもホラーテイスト(笑)。

長年、手の届かなかったアイドルに対する思いが、あらぬ方向に暴走しがちなのは、どなたも同じ、というところでしょうか。

まあ、単純に振り切った方が話題性があるから、という「今だけホラー祭り」かもしれません。

 

 

1月1日にトレーラー公開。

もう待てない感(笑)

ミッキーマウスがゲームセンターを襲う、

『MICKEY’S MOUSE TRAP』

2024年3月公開予定

(公式トレーラーより)

 

 

 

ご丁寧に蒸気船もフィーチャー。

サディスティックなネズミがフェリーの乗客たちを苦しませる!

(タイトル/公開時期未定)

(出典:画像をクリック)

 

 

サバイバルホラーゲーム

『Infestation: Origins』

(Official Reveal Trailerより

 

 

 

さて、そこで私たちが知りたいのは、日本でも著作権は切れたのか?

清水崇監督や中田秀夫監督の作品も観られるんじゃないか、いや、観たいのか?

 

 

「切れました!」と明言している情報を探してみましたが、見つからない!

こんなにアメリカでは盛り上がっているのに、です。

 

なんで、なんで?!

 

どうもそこには、日本の著作権法の複雑さが関係しているようです。

 

「そうなんだ、複雑なんだ」 ということをご理解いただくには、気は進まないながらも、

その複雑さを挙げていくしかないので、腹をくくってお付き合いください。

まずは、著作権法改訂の流れをみてみたいと思います。

 

 

 

 

【著作権法改訂の流れ】

 

 

  1) 【旧著作権法】

団体名義=公表から33年

個人名義=死後38年

 

  2) 【1970年改訂】  存続中の作品の保護期間が延びました。

「映画と団体名義作品」=公表から50年

「個人名義の美術」   =死後50年

 

  3) 【2004年改訂】  存続中の作品の保護期間が延びました。

映画=公表から70年

 

  4) 【2018年改訂】  存続中の作品の保護期間が延びました。

映画以外の著作権の保護期間は、一律20年延長。

______________________________

 

映画は、旧著作権法での保護の方が長い場合には、そちらを優先して適用

第二次世界大戦前のアメリカの作品は、保護期間が約10年5ヶ月プラス(戦時加算という)

 

 

 

これだけでも、なんだかなあ、ですが、これらの改訂の内容と合わせて、ミッキーは果たして

どんな著作物だと考えられるのか、という問題があるのです。

 

その問題とは、

 

「ミッキーマウスは、果たして映画の著作物(の一部)なのか、

はたまた、美術の著作物なのか」 です。

 

そして、さらにそれぞれ(映画or美術)について、団体名義なのか、個人名義なのか、

さらに、さらに(!)、個人名義の場合の著作者は誰なのか、を考える必要があります。

 

もう、へとへとです。

 

ミッキーは、<団体名義(=ディズニー社)の 「映画の著作物」である>とする場合が、

一番保護期間が短く、計算は以下のようになります:

 

 

・上記1)によって、1928年公開+33年=1961年

・戦時加算が加わるので、1972年まで延長。

・上記2)の1970年改訂時に保護期間が残っていたことになるので、公表後50年に

戦時加算を加えた1989年説。

 

 

ええ!アメリカより断然早く著作権切れてたよ。

でも、当時そんな話題、出てましたっけ?

 

 

最長は、映画とは別に、ミッキーが 「美術の著作物」 だった場合。

 

映画が製作される前に、ミッキーのキャラクターは生まれており、原画がありました。

そうであれば、脚本が映画とは別個に著作権で保護されるように、原画もまた、「美術の著作物」 として保護されるという考え方もできるのではなかろうか。

 

 

ところで、ミッキー誕生のいきさつなどについては、ディズニー社自身の製作によるドキュメンタリーで明かされており、それによると、なんとミッキーは、ウォルト・ディズニーではなく、

アブ・アイワークス(ディズニー創業初期にアニメーターとして活躍)が、ほぼ1人で創作した

そうなのです。

 

 

さて、話は戻って、ミッキーが美術の著作物であって、アブの創作であるとするなら、

 

・上記1)の死後38年プラス戦時加算(1972年+38年+10年)で、2020年。

・さらに、上記4)の2018年の改定を受け、アブの死後70年が適用されると、

 1972+70=2042年。

・そして、最後に戦時加算を一振りして、2052年まで存続する!!

 

 

 

なんと! 本国より長い保護期間。

もう、私に至っては生きていない可能性すら、あるではないですか。

 

誰か、ミッキーを、勇気をもって使ってくれないかな。

 

 

さて、話は大きな不安とともに盛り上がったところですが、実際、どうなのよ、という話は

次回に続きます。

 

だって、映画の著作権って複雑すぎるんですもの。

何が悪いって、旧著作権法と、次回に述べる映画の著作者はだれ?という問題に尽きます。

 

この辺りを次回に詳しく述べたいと思っています。

 

 

 

最後に、少し早くパブリックドメイン入りを果たした 「くまのプーさん」。

こちらも、めでたくホラー化してます、ということで、また次回!

 

 

 

                                               『Winnie the Pooh: Blood and Honey』

                                                          (出典:画像をクリック)


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