―パワーのある映像素材を使って、広告メッセージを効果的に伝えたい―

「映像のクリアランス」について

 

 

プレゼンで提案した有名な映画やドラマのワンシーンを使った企画の受けが良かった!

さて、その時皆さんは何を思いますか?

 

仕上がりのインパクトを想像して、ワクワク!でしょうか。

「高いのかな?」「スケジュールは間に合うのかな?」あたりでしょうか。

権利処理の実務にあたる方に至っては、未開の地に足を踏み入れる位の心持の方もいらっしゃるかもしれません。

 

 

「未開の地」とくれば、やはり「水先案内人」がいた方が何かと安心です。

 

案内人は、道中の危険地帯や搔い潜るべきポイントを加味しながら、目的地にたどり着けるようプランを練るところから始めます。

思い返せば遠足にすら「遠足のしおり」がありました。

 

 

さて、映像は複数の権利者が絡んだコンテンツです。

映像の権利元の許可だけ取ればいいんだよね、という方は今や、少数派かと思いますが、俳優、音楽あたりはまだしも、監督組合、脚本家組合、全米映画俳優組合(通称SAG)・・!!(海外のコンテンツの場合は配慮が必要です)となってくると「?」という方も多いのではないでしょうか。

 

実施したい企画には、どれだけの権利者の許諾が必要なのかを見極めることから始めると、予算や時間の確保がしやすくなります。

 

Audrey Hepburn’s name, image, likeness and trademark are the property of Sean Hepburn Ferrer and Luca Dotti. All rights reserved.Represented in Japan by Tohokushinsha Film Corp. and TMI Associates.

「ローマの休日」の有名なシーンを使用した広告です。

この素材を使用するには、どういった権利の許諾を得る必要があるか考えてみましょう。

取得しなければならない可能性のあるものを挙げてみます。

 

  • 映像の著作権
  • 音楽の著作権
  • 人物の肖像権(オードリー・ヘップバーン)
  • 真実の口の著作権

 

1.映像について:

この映画は日本においては「著作権保護期間が満了している」とされるため、自由に使用して問題ないですか?とよく相談を受ける作品です。

では本当に、映像の権利元にコンタクトは不要でしょうか。

 

実は、本広告では権利元の許諾を得ております。

今回のケースではありませんが、映像は著作権が切れていても、脚本家の権利は存続しているというケースもあり、早合点は禁物です。

また、著作権には著作者人格権という権利もあり、その中の一つに「同一性保持権」という権利があります。権利者の意に添わぬ改変は禁止できる権利です。

著作者人格権は、著作者の死亡によって原則的には消滅しますが、死後も一定の範囲で守られることになっています。

それゆえ、CMのように編集したものは許可を得る必要が生じてしまうこともあります。

 

ちなみに今回のケースでは、高画質な素材の手配が必要だったこともあり、映画会社にアプローチをしています。

 

2.音楽について:

今回は映画に使用されている音楽は使用せず、新しい曲を使用しています。

よって、正しくは音楽の許可ではなく「映画の改変」ということで、映画の方の権利に関係があります。「使わないこと」にも許可がいることはついつい忘れがちな点です。

 

3.人物について:

オードリー・ヘップバーンには息子が二人おり、内容によっては意見が割れてしまうこともあります。気になるポイントもそれぞれですし、居住国も違いますので、交渉時間帯もまちまちになり、その分制作物の承認作業も時間の配慮が必要です。

 

4.真実の口について:

今回は検証不要で進みましたが(リスクが低いことは検証済みです)、このように映像に映り込んでいるものは、一旦権利許諾の必要性について検証することも大切です。

 

今回は基本的なものだけ抜粋してご説明しましたが、他にもいくつも検討が必要なことがあり、映像の使用には様々な権利知識が必要であることがご理解いただけたかと思います。

 

本日はここまで。

次回をお楽しみに。

 

 

 

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