メールマガジン第35号

辛いとき、心の「治そうとする力」を信じよう ~木口マリのがんのココロ~

 いつもご愛読いただきまして、どうもありがとうございます。隔週の木曜日にお届けしています。

  サバイバーで写真家の木口マリさんは、闘病中に「子宮と卵巣と、それに付随するものをすべて取る」と言われたころ、踏切の夢を見たそうです。

 夕暮れ時、木口さんは1人、小さな踏切の前に立っていました。なぜか重く沈み込むような空気が漂っています。カンカンカン。金づちを叩くような警報音。気づくと、何もかも忘れて、フッと足を踏み出していました。

 轟音ととともに巨大な電車が現れ、目の前を勢いよく通り過ぎます。驚いて動くこともできず、心臓はバクバクでした。轢かれなくてよかった。安堵したのも束の間、何度も同じことを繰り返してしまうのです……。

 夢を通じて、自分の心の奥底がギリギリの精神状態であることを自覚したそうです。

 このとき木口さんは、「夢が無意識に心を整えてくれるのと同じく、人知れず心を回復させる能力が、人には備わっているんじゃないか」と考えたそうです。辛さに抵抗せずに身をまかせ、ある程度気持ちが落ち着くのを待ちます。水中に舞い上がった塵が、ゆっくりと湖底に沈んでいくのを待つように。

 心の「治そう」とする力を信じてみるのです。「心穏やかに」。木口さんの友人が贈ってくれた言葉です。優しい言葉ですね。気持ちが楽になります。

 
「何もできていない……」と思い込まないで ~がん相談ホットラインより~

 お母さんががん。でも、実家が遠いので、電話でのやりとりが精いっぱい。何もしてあげられていないからとても辛い……。

 ご家族からの電話では、こうした内容の相談がたくさんあります。お気持ちはよくわかります。でも、本当に何もできていないのでしょうか。決してそんなことはありません。この相談者は、電話でお母さんの気持ちをよく聴いていました。これも、十分家族としてできることの一つなのです。むしろ大切なことです。

 自分で気づいていないだけで、できていることはたくさんあります。 詳細はこちらで。
10月のイベント、ご紹介します

 秋はがん関係の学会がたくさん開かれる季節。イベントもいろいろあります。いつものように、 イベント欄でまとめました。ピンクリボンスマイルウオークや、サバイバーのボウリング大会、母子の健康について考える市民講座などがあります。どうぞご活用ください。

 11月3日には、日本対がん協会が東京国際フォーラムで「ウーマンヘルスケアラボ2018」を開催します。「大腸がん・乳がんセミナー」です。女性の死亡数トップの大腸がんは早期に適切な治療をすれば治る可能性が高い病気です。乳がんは11人に1人がかかります。これらについて、専門医がわかりやすく解説します。無料です。 お申し込みはこちらで。

 がんサバイバー・クラブのツイッターでは、随時がん関連のイベント情報をお届けしています。この機会にぜひ「フォロー」して、お見逃しなくイベント情報をお受け取りください。

癒しの空間

 毎月更新の「癒しの空間」、10月の花をアップしました。
 透き通った青空が広がる季節となりました。巻雲や刷毛雲が夢を誘います。高原や山の麓では、秋の花がそよ風に頭を左右に振っています。東北の八甲田山の麓ではでススキの穂がそよぎ、京都の福知山ではハナミズキの赤い実が朝霧に濡れています。

  写真と動画でお楽しみください。

スタッフ便り 瀬戸内寂聴さんを訪ねて

 日本対がん協会は11月11日、東京・有楽町で 創立60周年記念講演会を開きます。無料です。作家・僧侶の瀬戸内寂聴さんのビデオメッセージ、作家・作詩家のなかにし礼さんの記念講演、門田守人・日本医学会会長ら有識者4人によるパネルディスカッションなどが開かれます。

 9月19日、寂聴さんのビデオメッセージ収録で京都の寂庵を訪ねました。96歳なのに前日は徹夜という寂聴さん。すてきなお話をたくさん伺いました。エッセンスを スタッフ便りにまとめました。予告編のようなものですね。当日も是非、いらしてください。

編集後記

 今年のノーベル医学生理学賞が、京都大学の本庶佑(ほんじょ・たすく)特別教授と、米国テキサス大MDアンダーソンがんセンターのジェームズ・アリソン博士に決まりましたね。本庶さんの業績は、体内の異物を攻撃する免疫細胞の表面に「PD-1」という免疫の働きを抑える分子を発見したこと。それが、オプジーボ(小野薬品)やキイトルーダ(米メルク)などの免疫チェックポイント阻害薬の開発につながりました。

 現在、免疫系の薬は、国内外で1000種類も治験が進んでいるそうです。対象も、非小細胞肺がん、胃がんなどに広がっています。今は効果のある患者さんが限られていますが、遠からず、「薬を飲めばがんが治る」日が来る気がします。人類は結核を乗り越えたのだから。

 

2018年10月4日

がんサバイバー・クラブ メルマガ編集委員 中村智志

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