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「病院からの帰り道、車の中で涙が止まらなくなりました」。2年ほど前、珍しいタイプの悪性リンパ腫と診断された山川孝雄さんは、治療の副作用で食事が困難になってしまいます。
特につらかったのが、口内炎。口も開けられないほどの痛みでした。口の中が乾くドライマウスにも悩まされます。
それでも、口から栄養をとることにこだわりました。最初の救いはアイス。だんだんと食べられるものが増えてきて、ついに、宮城県で育った少年時代によく行った中華料理店のラーメンにたどり着きます。
ごく普通のラーメンに、「アツアツで、胸が熱くなりました」と言います。山川さんにとって、快復を実感できた思い出の一杯なのでしょう。
もともと糖尿病でもある山川さんの最近のお気に入りは、糖質控えめの「野菜たっぷり焼きそば」。野菜は鍋にふたをして、弱火でじっくり蒸すそうです。
食事は自炊が基本。「いつか、大好きな麻婆豆腐が食べられるようになりたい」と夢を語る山川さん。食の探求の軌跡は、「できる限り普段どおりの食事をしたい」というごくあたりまえの希望を訪ねる旅でもありました。