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「今日でお別れ」「北酒場」「まつり」などのヒット曲、直木賞を受賞した『長崎ぶらぶら節』、『赤い月』『兄弟』などのベストセラー小説で知られる作家・作詩家のなかにし礼さんは、2度のがんを経験したサバイバーです。
最初は2012年、食道がんになりました。手術を勧められましたが、心筋梗塞を抱え心臓が長時間の手術に耐えられそうにないため、断ります。
「ゆっくり死ぬか」と緩和病棟に入ったものの、そこで受けた抗がん剤、放射線が合わず、すぐに退院。夫婦で懸命に探して、陽子線治療にたどり着き、治しました。
しかし、3年後に再発。食道の近くのリンパ節にできたがん細胞が気管支にピッタリくっついていて、気管支の被膜を破ると、「多臓器不全で生きられて5日」という状況でした。
手術を試みるも、がんは取れない。そんな土俵際で、なかにしさんが始めたことは連載小説の執筆でした。最終的には、外科医のある閃きも功を奏し、完全寛解します――。
なかにしさんは、まな板の鯉で医師任せにせず、自分で勉強し、判断し、選択してきました。
「じたばたするな」ではなく、「じたばたしよう」。その先に人間的な成長がある。
「がんになった後の自分のほうがはるかに好き」と語るなかにしさんのメッセージや矢沢永吉さんとの交流まで詰まった、9月のがん征圧全国大会における講演を採録しました。