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「人生会議」をご存じですか? 「人生の最終段階に望む医療・ケアについて前もって話し合っておく」取り組みの愛称です。2019年11月に厚生労働省が、お笑い芸人の小籔千豊さんをモデルに作成したポスター、と聞けば思い出す方もいらっしゃるでしょう。
ポスターは、小籔さんが鼻にチューブを入れた状態でベッドに寝ている写真に、「命の危機が迫った時、想いは正しく伝わらない。」のキャッチコピーと、「まてまてまて」で始まり、「こうなる前に、みんな『人生会議』しとこ」で終わる文章が添えられています。
「不安をあおる」などの声が出て、配布は中止になりました。国のがん対策推進協議会の委員も務めた、認定NPO法人「希望の会」の轟浩美さんも、厚労省に意見書を送った1人です。メディアでコメントが報じられると、「寛容になれ」などの批判が来ました。
でも、轟さんは短絡的に疑問を呈したわけではありません。ケアの限界を超えてしまい、自宅で送りたかった夫の哲也さんを、病院の一般病棟で看取りました。理想と対極の形なのに、病院だからこそ得られた穏やかな日々がきらめき、今も支えになっています。母を火事で、父を突然死で亡くした経験も踏まえて、「本当の人生会議って何だろう」と考えました。