メールマガジン第68号 「やってみる」の精神で「純粋においしい」に辿り着き、余命は彼方へ
~脳腫瘍になって~

 いつもご愛読いただきまして、どうもありがとうございます。隔週の木曜日に発行しています。

 

 1968年生まれの山口秀司さんにとって、突然の脳腫瘍でした。手術は診断の2日後。「呼吸がいつ止まってもおかしくなかった」と医師に言われたそうです。脳腫瘍のなかでも重く、グリオーマ(神経膠腫)のグレード4(グリオーマでは、ステージの代わりにグレード=悪性度を使う)。余命約2年と宣告されました。2016年3月のことです。

 

 思えば、その4カ月ぐらい前から頭痛が続いていましたが、夫婦で両親と訪れた伊豆の温泉旅館で倒れるまで、想像もしていなかった事態です。手術、1カ月半の放射線、1年半の抗がん剤と進みます。ひどい便秘などにも悩まされました。

 

 そんな中で、秀司さん、真弓さん夫妻の食生活は一変しました。自宅を訪れると、赤ジソのやさしい色に染まった梅干し、花梨のはちみつ漬け、手作りのごぼう味噌などが並んでいます。玄米、野菜を中心とした生活。体調がよくなることを実感したそうです。

 

 義務感で始めたわけでも、ほかの食材を否定しているわけでもありません。「やってみる」の精神で試したら、山口さん夫妻に合ったそうです。「純粋においしい、と思えたのがうれしい」と秀司さん。料理の楽しさにも目覚めたようです。再発もなく、現在は、体調に配慮した形で職場復帰しています。いつの間にか、余命も彼方に去りました。

 
あなたに合うレシピを見つけませんか ~がんサバイバーキッチン~

 がん経験者やご家族らに投稿いただいたレシピを、株式会社おいしい健康の管理栄養士が実際に作ったうえで掲載しているのが、がんサバイバーキッチンです。

 

 山口秀司さん夫妻の「すりごぼう入りのおみそ汁」も載っています。最近ならフルーツサラダも目を引きます。投稿者が住んでいたケニアの飲食店の定番メニューとのことです。味覚の変化などに苦しんだ抗がん剤治療中に作って食べたら、生き返ったそうです。

 
「ごめんね」を「ありがとう」に ~がん相談ホットラインの現場から~

「家族に申し訳なくて……。ごめんねって謝ってばかりで……」

 抗がん剤の副作用で、家事や家庭の用事などを夫や子どもに手伝ってもらっている相談者の言葉です。迷惑をかけている、という負い目があるのでしょう。

 

 一方で、「力になりたい」側の家族は、謝罪で寂しさを感じることもあります。それなら、発想を変えてみましょう。詳しくはこちらで。

 
腸閉塞が私にやってきた 〜木口マリの「がんのココロ」~

 前回、腸閉塞で運ばれたときに接した救急隊の驚きの発見を書いた木口マリさん。今回は、腸閉塞体験そのものに切り込みます。
 とんでもない激痛で、人の顔も判別できないぐらいだったそうです。それなのに、たった一人見えたのが、超が付くイケメンの先生。

 

 緊急手術に踏み切る前、超イケメン先生が木口さんにかけた魔法の言葉とは? こちらからどうぞ。

 

 

 

 
「まだまだ修行不足だな」 ~かみうせまゆの「忘れえぬ患者さんたち」~

 がん化学療法看護認定看護師のかみうせまゆさんの患者さんに、60代半ばの市民ランナー、前立腺腫瘍のTさんがいました。若いころはマラソンもしていたそうです。

 

 かみうせさんもランナーで、大会で好タイムが出て喜んで報告すると、「まだまだ修行不足だな」とニヤリ。転移による圧迫骨折になっても、元気なときにジョギングを楽しむTさんからは、がんサバイバーの生きがいについて学べます。こちらです。

 
「がんの骨転移による痛みの治験」のご案内

 現在、製薬会社のファイザー株式会社では、がんの骨転移に伴う患者さんの痛みを軽減するためのお薬の開発を進めており、オピオイド鎮痛薬(モルヒネ・フェンタニル・オキシコドン・タペンタドールなど)を使用していても、がんの骨転移に伴う痛みが中等度以上ある、18歳以上の患者さんを対象とした治験を実施しています。

 

▼まずは詳細をご確認ください

https://www.pfizer.co.jp/pfizer/development/clinical_development/announcement/boshu/cp/index.html?utm_source=gsclub&utm_medium=email&utm_campaign=pr5

 ※ファイザー株式会社のページへのリンクです。

編集後記

 昨秋から、順天堂大学名誉教授の樋野興夫先生を取材しています。「がん哲学外来」を提唱し、これまでに数千人のサバイバーや家族らと面談してきました。「病気であっても、病人でない」「ほっとけ、気にするな」「八方ふさがりでも天は開いている」……。

 

 見本市のように贈られる言葉が、心を明るくします。樋野先生の人物ルポが、2月17日発売の週刊誌「アエラ」(朝日新聞出版)に載ります。ご覧いただければ幸いです。

 日が長くなってきましたね。いろいろありますが、春は近づいてきています。

 

2020年2月13日

がんサバイバー・クラブ メルマガ編集委員 中村智志

 

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