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1968年生まれの山口秀司さんにとって、突然の脳腫瘍でした。手術は診断の2日後。「呼吸がいつ止まってもおかしくなかった」と医師に言われたそうです。脳腫瘍のなかでも重く、グリオーマ(神経膠腫)のグレード4(グリオーマでは、ステージの代わりにグレード=悪性度を使う)。余命約2年と宣告されました。2016年3月のことです。
思えば、その4カ月ぐらい前から頭痛が続いていましたが、夫婦で両親と訪れた伊豆の温泉旅館で倒れるまで、想像もしていなかった事態です。手術、1カ月半の放射線、1年半の抗がん剤と進みます。ひどい便秘などにも悩まされました。
そんな中で、秀司さん、真弓さん夫妻の食生活は一変しました。自宅を訪れると、赤ジソのやさしい色に染まった梅干し、花梨のはちみつ漬け、手作りのごぼう味噌などが並んでいます。玄米、野菜を中心とした生活。体調がよくなることを実感したそうです。
義務感で始めたわけでも、ほかの食材を否定しているわけでもありません。「やってみる」の精神で試したら、山口さん夫妻に合ったそうです。「純粋においしい、と思えたのがうれしい」と秀司さん。料理の楽しさにも目覚めたようです。再発もなく、現在は、体調に配慮した形で職場復帰しています。いつの間にか、余命も彼方に去りました。