メールマガジン第79号
あきらめなければ奇跡も起きる
 吉野やよい著『涙の向こうに花は咲く』からのエール 
~金井一弘の「読み逃したくない1冊」~ 
あきらめなければ奇跡も起きる 
吉野やよい著『涙の向こうに花は咲く』からのエール 
~金井一弘の「読み逃したくない1冊」~


 吉野やよいさんの背中には褥瘡の痕、脇から下には手術の痕があります。それらが気になって結婚をあきらめていましたが、恋人ができて、思い切って背中の傷を見せました。

 

「大変だったんだね。やよいちゃんが思っているよりきれいだよ」と彼。そのとき、吉野さんは、かつて母が語ってくれた言葉を思い出します。

「いつかきっと、この傷を見ても、怖いとか言わない人に会えるよ。あなたが思っているよりも世界はずっと広くて、いろんな人がいるんだよ」

 

 吉野さんは1989年、沖縄県那覇市で生まれました。10歳の時、主に小児や若い人が発症するユーイング肉腫と判明します。以来、東京や沖縄で治療を受けます。人工呼吸器を装着したまま2か月間も昏睡状態に陥ったり、肋骨3本を切り取って腫瘍を切除する難手術を受けたり……。

 

 6年間の闘病を経て、MRI画像診断で再発は見られないと告げられました。後遺症に悩まされつつも、ときに周囲にカミングアウトしながら社会人として歩んでいます。

 

 そんな吉野さんの著書『涙の向こうに花は咲く』を、闘病記出版に携わって20年以上の星湖舎・金井一弘さんが書評しました。あきらめなければ奇跡も起きる。吉野さんの軌跡は、がんと向き合う人々へのエールかもしれません。

「もう頑張れない」から ~佐々木常雄の「灯をかかげながら」~


 都立駒込病院名誉院長の佐々木常雄先生の連載です。

 
 佐々木先生は以前、乳がんで再発を繰り返していたBさん(45)から、「私、もう頑張れません」と言われて言葉に詰まります。

  
 その後、ゆっくりお話を伺うと、Bさんは「(つらさを)分かっていただいてありがとうございます」とホッとされます。やがて調子が良くなり、退院することに。帰る準備ができて娘さんと一緒にいるBさんに、佐々木先生が思わずかけた言葉とは? こちらです。

 
「マスクと熱中症」にどう対処する? 
~かみうせまゆの忘れ得ぬ患者さんたち~


 
梅雨明けが見えてきましたね。気になるのは「マスクと熱中症」の関係です。

 

 もし熱中症になったり、熱中症の人を見かけたりしたらどうしたらいいのか? がん化学療法看護認定看護師としての解説と、熱中症になった患者さんたちの今となっては懐かしい思い出を綴りました。こちらからどうぞ。

 

 
雪だるまを大きくしないために ~がん相談ホットラインの現場から~


 
新型コロナウイルスのことが最優先。世間にそんな空気が広がる中で、日本対がん協会のがん相談ホットラインに電話をかけてくる相談者の方たちも、「こんな時に、こんな事くらいで電話してしまってすみません……」などと遠慮がちです。

 

 でも、この瞬間だって、治療や副作用、生活のことなどで悩んでいる方は大勢います。不安の雪だるまを大きくしないで。ホットラインからのお願いです。

 

医学生がやってきた! ~木口マリの「がんのココロ」~


 そっと残しておきたい出会いはどこに潜んでいるかわかりません。

 木口さんの場合、入院中、医学生S君との出会いがそうでした。がん患者を受け持つ実習で来ていた、見るからに柔和そうな青年。がんの経緯や気持ちなどを尋ねられ、意識して、患者目線で語ります。やがて話題はさまざまに広がっていきます。

 

 実習の期限が迫り、ここでお別れになってしまうのか……!? 木口さんが取った行動、S君の反応には、思わず胸キュン(若い人は言わないですね、たぶん……)です。



4連休、料理に挑戦しませんか ~がんサバイバーキッチンより~


 明日から4連休という方も多いでしょう。せっかく時間があるのだから、夏の料理に挑戦しませんか。

 

 がんサバイバーキッチンでは、今日もたくさんの投稿レシピを掲載しています。暑い夏にぴったりの簡単豆腐丼、斬新な納豆包み焼き、見た目も涼しげなカラフルフルーツでヨーグルトバーク……。是非どうぞ!

編集後記


 先週の土曜日、『緩和ケア医が、がんになって』の著者、大橋洋平先生にZoomでインタビューしました。雑談も交えて3時間少々。初対面でしたが、自然体で進められました。

 

 2分割の画面の片側に自分の表情が映っていて、自分の反応がリアルタイムでわかるので、不思議な気分になると同時に、期せずして、ちゃんとお話を聞けているかのチェックにもなりました。最後は、「いつの日かリアルで会いましょう」と盛り上がりました。

 

 新型コロナウイルスの時代だからこその体験ですね。よく「コロナ禍」と言われます。しかし、コロナによる「気づき」もたくさんあり、社会のあり方という意味では、時計の針が進むかもしれません。決して「禍」だけではないでしょう。そう考えるようにしています。

 まもなく暑い夏。みなさん、どうぞご自愛くださいませ。

 

 

2020年7月22日

がんサバイバー・クラブ メルマガ編集委員 中村智志

 よろしければぜひこのメルマガをご友人、ご家族など、興味を持っていただけそうな方に共有いただけますと幸いです。無料講読フォーム、過去のアーカイブは以下のリンクからご覧いただけます。
正しく表示されない場合はこちら

がんサバイバー・クラブ運営委員会(公益財団法人 日本対がん協会),
https://www.gsclub.jp/,
東京都中央区銀座7-16-12 G-7ビルディング9階


配信停止 | 登録情報更新 | 迷惑メールと報告する