メールマガジン第84号 

1382人の「生の声」から見える「食の本音」 

~「がん患者さんの食と体重減少に関する調査」報告~

1382人の声から見える「食の本音」 
~食と体重減少に関する全国アンケート報告~

  日本対がん協会では、がん情報サイト「オンコロ」の協力も得て、インターネットで全国アンケート調査を行いました。京都府立医科大学大学院医学研究科の髙山浩一教授が監修しています。

 

 回答者は1382人(がん患者さん1168人、家族214人)。報告書では、統計データと同時に、「生の声」もたくさん載せました。

 

 がんになって、5割近くの方が、体重が減っています。

 

「食欲がわかず10キロほど減少した。心配してもらうとよけいプレッシャーに感じた」(乳がん、50代女性)

 

「食道全摘で、体重が減少したままで、飲み込みも少し辛い。空気も飲み込むので苦しいのが1日中続く」(食道がん、50代男性)

 

「自分の料理が原因で嘔吐の苦しみを与えているふうに感じてしまい、夫を見るのが辛い」(胃がん、30代女性、家族)

 

 体重減少で悩む人の44%が、疲れやすく、活動が制限されています。

 

 全体の半数以上が、以前より食事に関する情報収集をしています。ただ、医療者に相談しても具体的な回答を得られず、「自分で解決しなくてはいけないと思った」という方も目立ちました。

 

 アンケートでは、治療中においしかったレシピ、家族と患者のすれ違い、感謝のメッセージなども聞きました。

「流動食からのスタートだったので、固形物を食べた時はすべての食材に感謝!」(頭頸部がん、50代男性)
 
 課題を浮き彫りにし、解決の第一歩にしたいと考えています。

 ご協力いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

 

連載50回記念 “最も読まれた記事”ランキング 
~木口マリのがんのココロ~

 2018年3月にスタートした木口マリさんの連載が50回を迎えました。あるときは実践的な情報、あるときは琴線に触れる心の持ちよう、などを包み隠さずに書いてきました。今回は、感謝を込めて、人気記事ランキング Top 10を紹介します。

 

 第3位は「脱毛を楽しむススメ〈脱毛・其の二〉」、第2位は「“教科書”にない入院持ち物リスト」。栄えある第1位は……こちらです。第4位以下も必見です!

  

 6月開催を見送ったジャパンキャンサーサバイバーズデイ(JCSD)2020で予定していた「アピアランスケア」のウェブ動画配信です。東大病院がん相談支援センターの分田貴子先生が、①ウィッグ編、②傷痕のカバー編に分けて、わかりやすく解説しています。

 

 ①では、ウィッグは焦って準備しなくていいこと、毛質を選ぶときのコツ、助成金制度、自然に見せる方法、子ども用やAYA世代用などについて。②では、肌の気になる部分をファンデーションで目立たなくする方法を、実際に塗る映像も見せながら伝授します。

 

やりたいことをあきらめない ~小児がんサバイバー体験談~

 JCSD2020の動画です。5歳で神経芽腫を発症した大学1年生の浦尻一乃さんの体験談を、①修学旅行で沖縄へ、②いかだ流しの想い出、の2編でお伝えします。

 

 治療の影響で排泄のコントロールが難しい一乃さんは、高校2年の沖縄への修学旅行を前に、みんなと一緒のバスで移動したいという思いをSNSで発信します。その結果、思わぬ展開が……。高1のときのいかだ流し(一列に並び中腰でかがんだクラスメートの背中を1人が歩き、スピードを競う)のちょっぴり甘い秘話ともどもご覧ください。

 

一緒に食べられて気分転換 ~豆腐白玉の黒みつがけ~

 

 がんサバイバーキッチンでご紹介したレシピです。投稿した方は、直腸開腹手術後、おやつで栄養を補っていた時期がありました。そのころに作ったのが、豆腐白玉の黒みつがけ

 

 消化がよくエネルギーがとれるだけでなく、家族やお客様と一緒に食べられて気分転換になったそうです。幸せレシピをどうぞ。

 

乳がん検診は「自分事」 ~がん相談ホットラインの現場から~

 10月は「乳がん月間」。「胸が小さいから関係ないと思っていた」、介護や子育て、仕事などで余裕がなかった……さまざまな事情で、検診を受けない方がいます。ホットラインには、乳がんが見つかった方たちからも、検診を受けて良かったという声が届いています。

 

外国でがん告知・治療を受けるということ
~かみうせまゆの「忘れえぬ患者さんたち」~

  サラさんは29歳の新婚さん。乳がんの手術後、再発予防のため抗がん剤治療を受けていました。ある日、いつも通訳をしてくれる日本人の夫が仕事で付き添えず……。主治医や看護師が必死で英語でコミュニケーションを取り、彼女のつらい心をほぐしました。

 

 異国の地で抗がん剤治療を受けるのは孤独なもの。外国人の患者さんたちの揺れる心を描き、言葉の壁を越える医療に思いを馳せます。

 ひとりの一歩が患者支援に
~セルフウォークリレーを始めませんか~

  残念ながら、今年はリアルなイベントがほとんど中止になってしまったリレー・フォー・ライフ・ジャパン。代わりに開催するのが、セルフウォークリレー(SWR)です。

 

 参加費1000円(がんサバイバー500円)。専用アプリをスマホに入れると、歩いた歩数に応じて、当企画に賛同した企業などが寄付してくださる仕組みです。

 ご寄付は、がん相談ホットラインで7500人の無料電話相談を受けるための運営資金に使わせていただきます。秋はウォーキングに適した季節。この機会にSWRを始めませんか?

 編集後記

 ドキュメンタリー映画の監督、野澤和之さんに依頼されて、YouTubeで配信される動画に出演しました。「映画『がんと生きる 言葉の処方箋』応援チャンネル」です。

 

 出演する人は、好きな言葉を挙げて、それについて語ります。1本5分前後で、私が出たのは47本目。「八方塞がりでも天は開(あ)いている」という言葉を挙げました。違うジャンルで命と向き合っている2人の方から聞いた言葉です。

 

 どの動画も思いやストーリーが凝縮されています。

 

 一気に寒くなりましたね。10月の花をお届けします。秋の七草のフジバカマ(藤袴)、秋に咲くジュウガツザクラ(十月桜)などをお楽しみください。

 

2020年10月9日

がんサバイバー・クラブ メルマガ編集委員 中村智志

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