◼︎ Column 工房長のサイケデリックな日々 Vol.27
テーマ「石巻工房と海外」
最近、何かと海外に出る機会が多くなった。
バケーションではなく、全て仕事というのは悲しい事ではあるのだけれど、
見知らぬ土地に赴き、
そこの空気を感じる事は刺激的でもあるし、
ともすれば、ネガティブな気持ちに傾きかける自分をポジティブにさせてくれる出会いがあったりして非常に興味深い。
その反面、
私の英語力が一向に上達しないのは嘆かわしい。
海外(外国人)といえば、
何をしても「ザックリしてんなぁ」と常日頃思っていた。
先日も、
「8時に池袋で会いましょう!」
と、とある海外のお客さんに提案された飲み会があったのだが、
肝心の場所や店の名前を全く聞こうとしないし、聞いても答えてくれない。
「池袋で!IKEBUKURO ! 」としか言わない。
こんな私でも、池袋の駅が石巻駅よりも大きいのは知ってるし、
新宿駅に次いで日本で2番目に乗降人数が多い駅だとも知っている。
さて、そんな場所で待ち合わせなどというものが出来るのか?
だがとても不思議な事に、
駅周辺でウロウロしていた私を、
「Hi, Chiba-San ! 」と向こうが見つけてくれた。
それが、神ががっているのか、デフォルトなのかは全くわからないのであるが...
そんな話を海外駐在員として20年あまり過ごしてきた友人に話すと、
「キッチリしてるのって、逆に日本人だけなんだよ」と教えてくれた。
つまり、
日本人だけがキッチリしていて、
それ以外の世界の人は大抵「ザックリ」なのだそうだ。
ついでに、
ザックリとしつつも、要点は押さえるという、
海外の人とビジネスをする時はそれなりのコツがある事もあると言うことも教えてもらったが、
逆に、外国人に対して、
「ザックリで良いよ (for about it)」と言うと、
全く理解されないという話も教えてもらえた。
「ここまでやってくれ」と言われればやるけれども、
それ以外は言われていないからやらない。という具合だ。
だから、日本人が言う、
「適当にやっといて!」「うまくやっておいて!」「だいたいこんな感じで!」
は外国人に対しては全く通用しないという事も学ばせてもらった。
さて、
そのザックリさにかけては、
共同代表でもある芦沢はどちらかと言うと外国人の感覚に近い。
一緒に行った香港で、現地のデザイナーと知り合い、
これまたザックリとした内容でカフェの契約をまとめ上げてしまった。
もっとも、
ビジネスを進める上での細かい仕事はこちら側なのだが...
だが、
この事は特出して見習うべきであるし、
その感覚がなければ、単に真面目な日本人で終わってしまうだろう。
そこに商機を見つけて、
挑んでいくのは今後の石巻工房にとって一つの方向性となるのは間違いない。
彼のお陰で、
香港での販売特約店でもあるGALLEONというお店の店内カフェの椅子とテーブルは石巻工房の製品を使ってくれることになった。
今後の展開として、
香港のデザイナー達との新しいプロジェクトも視野に話を進められている。
立て続けに訪れたフィリピンでも、
いよいよ本格的に「メイドインローカル」が動き始めた。
もとは今年で3年続いてる、
ジャパンファウンデーション(国際交流基金)主催のDIYワークショップのプログラムではあるが、
そこで知り合ったカメラマンの奥様がフィリピンで家具製造に関わっており、
その流れでメイドインローカルinフィリピンが動き出したという訳だ。
これもまた、ザックリさがとりもつ形でのプロジェクトである。
フィリピンでのワークショップをもう少し具体的に語らせてもらえば、
3年という時間を経て、
毎年確実にクオリティが上がってきているプロジェクトになってきている。
DIYで問題を解決するというお題に対して、
地元でデザインを学んでいる学生達と、
既にプロフェッショナルとして社会に携わっている人々との取り組みが、
やがて地域の問題を解決していくという壮大な流れに直結していく構図。
この流れが世界に拡がっていくための1つのコンテンツとして、石巻工房がある。
という事実が我々の存在意義にもなるのではないかと思う、
今日この頃なのである。