しまねソフト研究開発センター  ITOC Newsletter #39(2021.5.11

iPhone12 ProLiDARスキャナから点群データ取得 → AR表示

 

ITOC実証レポート

 

現実の都市や社会などの物理空間すべてが縮尺11でデジタル化された鏡像世界=「ミラーワールド」という言葉を近年多く耳にするようになりました。今回、ITOCが実施した「iPhone12 ProLiDARスキャナを使った点群データを取得からARを表示するまでのプロトタイプ検証」について、ITOCのWebサイトにて実証レポートを公開しました。 

執筆者:ITOCminiLabメンター(ミニマルエンジニアリング代表 石倉 淳一 氏)

今回のNewsletterでは、そのレポートの概要をお伝えいたします。ぜひ、本編の実証レポートもご覧ください。

 

「ミラーワールド」とは、複数人によるリアルタイムでの共有が可能な、現実世界にあるすべての土地、道路、建築物、部屋等の3Dデジタルコピーと言われています。つまり、現実世界の存在すべてにバーチャルなデータが紐づけられて、現実世界の対として3Dデジタルコピーが存在することを意味しています。これは、デジタルツインというキーワードで、3Dデジタルコピーによって物理空間の環境を再現し、あらゆるシミュレートを行って将来を予測することに役立つ新しい技術としても注目を集めています。

 

今回、実施したプロトタイプ製作では、実際にテーブル上のモノをLiDARでスキャンし、同じテーブル上にデジタルオブジェクトとして置いてみました。iPhone 12 Pro iPad Pro(第4世代)に搭載されているLiDARは最大5mの奥行きが計測出来るとされています。部屋一面の空間を瞬時にスキャンできる規模になります。またARとして表示する際にも、LiDARでテーブルの表面を高精度に認識することでデジタルオブジェクトがそこへ置かれているかのように自然に表示されています。

 

実際にやってみて、LiDARを使って空間の情報を取得することやそれを利用することも驚くほど簡単になってきていると実感しました。iOS14ARKit4LiDARで計測した深度情報にアクセスできるAPIが用意され、またUnityのようなツールを使った開発の選択肢があることも敷居を下げてくれています。周囲の物理的な環境を高精度で理解できることで、バーチャルオブジェクトを本当にリアルに物理空間に溶け込ませる事ができるようになったと感じました。

 

こういった技術は、例えば、今後は街中で街路や建物に必要な情報を注釈付けることができたりするなど、スマートフォンのように日常的なデバイスにスキャナが搭載されると、誰もがデジタル世界の利用者になるのと同時に、現実世界の3Dデジタルコピーの作成者にも成り得るということになります。そしてその結果場所やモノさえも機械が読み取れるようになり、AI活用などコンピューティングの利用範囲が今以上に広がるものになると思われます。高価な機材や大掛かりな装置が無くても、日常に使用しているスマートフォンにLiDARが搭載されたのは、それを実現する大きな一歩と感じました。

 

このようにITOCでは今後も先端的な技術をいち早くキャッチし、それがビジネスに活かせないかという観点で実証実験等に取り組んでいき、県内企業の皆様へフィードバックしていく活動を行ってまいります。

 

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