経済産業省が発表した「DXレポート2」では、「ユーザー企業とベンダー企業の共創の推進」の必要性が示されました。そして、将来的にはユーザー企業とベンダー企業の垣根が無くなっていくという究極的な産業の姿が実現されるとの方向性も示されました。
そして、R3.8.31に発表された「DXレポート2.1」では、より踏み込んだ分析が示されました。例えば、ユーザー企業とベンダー企業の現状と変革に向けたジレンマ。既存産業の業界構造は、ユーザー企業は委託による「コストの削減」を、ベンダー企業は受託による「低リスク・長期安定ビジネスの享受」という一見Win-Winの関係性に見える。しかし、多くの場合、両者はデジタル時代において必要な能力を獲得できず、デジタル競争の敗者となる「低位安定」の関係性となっているのが現状だとしています。
レポートの中では、既存産業の企業がデジタル産業の企業へと変革していくうえで、いくつかのジレンマについて説明しております。
◆ユーザー企業・ベンダー企業にとってのジレンマ
◇危機感のジレンマ
・目先の業績が好調のため変革に対する危機感が無い。
・危機感が高まったときはすでに変革に必要な投資体力を失っている。
◇人材育成のジレンマ
・技術が陳腐化するスピードが速く、時間をかけて学んだとしても、習得したときには古い技術となっている。
・即座に新技術を獲得できる人材は引き抜かれてしまう。
◆ベンダー企業特有のジレンマ
◇ビジネスのジレンマ
・受託型ビジネスを現業とするベンダー企業が、ユーザー企業のデジタル変革を伴走・支援する企業へと変革しようとすると、内製化の移行により、受託型ビジネスと比べて売上規模が縮小する。
・ベンダー企業がユーザー企業をデジタル企業へ移行する支援を行うことにより、最終的には自分たちが不要になってしまう。
DXレポート2.1では、上述のような分析のもと、デジタル産業の姿と企業変革の方向性、変革向けた施策の方向性について記載されています。ぜひ、一度、ご覧になられればとご案内いたします。