しまねソフト研究開発センター  ITOC Newsletter #55(2021.9.7

ITOC共同研究レポート

 

~ 機械学習を用いた産業用スイッチ製造過程における誤判定低減の検証 ~

しまねソフト研究開発センターでは、株式会社出雲東郷電機と「産業用スイッチ製造過程における誤判定低減」というテーマで共同研究を行いました。製品組み立て中の画像検査において、良品を不良品として検出するαミスが多発していることから、機械学習によってαミスの発生を低減させることができるか検証を行いました。

 

1.共同研究テーマ

 「産業用スイッチ製造過程における誤判定低減」

2.共同研究先

 株式会社出雲東郷電機

 しまねソフト研究開発センター(担当:木村 忍 専門研究員)

3.実施期間

 令和2年76日~令和2年1231

4.共同研究の内容

(1)機械学習を用いて画像検査におけるαミスの検出

本取り組みにおいて、検査機のハードウェアは変えずに、不良検出に設定するパラメータを分析し、最適な値を提案するという方法を検討しました。しかし、αミスかどうかを常に人が判断する作業が必要であり、人員の教育・不良識別の技能レベルの維持が不可欠となること、また画像検査の結果をオンラインで取り出すことができずαミスが発生した後での対応となることから、この方法では現状と変わりがなく、不十分な事が分かりました。

 (2)機械学習による画像検査検出パラメータの最適化

画像検査において不良と判断する状態には6種類の不良モードがあり、部品の欠損や組み立て位置の誤りなど、明らかに不良と判断することができる5種類は不良画像から93%の正答率で判別出来ることが確認できました。しかし、人間が介在せずに自動判定するには、まだ正答率が低い状態がある。学習する画像枚数を増やすこと、分類判定方法や順序を変えること、画像の特徴ある一部を切り出すこと、など学習方法を改善することにより、さらに正答率が上がると予想されると思われます。

 

レポートは、ITOCWebサイトで公開しておりますので、「詳しくはこちら」からご覧ください。

DXレポート2.1(経済産業省)

経済産業省が発表した「DXレポート2」では、「ユーザー企業とベンダー企業の共創の推進」の必要性が示されました。そして、将来的にはユーザー企業とベンダー企業の垣根が無くなっていくという究極的な産業の姿が実現されるとの方向性も示されました。

 

そして、R3.8.31に発表された「DXレポート2.1」では、より踏み込んだ分析が示されました。例えば、ユーザー企業とベンダー企業の現状と変革に向けたジレンマ。既存産業の業界構造は、ユーザー企業は委託による「コストの削減」を、ベンダー企業は受託による「低リスク・長期安定ビジネスの享受」という一見Win-Winの関係性に見える。しかし、多くの場合、両者はデジタル時代において必要な能力を獲得できず、デジタル競争の敗者となる「低位安定」の関係性となっているのが現状だとしています。

 

レポートの中では、既存産業の企業がデジタル産業の企業へと変革していくうえで、いくつかのジレンマについて説明しております。

 

◆ユーザー企業・ベンダー企業にとってのジレンマ

◇危機感のジレンマ

 ・目先の業績が好調のため変革に対する危機感が無い。

 ・危機感が高まったときはすでに変革に必要な投資体力を失っている。

◇人材育成のジレンマ

 ・技術が陳腐化するスピードが速く、時間をかけて学んだとしても、習得したときには古い技術となっている。

 ・即座に新技術を獲得できる人材は引き抜かれてしまう。

 

◆ベンダー企業特有のジレンマ

◇ビジネスのジレンマ

 ・受託型ビジネスを現業とするベンダー企業が、ユーザー企業のデジタル変革を伴走・支援する企業へと変革しようとすると、内製化の移行により、受託型ビジネスと比べて売上規模が縮小する。

 ・ベンダー企業がユーザー企業をデジタル企業へ移行する支援を行うことにより、最終的には自分たちが不要になってしまう。

 

DXレポート2.1では、上述のような分析のもと、デジタル産業の姿と企業変革の方向性、変革向けた施策の方向性について記載されています。ぜひ、一度、ご覧になられればとご案内いたします。

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