しまねソフト研究開発センターでは、IoT分野における先端技術支援や研究活動の一環として、mruby/cを使ったIoTデバイスの開発・製作を行っております。今回は、機械設備や装置の温度管理を自動化するニーズに対して、簡易にデータを計測・収集するためのModbusベース温度ロガーの開発を行いましたのでご紹介いたします。
1.概要
温度ロガーは、主に製造業の温度管理が必要となる機械設備や装置の動作状況を自動記録(ロギング)することで、そのデータを活用・分析により装置の異常検知や故障予知、製造・加工条件の最適化、品質不良の波及範囲を特定するなどの品質管理の向上が図れます。
しかしながら、既に導入している機械設備や装置には温度管理に必要となるデータログ機能が搭載していない、またはオプション機能で実現できるものの導入コストが高いといった課題があります。
そこで、上記の課題を解決するため、より簡単かつ低コストで機械設備や装置の温度管理を自動化するModbusベース温度ロガーを開発しました。
2.Modbusベース温度ロガーについて
今回は、mruby/cを標準搭載するマイコンボード「RBoard」にRS485コンバータを接続し、Modbus経由で温度調節器の温度などのデータを測定して、一定時間ごとにWi-Fi経由でサーバへ送信するものとしました。
なお、今回対象とする温度調節器は、オムロン制御機器の温度調節器(E5CC-QX2ASM-004)としています。通信方式は、通信プロトコルをPLC用のフィールド・ネットワークであるModbusを用いるとともに、物理層はRS485を用いてUART経由で送受信を行いました。
これにより、既に導入された機械設備や装置であっても、測定値をサーバ上でリアルタイムに確認したり、動作状況を自動記録(ロギング)することができました。
実験のレポートなどの詳細は、ITOCのWebサイトをご覧くださいませ。今回、ITOC東裕人専門研究員の執筆によって、Modbusベース温度ロガーの開発におけるハードウェアおよびソフトウェア、稼働試験と結果、基板回路図に関するドキュメントを公開いたします。併せて、サンプルコードを公開しておりますので、ぜひご覧ください。