ITOCでは県内企業への先端技術の利活用支援を行っています。今回、ITOCでは社会インフラの調査を事業とする株式会社サンテクノス、ドローンの空撮・測量を事業とする株式会社SWIFT(ITOCドローン担当アドバイザー)と共同で、橋梁点検におけるドローンと画像診断AIの活用に向けた取り組みを行いました
1.実施内容
(1)ドローンによる橋梁の写真撮影(写真測量)の実施
従来は橋梁点検を近接目視によって損傷確認を行っていましたが、今回ドローンによる写真撮影を行い、後の画像診断AIによる変状検出データによって、近接目視と同等の損傷や劣化などの変状を検出。
(2)画像診断AIによる変状検出データの生成
ドローンで撮影した橋梁の写真測量データから、画像診断AIソフトウェアサービスを利用して橋梁点検に必要な変状検出データの生成を実施。変状検出の内容は、ひび割れ、漏水・遊離石灰・鉄筋露出。
(3)画像診断AIによる変状検出データの評価検証
変状検出データの品質・精度から、橋梁点検における業務効率化や点検コストの削減、安全性の向上といった効果が得られるかを評価。併せて、ドローンの写真測量データに必要となる画像データの品質・精度を検討。
2.実施結果
今回の検証を通じて、ドローンの写真測量データおよび画像診断AIを用いることで、橋梁点検における業務効率化、点検コストの低減、安全性の向上といった効果が見込まれました。特に、橋梁点検の中でも詳細点検における変状検出や点検調書の作成支援に対して、大いに効果が発揮されると考えられます。
その反面、全ての橋梁点検で有効活用されるとは言い難く、点検対象の橋梁サイズや環境、損傷具合によっては従来の点検手法が望ましいケースも考えられます。また、写真測量を行うドローンの機体やカメラの性能といった一定の仕様要件を満たすことが前提となります。加えて、画像診断AI(今回は「ひびみっけ」)のデータ仕様に基づく必要があるため、画像診断AIによるデータ生成には注意が必要であるとともに、知見とノウハウが必要となります。
今後、ドローンや画像診断AIにおける点検精度と品質が、近接目視と同等の健全性の診断を行うことができると広く認められれば、加速度的にデジタル技術導入が進むとともに橋梁点検における業務効率化や点検コストの削減が見込まれます。さらに、ドローンによって測量された写真や3次元モデルがデータベースに蓄積されることで、今後の社会インフラの適切な維持管理に大いに役立つことと期待されます。
ドローンや画像診断AIの発展により、近い将来には社会インフラに限らず、建築物設備などの施設管理に関わる多くの点検業務に活用される段階に来ており、それぞれの分野で実用化や有効活用のノウハウが必要になると考えられます。
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