1.取組みの背景
(株)アルプロンはプロテインをはじめ、健康食品、健康補助食品、食料品の企画、開発、製造及び販売を手掛けている企業で。当社はデジタル化を進めており、ハンディ―ターミナルの画像認識機能を活用したロット番号や賞味期限など原料情報の読み取り及びシステムへの自動入力を行い、手書きによる帳票記入の廃止、省力化を図ってきた。
しかし、原料のうち輸入原料は原料情報がドット文字で印字されており、且つ印字の潰れや滲みで読み取りにくいものが多く、ハンディ―ターミナルでの読み取りが困難であったため、引き続き作業者が手入力で原料情報の入力を行っていた。
この問題を解決するために、原料袋に印字されているドット文字をカメラで撮影し、撮影画像から機械学習を用いて文字情報の識別を試みる研究に取組んだ。
2.共同研究の内容
共同研究の内容としては、(株)アルプロンは、撮像機器で原料袋においてドット文字が印字された箇所を撮像し、機械学習を適用するための学習及び検証用のデータ提供を行った。(株)パソナテックは、ITOC専門研究員とともに、ドット文字を識別する機械学習のサンプルプログラムを作成し、検証及び分析を行った。
3.共同研究から得られた知見
(株)アルプロンは、「機械学習による識別の仕組みについて学ぶことができ、様々な作業に応用できるのではないかと感じた。食品製造業はもちろん、異業種への展開も十分に可能であると思う。昨今のDXにおいて需要がある技術だと感じた。」とのこと。
(株)パソナテックは、「今回のドット文字のように数字やアルファベット程度のシンプルな形状の検出であれば、今回のDlibを用いたHOG特徴量とSVMによる手法も有効であることがわかった。少ない教師データ数と少ない計算機資源で、効率よく精度が確保できることは、機械学習の適用可能性を調査する段階において有利な特性であり、応用の可能性を感じている。またデータの収集、アノテーション、前処理や精度の向上、サンプルプログラムの作成まで機械学習における一連の流れを体験できたことは非常に有益だった。」等、技術面や実務面で多くの学びがあったとのこと。
ITOCとしては、機械学習を用いる際の、データの収集方法、網羅性、収集頻度の分析など、PoCを進める上で必要となる様々な要素について知見を得る機会となった。
様々な実証の取組内容については、ぜひ「詳しくはこちら」からご覧ください。
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