この学校にとってとても大切な原則は、子どもの年齢のステージに相応しい教育を与えることです。ですからこの学校に相応しい校舎を設計するにあたって、第一のテーマが其々のステージに相応しい教室空間を考えることでした。その年代の子どもたちにとって本当の意味で居心地の良い空間とは何か?その試みの結果がこの学校の教室群です。
ここでそうした考えの一端を簡単にご紹介しようと思います。
1・2年
子どもたちは先生の周りを取り囲み、世界と私はまだまだ柔らかく一つに結ばれています。そんな子どもたちを淡いバラ色で丸天井のように包み込むことが理想でした。
ご存知の方はもう少ないかもしれませんが、この校舎は当初一方のウイングだけでした。
6つの教室を間仕切りで分けて12教室としていました。現在の長方形の教室形状はその名残です。
3・4年
楽園から追放された子どもたちは世界と対峙を始めます。その時権威として彼らの前に立つのが教師です。すべてが一体となっていた教室に『前』が生まれ、静かに包み込んでいた空間に動きが生まれオレンジ色になります。
5・6年
地上に降りた体が相応しい発達を遂げ、他者をも『担う』ことが出来るようになるこの時期、子どもたちは一階に降ります。一人一人が独立した存在となり、体と精神が最も美しくバランスを取るこの時期、あらゆる方向に開かれた黄色い活動的な空間が子どもたちを包みます。
7・8年
思春期に入った子どもたちは『いま』、『ここ』に満足できず、深く内面に入り込み、遠い世界へと思いを馳せます。一つに守られていた世界は引き裂かれ、どこかへ向かおうとするかのように二つに分かれた中心を持つ空間は最も地上的な色である緑色に包まれます。
9・10年
ばらばらになって地上に落ち切った精神は再び世界とほのかに接触を始めます。下降を終え、故郷である天へと憧れの眼差しを向ける彼らを包み込む空間は青色に染められます。
11・12年
やがて精神は世界と再び和解に至ります。この最後の教室の空間は一見して一年の空間に見えるほど、一体性を帯びています。しかしそれは最初から与えられたものではなく、葛藤を経て自らの手で再び掴み取ったものです。そんな彼らを暖色と寒色が天上的に結合した赤紫色(Purpur:独)が包みます。