自由への教育
Vol.45  2024/7/5

『まばゆい光の中へ羽ばたく子どもたち』

 

今年も卒業演劇の季節になりました。12年生卒業演劇「子午線の祀り」の案内を見ながら、昨年卒業した娘たちのことを思い出しました。
 
11年生になったころ、娘たちのクラスは卒業演劇の題材を探し始めました。小さい頃から親しんできた卒業演劇をいよいよ自分たちが行うことになり、小さな子にも楽しんでもらい、観た人が明るく元気になっていくような演目をやりたい!と娘は思っていました。

ところが、紆余曲折を経て、娘たちのクラスが選んだのは「ハーメルンの死の舞踏」。ミヒャエル・エンデがハーメルンの笛吹き男の逸話を元にした、現代社会に巣くう人間の欲望から生まれる闇についてのお話でした。

自分の描いていた卒業演劇のイメージとは正反対のものではありましたが、娘は自分の限界を超えるようないくつもの出来事をクラスメイトと一緒に乗り越えて、精一杯作品に向かい続けました。
 
音楽が好きな娘は、音響係として劇中に出てくる全ての曲を作曲しました。言葉ではなく笛で語る笛吹き男が奏でるいくつものメロディー、人々が祭りではしゃぐ歌、兵隊の行進曲などなど。自分が悩みながら作った曲がクラスメイトに受け入れられなかったり、一方、閃きから生まれた曲に皆がはまって、練習以外でも口ずさんでくれたりと、辛い思いも嬉しいことも経験しました。

クラスの皆が役者も裏方も行う演劇なので、娘は演技においても相当苦労していました。貧困に苦しむ市民を表現する中で、いかに自分たちが恵まれた生活をしているのかに気づき、市民役のクラスメイトと一緒に断食をして、お腹がすいてどうしようもない、ということを体験したりもしました。
 
中でも最も苦労したのは、クラスでの話し合いでした。人間の欲望と闇を扱う作品の中にどのような希望をみいだして表現していくのか、21名全員が納得するまで、話し合いを続ける。18歳というこの時期に、現代の貨幣経済社会が抱える根本的な問題に作品を通して出会い、向き合い、自分たちなりの答えを探し求めていく。卒業演劇とは、子ども達が様々な困難を越えて、これから羽ばたいていく社会のリアルに真摯に出会っていく機会なのだ、との思いを新たにしました。
 
娘たちの劇のラストシーンは、まばゆい光の中に子どもたちが決意をもって歩んでいく場面でした。子どもたちこそが光であり未来。新しい世界に羽ばたいていった娘に改めてエールを送りたくなりました。

 

<<卒業生保護者>>

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《申込不要 参加無料》

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