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弊社ショールームで、セミナーを開催いたしました。
 
弊社では、ご要望に応じ随時ショールーム見学会やセミナーを開催しています。
 
今年は4件のご依頼をいただきました。規模も内容もそれぞれ異なり、新人研修を兼ねて生地全般の知識を教えてほしい、カーテンの仕様やカーペットの選び方などについて改めて学びたいなど、様々なご要望に合わせてフレキシブルなテーマ設定や内容が可能です。よい勉強会ができた、ブラッシュアップに役立ったとご好評いただいています。基本的にグループでのご利用をお勧めしており、開催は無料です。
 
どうぞお気軽に、担当営業にご相談ください。
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メイド・イン・イタリー  ~ ラベルを超えた価値観

「メイド・イン・〇〇(国名)」は原産国を示す表現ですが、イタリアの場合、少しその意味合いが異なるようです。
 
欧米諸国からの輸入テキスタイル製品を取り扱う中で、イタリアのサプライヤーからは事あるごとに、「我々はMade in Italyだから」「もちろんMade in Italyです」「なにしろMade in Italyだから」「だってMade in Italyですから」「とにかくMade in Italyなんです」といった言葉が聞かれます。
 
「メイド・イン・イタリー」は、世界である種の「ブランド」として認知されており、アマゾンの欧州サイトでは「メイド・イン・イタリー」というイタリア製品を扱うカテゴリが見受けられます
 
イタリア人が口にする「メイド・イン・イタリー」には、何か壮大で誇り高く、高い熱量と強い響きが潜んでいます。私たちはその響きの中に「何となく良さそう」という漠然とした好感を抱きます。しかし、実のところよくわからないまま、なんとなく受け流してしまっています
 
「メイド・イン・イタリー」って何だろう。
 
それは、なぜ、どう素晴らしいのか、イタリア製品の良さを存分に味わうために、その背後にあるスピリットに近づいてみたいと思います。
 
What is 
 
Made in Italy
1)メイド・イン・イタリーの定義
2)クラフトマンシップ
3)審美眼
4)各ブランドの取り組み
 
1)メイド・イン・イタリーの定義
 
「メイド・イン・イタリー」という言葉に対して、どのようなイメージを描くでしょうか。高級車、革製品、ファッション、ラグジュアリーブランド。創造力あふれる職人が作る本物、デザインレベルが高く魅力的。90年代のバブル期にはイタリアブームが起こりましたが、アルファロメオやランチアに乗り、故障で苦労しても「不具合なんか当たり前、それを楽しむのがイタリア流」といったスローライフ的な価値観も広まりました。
 
「メイド・イン・イタリー」のコンセプトは、行政主導で獲得したものではなく、地方の中小企業が地道に積み上げた実績が統合され醸成されたもで、イタリア独自の産業構造の賜物といえるでしょう。明確な言葉による定義に頼らず、多くの事業者たちがその価値観を共有しています。
 
「メイド・イン・イタリー」とはどんな意味なのか、イタリアのいくつかのサプライヤーに聞いてみたところ、それは「イタリアで生産された製品に対する高品質・伝統・デザイン性・職人技を象徴する概念」であり、「イタリアらしい美意識とクラフトマンシップの結晶として、世界中で信頼と憧れのブランド価値を持っている」と答えてくれました。
 
キーワードとして挙がってくるのは、「伝統・職人技」と「デザイン・創造性」というものです。そして「メイド・イン・イタリー」は、製品を指すにとどまらず、イタリアの「文化」や「ライフスタイル」、「哲学」「理念」の地位にまで昇華しています。「メイド・イン・イタリー」製品を買うことは、文化的プレステージの一部を購入することである、そうした強いアイデンティティとして、世界に広がりを見せています。
2)クラフトマンシップ
 

「メイド・イン・イタリー」の品質の高さや本物であることを支えるのは「クラフトマンシップ」です。クラフトマンシップは「職人技」と訳されますが、日本語での「職人」からくるイメージをリセットしないと、クラフトマンシップの意味するところを理解するのは難しいかもしれません。

 

日本の伝統技術の中で私たちが目にする「職人技」は、職人が長年の経験で身につけた高い技術や熟練した手仕事そのものです。 重点は技術・技巧にあり、絶対的な技術の評価は、作った人ではなく、完成品した作品にゆだねられます。自分を消し、作品を極めることに重きが置かれます。

 

「包丁を研ぐ職人技」

「手縫いで美しく仕上げる職人技」

「わずかな狂いもない木組みの職人技」

一方でクラフトマンシップは、職人の技術や技巧だけでなく、モノづくりに対する「誇り」や「情熱」、「精神性」を含む概念で、情熱、個性、美意識の表現を重視しています。「美しく、感性のままに」制作することに重点を置き、完璧さよりも人の手による温もりや個性を尊重します。そこには柔軟性があり、「人間はロボットではない」という感覚のもと、手による「美の追求」が、職人の仕事とされています。

 

「一人ひとりの足に合わせた一点ものを作り、革の質感や色むらも「味」として生かす靴職人」

「曲線や装飾を大胆に使用し、デザイン性を追求する家具職人」

「偶然の形や色の混ざり合いを楽しみ、芸術的な作品を生み出すガラス職人」

 

いずれもモノづくりへの誇りは変わりませんが、その価値観や美意識の方向性に違いがあるようです。そして、手仕事は規模が小さいから仕方なく行っているわけではなく、人の手でなければ実現できないことがある、という必然性がそこにあります。

 

クラフトマンシップは、イタリア語で「アルティジャナーレ(artigianale)」という言葉で表現されます。この言葉には、「心をこめて作られた、唯一無二のもの」という人生観や文化への誇りが込められています。

 

アルティナジャーレを支えるのは、イタリア独自の産業構造です。「メイド・イン・イタリー」は、主に4つのA(Abbigliameto / ファッション、Agroalimentare / 食べ物、Arredamento / 家具、Automobil / 車)と呼ばれる主要分野で象徴され、いずれも歴史のある産業集積地となっています。同じ産業の企業が集まることで、部品や材料の調達が容易になり、技術や情報の交流が活発化し、専門的な人材も集まりやすくなります。このように地域全体で強みを発揮する一方、アルティナジャーレが育まれる土壌にもなっています。

3)審美性
 

イタリア製品は、象徴的で革新的なデザイン、エレガンス、独特の美的感覚で、国際的に非常に高く評価されています。優れたデザインや美しさとは、具体的にどんなことを意味するのでしょうか。

審美性とは、どのようなプロダクトを美しい、カッコいいとされるのかという判断基準です。

建築や美術の豊かな歴史を持つイタリアでは、審美眼を養う環境が整っているのは言うまでもありません。この美的感覚は、文化的背景から受け継がれた豊富なアーカイーブや個人的な感性、さまざまな要素が交錯した結果ですが、デザインの評価の仕方にも独特な物差しがあるように思われます。

 

グローバル化した経営手法の観点からデザインを評価する際、多くの場合「良いか悪いか」という軸が用いられます。つまり、デザインが理論に合致しているかどうかが評価の基準となります。

 

イタリアの企業では、まず「好き嫌い」という感情が重要視されると言われています。

日本では、好き嫌いを語るのはプロフェッショナルな判断ではない、という見方がされてきました。さらに言えば、大人になるとは、好き嫌いで物事を判断しない人間になることだという教育が幼少期から行われてきたかもしれません。

 

イタリアの家庭や学校では「好き嫌いを言ってはいけない」という指導はほとんどない、といわれています。新入社員でも幹部でも、好き嫌いを語ることが一般的と聞きます。好き嫌いという要素を判断基準から完全に排除するのは、人間である以上考えにくいのも事実かもしれません。また、感情表現は、自分を理解し、他者と関わるための出発点でもあります。

 

自分が好きでないものに対して、ユーザーは好意を持つことはありません。ユーザーが望んでいるだろうと想像して作られた製品が人々の心を掴むことはない、という強い信念があります。作り手が惚れ込み愛情を注いで作りあげた製品こそが、人々にとって魅力的なデザインになるのです。このような意識が「メイド・イン・イタリー」の審美性を育んでいるのかもしれません。

 

近年、先進的な乳幼児教育として脚光を浴びている「レッジョ・エミリア・アプローチ」は、教育分野にとどまらず、デザイン思考の原型とも言われています。美や創造性を重んじる姿勢もまた、「メイド・イン・イタリア」にみられる審美性を育む要素となっていることでしょう。

4)各ブランドの取り組み
 

弊社の取引先で、「メイド・イン・イタリー」を理念の一つに掲げ、体現・実践しているブランド/メーカーの取り組みをご紹介したいと思います。

 

TOLINO(トリノ)社は、1890年創業のナポリ近郊の織物メーカーです。当時最先端の織機を導入し製織業をスタート。家具用生地やカーテン地などを製造販売するブランドとして、その確かな品質により多くの信頼を得ているブランドです。

 

同社は、美学、機能性、そして感情が共存する魂のこもったモノづくりを大切にし、見た目だけでなく使い心地や耐久性にもこだわっています。生地は、構想からデザイン・製造まで全てイタリア国内で行っています。世代を超えて受け継がれた専門知識を持つ地元の熟練職工や仕上げ職人と協力しています。糸の選定から仕上げまで、イタリアのテキスタイル文化における卓越性を追求し、細部に至るまで反映させています。

 

同社のコレクションは、品質が高く、普遍的な美しさを持っています。シンプルなプレーン生地でも風合いが豊かで、触れることで心地よさを感じ、豊かな気持ちにさせてくれます。布は美しいものなのだという事を思い出させてくれる、そんなコレクションです。

 

イタリア中部ウンブリア州の丘陵地帯に工場を持つALCANTARA(アルカンターラ)社は、誇り高き「メイド・イン・イタリー」のアンバサダーともいえるブランドです。アルカンターラは、東レの技術を基づく高度な工業プロセスによって製造される素材で、細部へのこだわりと伝統的職人技の価値を損なうことなく生み出されています。

 

優れた品質と耐久性、細部へのこだわり、革新的なデザイン、エレガンス、独特の美的感覚など、大量生産品とは一線を画したイタリア流のモノづくりにより、国際的に高い評価を受けるブランドとして成長しました。欧州で最大級の規模を誇る研究センターを持ち、クラフトマンシップを基盤としたイノベーションにも積極的に取り組んでいます。

 

同社の製品は、「アルカンターラ」という全く新しい素材で、不織布とも人工スエードとも形容することのできない、革新的でユニークな素材であるという誇りを持って世に送り出されています。製品はイタリアだからこそ作り出せる、風合いや質感、色、デザイン性を兼ね備えています。「メイド・イン・イタリー」のもう一つの側面である革新と創造性を重視し、ファッションへ、そしてインテリアへとクリエイティブな才能を支える素材として存在感を強めています。

イタリアの革の産業集積地、アルツィニャーノに本拠を置くFUTURA LEATHERS(フトゥラ・レザーズ)は、いくつかの会社を傘下に持つグループ企業へと成長してきました。

 

イタリアの革製品産業は長い歴史を持ち、伝統が引き継がれてきました。皮なめし、染色、縫製などは専門的に分業され、高度な専門性が培われています。イタリアの革産業は世界でも際立っており、単に「量」に留まらず、「質・デザイン・文化的価値」の面で他国を凌駕しています。高級ブランドに使われるレザーの約8割がイタリア製であり、これは高度な職人技や創造性、デザイン、本物と伝統が「メイド・イン・イタリー」として評価されている証です。

 

同社は、そうした伝統を大切にしながらも、未来に向けた新たな価値の創出にも積極的です。「メイド・イン・イタリー」のグローバル化やサステナビリティへの取り組みを強化し、「メイド・イン・イタリー」を未来へ受け継ぐ決意が感じられます。

 

POTOCCO(ポトッコ)社は、スロベニアの近くに位置するイタリア東部の椅子の名産地、ウーディネ県マンサーノ地区にあり、1919年の設立以来、美しく高品質な製品を提供し続けています。

同社にとって「メイド・イン・イタリー」という伝統と職人技、創造性が融合したコンセプトは非常に重要であり、丁寧かつ情熱を持って、細部にまで気を配ったモノづくりを行っています。木工、張地、塗装、梱包などの全ての工程を管理し、厳格な品質管理により、職人の精神が引き継がれています。

同社の椅子は、どの角度から見ても美しいフォルムを持ち、デザインには無理がなく非常にエレガントです。「座れればいい」だけの道具ではなく、人を優しく包み込み、生活を豊かに美しく彩る、長く愛着を持つことができる椅子の理想形を体現しています。

 

トリノ社のセールス・マネージャーのマリオさんは、「メイド・イン・イタリー」を体現しているブランドとして、Ferrari(フェラーリ)、 Brunello Cucielli(ブルネロ・クチネリ)、 Bottega Veneta(ボッテガ・べネタ)を、ポトッコ社のソーシャルメディア&デジタルマーケティング・スペシャリストのアリアナさんは、Prada(プラダ)とFerrari(フェラーリ)を挙げてくれました。どのブランドも、その個性こそが魅力を作っていることがうかがえます。

 

PICK UP

新作商品や人気コレクションを弊社取り扱いの海外ブランドと併せてご紹介いたします。

FR Fabric for contract  /  Panaz(イギリス)

ホテルやショップ、レストランなどのインテリアで使用されるテキスタイルには、様々な要件が求められます。耐久性、防炎性、安全性、メンテナンス性、防汚性、時には抗菌性など、多くの人が快適かつ安全に過ごせる環境を整えることが求められています。

 

まず求められるのは耐久性で、擦り切れたりせず丈夫であることです。そして、防炎性。日本では多くの人が出入りする場所や高層階などにおいて、カーテン生地に防炎性能を有することが法律で定められています。イスバリ生地については法的な規制対象ではなく、公式な認定制度も確立されていませんが、施設側の関心は徐々に高まっています。

イギリスのテキスタイルブランド「Panaz(パナツ)」は、1985年の創業以来、コントラクト向けテキスタイルのサプライヤーとして躍進してきました。同社がコントラクト市場に進出するきっかけとなったのは、創業者が自宅近くで火災に遭遇したことでした。猛威を振るう炎を目の当たりにして、「燃えないカーテンの普及が必要だ」と強く決意したそうです。

 

同社のコレクションは、カーテン地もイスバリ地も、すべてが難燃性を有しています。難燃性のほか、耐久性や抗菌性など性能にも着目。銀イオンなどの金属成分に依存しない独自の抗菌技術「Shield Plus」の開発など、新しい技術にも取り組んでいます。必要な性能を確実に持ちながら、美しいデザイン性を兼ね備えたコレクションで、着実に市場シェアを拡大しています。

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