毎年10月に改定される最低賃金ですが、平成29年度の東京都の地域別最低賃金は従前額に26円加算して958円となりました。最低賃金は最低賃金法により規定され、労働局長が最低賃金審議会の調査審議を経て決定するものですが、最近ではコンビニやファーストフード店のアルバイト募集広告の時給表示がその時の最低賃金と同額となっているのをよく見かけます。実質的に、最低賃金の改定がその事業所における昇給制度になり代わっているようです。
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このように、地域別最低賃金の引き上げが大きく経営に影響を与える中小企業にとって、支援策の一つと言えるのが、「業務改善助成金」です。
業務改善助成金は、中小企業や小規模事業者の生産性の向上を支援し、事業場内で最も低い賃金（事業場内最低賃金）の引き上げを図るための制度とされ、生産性向上のための設備投資（機械設備、POSシステム等の導入）などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、その設備投資等にかかった費用の一部が助成されるものです。

��助成金支給の要件は以下のとおりです。

①賃金引上げ計画を策定すること
　→事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる（就業規則等に規定）

②引き上げ後の賃金額を支払うこと

③生産性向上に資する設備・機器などを導入することにより業務改善を行うこと

④解雇、賃金引き下げ等の不交付事由のないこと

��助成金支給までの流れは以下のとおりです。

①助成金交付申請書を労働局に提出
　→事業改善計画と賃金引上げ計画を記載した交付申請書を都道府県労働局に提出し、その内容が適正と認められると助成金交付決定が通知されます。

②設備・機器の導入などで生産性を向上
　→生産性向上、労働能率の増進が図られる設備投資などを行い、業務の効率化を目指す

③事業場内の最低賃金を引き上げ
　→事業場内の最低賃金を引き上げる

④助成金を支給
　→業務改善計画の実施結果と賃金引上げ状況を記載した事業実績報告書を提出し、助成金額の確定後に助成金が支給されます。

筆者：小山 克也（こやま かつや）
社会保険労務士、特定社会保険労務士、プロフェッショナル・キャリアカウンセラーの資格を強みに、民間企業の全業種および公的機関における人事労務管理分野を専門として活動中。

アライアンス社会保険労務士法人小山事務所　代表
労働保険事務組合中小企業総合センター　会長

■アライアンス社会保険労務士法人 小山事務所HP
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