「デザイン経営」の浸透は道半ば(辰野博一  ショートエッセイ)
9月6日、公益財団法人日本デザイン振興会は、今年3月に株式会社三菱総合研究所と共同で実施した「第2回企業経営におけるデザイン活用実態調査」の調査結果を発表しました。2020年2月に第1回調査に続く本調査は、過去に「グッドデザイン賞」に応募したことのある企業を対象にして行われています。調査結果のポイントとして、以下の4点が挙げられています。
(1)デザイン経営に積極的な企業ほど売上が成長し、顧客からも従業員からも愛される

(2)この3年でデザインへの投資はやや増加傾向であり、デザイン投資への将来的期待も向上

(3)「デザイン経営」の認知度は6割超

(4)デザイン経営推進上の課題はいまだ解決されていないことが明らかに
(1)について、デザイン経営に積極的な企業ほど、「売上増加率」「自社のコアなファンの多さ」「従業員からの愛着の強さ」といった指標で肯定的な項目の回答率が高くなっている結果が出ており、2020年の調査での傾向が変わらず出ているということです。
(2)について、デザインへの投資状況は、2020年調査と比較し全体として増加傾向にあり、特にデザイン経営に積極的な企業ほど「増加している」とする割合が増えた点は、注目すべき変化であるとしています。
(4)について、デザイン経営を今後も推進していくと回答した企業の課題として最も多く挙げられたのが「費用対効果の説明が困難」、次に多かったのが「新商品・サービスデザインをリードできるデザイナーの不足」で、2020年調査と同様の順位となっています。これに続く課題についても2020年調査と同じ順位、同水準の回答率となっており、3年を経てもデザイン経営推進を取り巻く課題状況は変わっていないことが明らかになっており、この3年間でデザイン経営の課題認識に大きな変化がないことは課題といえる、としています。
さて、今年7月には、微細藻類ユーグレナ等を活用し食品や化粧品の販売、バイオ燃料の開発・製造を行っている株式会社ユーグレナが、CCD(チーフクリエイティブディレクター)のポストを新たに設け、デザイン経営をさらに推し進めることを発表しました。
 
ユーグレナは、「ありたい姿であるSustainability First(サステナビリティ・ファースト)実現にはステークホルダーからの、より一層の共感が必要であり、そのためにはデザイン面からも訴求する必要がある」としたうえで、「当社のステークホルダーにとって、製品やサービスに触れるだけで、ユーグレナ・フィロソフィーを感じられる状態をつくる」「まだ当社のことを知らない方々にも『自分自身が幸せだと感じる選択をしたら、それは自然とユーグレナ社につながっていた』という体験を届ける」「これらの体験価値を創造し、ブランド力を高め、企業としての存在価値を向上させることがCCDのミッション」としており、なぜデザイン経営を活用するのか、というビジョンが明確に感じられます。
 
デザイン経営の導入に向けては、なぜデザイン経営を導入する必要があるのかという目的が明確に設定できるよう、経営陣、あるいは社員も含めて議論を深める必要があります。したがって、そもそもデザイン経営を活用するタイミングも、企業によって異なると言えるでしょう。そして、十分な議論の上で目的が設定できれば、「費用対効果の説明が困難」という課題も、おのずと解決されるものと思います。
<参考URL>
・公益財団法人日本デザイン振興会ホームページ「第2回 企業経営におけるデザイン活用実態調査」 詳しくはこちら

・株式会社ユーグレナホームページ 2023年7月3日付ニュースリリース 詳しくはこちら
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