「100億企業」の創出 (辰野博一 ショートエッセイ)
6月22日、経済産業省が中小企業の挑戦を応援する5つの報告書及びガイドラインを公表しました。コロナ禍からの回復、人口減少、GX・DX等の構造転換が進む中、日本経済の更なる成長実現には、中小企業の成長が重要であるとしたうえで、以下の5つを公表しています。
1.中小企業の成長経営の実現に向けた研究会 中間報告書
2.中小企業のイノベーションの在り方に関する有識者検討会 中間取りまとめ報告書
3.中小企業・小規模事業者人材活用ガイドライン
4.中小エクイティ・ファイナンス活用に向けたガバナンス・ガイダンス
5.経営力再構築伴走支援ガイドライン

このうち、「中小企業の成長経営の実現に向けた研究会 中間報告書」では、外需獲得、地域経済牽引や賃上げに特に大きな役割を果たす「100億企業(売上高100億円以上など中堅企業クラスに成長する中小企業)」に注目し、実際の成長企業の事例等から、中小企業の飛躍的成長のパターンを整理しています。

中堅企業クラスに成長する中小企業に対する行政(経済産業省)の注目は、今年の中小企業白書でも確認できます。白書の第1部第3章「中小企業の実態に関する構造分析」では、一企業当たりの売上高と設備投資額の推移について、2009年比の増減率を企業規模別に分析した結果として、2015年以降連続して、売上高、設備投資額の両指標とも、中堅企業(資本金1億円以上10億円未満の企業)が中小企業、大企業を上回っていることを示したうえで、包摂的成長の実現には、売上高や設備投資の伸びが大きい地方圏の中堅・中核企業が成長・発展し、地方圏の経済成長や雇用の創出につなげることが重要であると考えられる、と指摘していました。
(「包括的成長」とは、「貧困解消や格差是正等を通じて『誰一人取り残さない』社会の実現に向けて、収入及び機会の格差を解消する方策を取ることで、結果としての国全体の経済成長を実現すること」で、経済産業政策では、「機会の格差(事前分配の格差)の解消を通じた経済成長の実現を特に重視する」としている)

中間報告書にて提示された飛躍的成長のパターンは、以下の3つです。

A:成長市場型・・・市場規模が近年伸びている業種・業態で事業を行った。
B:独自価値創出型・・・成長市場ではない分野でも、他社と異なる価値創出を構想・実行した。
C:成長志向M&A型・・・M&Aの実施でシナジーを得て、競合他社よりも競争優位を獲得した。

いずれの成長パターンにおいても、①競合他社とは差別化された価値創出のあり方(事業戦略)、②既存の事業や資源に捉われず、他の経営者との交流や学びの機会を通じて経営力を磨く経営者の役割が重要であるとしています。
    
また、このような飛躍的成長を実現するための政策の方向性として、経営者が差別化された価値を創出するための伴走支援の強化や成長意欲を共有する経営者同士のネットワーキングの促進、事業承継、引継ぎ、M&Aやグループ化を通じた新たな人材の中小企業への参入や経営革新の促進等に取り組む、としています。

 

昨年発表されたスタートアップ育成5か年計画でも「ユニコーン100社創出」という目標が掲げられていたように、直近の経済政策では、成長可能性のある企業を厚く支援して大きくし、結果として経済全体をリードしてもらおう、という方向に動いているように見受けられます。そうした企業が形成するエコシステムに期待している、ともいえそうです。今後の具体的な政策にも注目したいと思います。

参考URL)
・経済産業省2023年6月22日ニュースリリース「中小企業の挑戦を応援する5つの報告書及びガイドラインを公表します!」詳しくはこちら→

・2023年版「中小企業白書」詳しくはこちら→
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