オープンイノベーションの「マナー」(辰野博一 ショートエッセイ)

特許庁と経済産業省が、「事業会社とスタートアップのオープンイノベーション促進のためのマナーブック」を発表しました。特許庁と経済産業省は、2020年以降「オープンイノベーション促進のためのモデル契約書(OIモデル契約書)」を発表・更新を続けています。従来の常識とされていた交渉の落とし所ではない新たな選択肢を提示し、事業会社とスタートアップ双方が利益を享受できる望ましいオープンイノベーションの促進を目指しています。

今回の発表において目を引くのは、何と言っても「マナーブック」というタイトルだと思います。オープンイノベーションを成功させるための良好なパートナーシップ構築において、事業会社・スタートアップの双方が意識すべきポイントを「マナー」、つまり、作法や心構えを紹介しているのです。

良好な人間関係の構築において、「マナー」が必要不可欠であることは言うまでもなく、誰しも分かっていることでしょう。しかしながら、過去には、中小企業やスタートアップから「大手企業が自社に有利な契約書案を当たり前のように持ってくる」「大手企業は自分たちが聞きたいことだけ大手企業が勝手に自社の開発に使っていた」というような話を聞くことが、残念ながらありました(※大手企業には、また違う言い分があるのかもしれませんが)。

理想的なパートナーシップを構築するためのマナー4箇条は、次のようにまとめられています。

1.ビジョンとゴールのすりあわせは徹底しよう
2.リスクヘッジではなく、スピード重視で!
3.「双方の事業価値の総和の最大化」を判断基準にしよう
4.困ったときは、「OIモデル契約書」にヒントあり

1、3については、オープンイノベーションに限らず複数の主体が行うプロジェクトにおいて重要なマナーであると思います。協業の中で起こる議論や交渉において、ビジョン/ゴール/判断基準がはっきりしてれば、妥協点も見つけやすくなると思われます。
2については、スタートアップに比べて意思決定に時間がかかりがちな大手企業への提唱となっています。
そして4は、大手企業よりも法務的な知識が薄く、社内の体制も手薄になりがちなスタートアップに対して、OIモデル契約の活用を提唱するものとなっています。

日本においても、大手、中小、スタートアップ企業と、オープンイノベーションを促進しようとする企業や組織によって、オープンイノベーションのエコシステムが少しずつ形成されているように思います。そのような状態で、自社の利益ばかりを追求する企業は、大手企業であれスタートアップであれ、評価を落として活動しにくくなるような時代は、すでに始まっているのかもしれませんし、遅からず来ると思います。オープンイノベーションを活用したい企業は、是非フォローし、実践すべき内容だと思います。

参考URL:経済産業省2023年5月19日プレスリリース「良好なパートナーシップを構築するための『事業会社とスタートアップのオープンイノベーション促進のためのマナーブック』を取りまとめました」 →詳しくはこちら
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