先々週よりご紹介している「デザイン白書2024」の中で、「行政×デザイン」の章では、デザイン活用に取り組む中央省庁や地方自治体の14の事例が紹介されています。
このうち、千葉県市川市の事例では、2019年度から「クリエイティブ枠」の職員募集を行い、広報分野、企画分野で活躍していることが紹介されています。さらに、2021年度からはデザインやプロモーションに携わるチームを設け、庁内のさまざまな部署と連携しながらプロジェクトを推進しています。内容は、広報用のチラシや資料、イラスト・アニメーション、ウェブコンテンツの作成、あるいは空間や環境デザインまで多岐にわたります。2021年9月1日より施行された条例の周知および啓発活動、また防犯全般について周知するためのデザインディレクション活動では、市民安全課と連携しながら、地域における防犯意識の向上を目指して、市民にわかりやすく、そして自発的な防犯活動を促すようなデザインを心がけています。同条例を周知するためキャラクターをつくり、その着ぐるみがイベントや公開パトロールに登場するなど、市民が楽しみながら防犯を意識する機会を設けています。また、小学生向けにはクイズやすごろくを通して防犯について学べる印刷物を配布して好評を博しています。市民安全課へのメールや電話などの件数が増加するという結果に繋がり、防犯意識や関心も高まっているそうです。
市川市がクリエイティブ職を採用した目的は、行政サービスに付加価値を生むため、斬新な視点と発想力、企画力のある人材を確保するとともに、職員全体のレベルアップを図ることとしています。企業においても行政においても、デザイン担当者は単独で仕事を進めることはできません。したがって、デザイン担当者の採用が、組織としてのデザイン活用能力、職員全体のクリエイティブ活用力を高めることは大いに期待できるでしょう。一方、デザイン担当として採用される人材は、クリエイティブ能力はもちろんのこと、関係部署のメンバーを巻き込み、プロジェクトを推進していく能力が強く求められるといえます。
現在、神戸市、富山県高岡市、新潟県長岡市といった自治体でも、クリエイティブ枠(デザイン・クリエイティブ枠)の採用を行われています。行政サービスに付加価値を生む手段の1つとして、行政の現場にクリエイティブ人材を活用することがさらに浸透することが期待されます。 |