公的部門は民間に学んで業務効率化を(辰野 博一 ショートエッセイ)

国家公務員の出張時の宿泊料について定める旅費法の改正の検討が進んでいます。為替や物価上昇に対応するため、行き先は国内外問わず定額支給から実費で支払う方式に変更される予定で、2025年度から改正された法律の施行を目指しています。現行制度では職位や滞在地域ごとに宿泊費が定められていましたが、実際の相場との乖離が生じています。改正案では、宿泊料の上限を設け、職位の区分を簡素化し、事務負担を軽減します。また、国内外問わず引っ越し料も実費支給となり、交通費の取り扱いも見直されます。

 

また、法律の改正のタイミングで、クレジットカード会社が国家公務員の旅費精算手続きに参入できることが関連政省令に盛り込まれる方向であることも明らかになっています。旅費法は地方自治体も参照にすることが多いため、今後約340万人の公務員がカードを利用できるようになり、精算手続きが効率化される見込みです。現行制度では職員が一時的に出張費を立て替えており、カード精算の導入により負担が軽減されます。また、カード会社にとっては法人向けサービスの拡大につながり、行政分野での新たな市場開拓が期待されています。

 

税財源を用いる公務員の出張経費は企業よりも厳密な管理が求められるという考え方から、ここまで改正されてこなかったものと思われますが、実費精算やカード精算は一般企業ではごく当たり前の仕組みであり、これまで行われてこなかったことにむしろ驚きを感じます。民間企業であっても、私的使用を行わせないための工夫を行い、厳密な管理を行っている企業が大半です。公的部門で活用できないというのは、単なる思い込みであり、むしろ導入による事務作業の簡素化で、無駄な従事時間を減らす方が社会的にも利益が大きいものと思われます。

 

公的部門における業務の効率化、DXの取り組みについては、民間部門から学べることがまだまだあるはずで、今後も断続的な改善が期待されます。

<参考URL>
日本経済新聞電子版
2024年1月29日付「国家公務員の宿泊料、25年度から実費精算へ 円安に対応」詳しくはこちら→
2024年5月21日付「公務員の旅費精算、カード会社の参入可能に 25年度にも」詳しくはこちら→
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