アマゾン・ドット・コムは、2025年1月より、世界の社員に原則として週5日出社するよう求めます。アマゾンのアンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は、過去5年を振り返り、オフィスで一緒に働くことの利点は大きいと確信しているとし、社員同士が学び合ったり新たなアイデアを生み出したりするには、在宅勤務ではなく出社が効果的だと説明しています。また、当社の独特な文化は、過去29年の成功の最も重要な要素の一つとしたうえで、在宅勤務を続けていては、社員の当事者意識の強さや素早い意思決定、倹約といったアマゾンの文化の維持が難しいと判断したといいます。アマゾンの物流にかかわる従業員は出社が必須の業務が多く、今回の指示はオフィスで働く事務系や技術系社員を対象にしています。
一方、アマゾンなどテック大手はここ数年、一定の在宅勤務を前提に採用してきました。2023年には週3日の出社方針に反対するアマゾン従業員の一部が本社地区でストライキに参加しており、今回の発表に対しても社員からは反発の声も上がる可能性があります。また、シリコンバレーを中心としたテック企業では新型コロナ収束後、週3日の出社と在宅を組み合わせる「ハイブリッド勤務」が定着していますが、テック企業の経営者の間では、生産性を高めるには出社が望ましいとの見方が広がっているといい、アマゾンの動きに追随する可能性もあります。
日本でも、接客や現場作業を必要としない事務系や技術系社員では大手企業を中心に在宅勤務が一定程度浸透しています。在宅勤務(テレワーク)を利用して職場(派遣・常駐先を含む)以外で週3日以上働いている人の割合が39.8%との調査結果もあります。また、日本の労働市場は慢性的な売り手市場の状況が続いており、勤務条件の自由度を下げることは人材確保にとってマイナスに働く可能性もあります。日本の在宅勤務の状況が、今後どのように変化していくのかも注目されます。