年末年始のビジネス雑誌・新聞では、新しい年の展望について特集されるのが恒例となっています。そうした特集記事から、気になるビジネスのキーワードをピックアップしていきます。
今週は「ESG経営への取り組み」です。
日本経済新聞1月6日の社説では、新NISAがスタートする2024年、経済の血液であるお金の巡りを良くして産業の新陳代謝を促すには、資本市場の活性化が欠かせないとしています。そして、活性化に向け、株式を上場する企業が成長に向けた改革の方向性として、「収益性を高めること」「成長への投資を惜しまないこと」とともに、「経営に多様な視点を盛り込むこと」を挙げ、ESG(環境・社会・企業統治)の問題解決の度合いを役員報酬に連動させることを一例として挙げています。日本の主要大企業の6割以上が、役員報酬を決める要素にESGの視点を組み込んでおり、中堅・中小企業への広がりも期待したい、としています。
ESG経営の考え方が浸透してきた背景は、「企業価値」の考え方が時代の変遷に伴い変化してきたことが背景にあります。国内外において経済活動に伴う「公害問題」が深刻化していた1980年代頃まで、環境問題や社会問題は企業活動とは本質的に無関係であり、環境や社会への配慮はいわば「慈善活動」としての側面を持つものでした。1990年代に入ると、環境や社会への配慮が企業の「社会的責任(CSR)」であるという考え方が生まれます。一方、環境や社会への配慮が企業の利益追求とはトレードオフであるという考え方でもありました。そして2010年代以降、環境や社会への配慮が企業活動の必要条件であり、利益追求に資するという考え方、すなわちESG経営が普及してきています。
とはいうものの、特に中小企業においては、ESGの考え方を経営に生かせている企業は多くなく、今後の課題と言えます。また、週刊ダイヤモンド新春号のスタートアップ特集面では、VC・エンジェル投資家による注目領域・注目キーワードに、「ESG」やサステナビリティに関わる「クライメートテック」「カーボンクレジット」といった言葉が見られます。さらに、2023年の国内M&A件数の1割程度がESGを目的としたものだったという実績があり、ESG経営への取り組みは今後のスタートアップの出口政策にも影響を及ぼしそうです。
2024年は、ESGへの配慮を「当たり前」のものとして捉え、企業規模を問わず、アクションを起こす企業が増えることを期待します。