年末年始のビジネス雑誌・新聞やメディアでは、新しい年の展望について特集されるのが恒例となっています。今年も、そうした中から、気になるトピックをピックアップしていきます。
日本経済新聞がまとめた2025年のスタートアップの資金調達ランキングでは、人工知能(AI)の性能が進化するなか、ロボットや車を自律的に制御する「フィジカルAI」分野の成長期待が高まっていることが明らかになっています。
1位のムジンは、ロボット制御ソフト「MujinOS」の開発が主要な事業であり、物流倉庫のピッキングや搬送を担う多様な産業ロボットをブランドを限定せずに接続し、スムーズに自動化できます。3位のチューリングは、車の周辺環境の認知からハンドル操作までの全てをAIで担う「エンド・ツー・エンド(E2E)」の技術開発に取り組んでおり、30年には完全な自動運転の実現を目指しています。
2位のSakana AIは、他社が開発した複数のAIモデルを組み合わせることで、短期かつ低コストでAIの性能を高める技術に強みを持ち、金融など特定の業界が使いやすい製品開発を進めています。また、5位のThird Intelligenceは2025年3月の設立ながら、90億円を調達しました。AI研究の第一人者である東京大学の松尾豊教授が共同創業者で、チーフサイエンティストとして研究開発を主導しています。顧客が独自のデータを学習させてカスタマイズすることで、様々なタスクに対応できるようになるAIの開発を目指しており、「国産AI」への期待が高まる中での大型調達といえます。
半導体産業が復活するための次のステップ
AI・半導体分野は、2025年11月の国の第1回成長戦略会議で「戦略17分野」に選ばれており、生成AIの開発と実装を一体的に支援することやAI ロボティクスの開発・実証を促進すること、国内の半導体産業の競争力強化のため、先端・次世代半導体の設計・製造に関する技術開発等を支援することが明言されています。
先端・次世代半導体に関わる支援については、生産拠点の確立を目指して、すでにラピダスやTSMCといった企業への支援が行われてきました。次の課題は、設計分野の強化です。日本の半導体産業が衰退した過程において、設計分野の教育も細くなっており、産学連携などを活用した強化が急務となっています。製造に高度な技術力が要求される半導体産業では、TSMCのように製造に特化した企業も生まれていますが、「スマイルカーブ」 で表現されるように、一般的に製造業のバリューチェーン(価値連鎖)において、研究開発・設計(上流)と販売・サービス(下流)の付加価値が高いと言われます。また、「上流」と表現されているように、設計部門は価値を生み出す起点にもなります。半導体産業の復活に向けて、そうした動きが活発になるのかにも注目です。