最近、アメリカとEUから、小型自動車の生産・流通の促進が進むのではないか、という報道が相次いでありました。
●アメリカのトランプ大統領は12月3日、ダフィー運輸長官に対し、「小さな車」の米国生産を承認するよう指示したと明らかにしました。トランプ氏が10月に日本や韓国を訪問した際、VWのビートルのような「とても小さくて、本当にかわいらしい車」が多く走っているのを見て、米国での市場性を周囲に尋ねたことがきっかけといいます。トランプ氏は「アフォーダビリティー(価格の手ごろさ)」を重視しており、小型で安価な車が普及すれば「巨大な市場になるだろう」と期待を表明しています。ただし、トランプ氏が言及した「小さな車」が日本の独自規格である軽自動車を含むのかは説明されていません。
●EUは、主に中国勢の低価格EVに対抗し、域内の自動車生産を保護する目的で、自動車分類に「小型EV(電気自動車)」の新たな枠を設ける方針です。この新分類は「E Car(イーカー)」と名付けられ、日本の軽自動車規格を参考にしています。
EUは中国製EVに対し最大45.3%の関税を課していますが、新分類を設けることで、欧州車自体の価格競争力を高めようとしています。長距離走行を想定した必須機能の技術要件を緩和し、生産コストが大幅に抑制されると見られています。また、EU加盟国政府が検討する自動車税控除や開発補助金は、「域内生産」などを条件とする可能性が高く、EU域内での生産拠点が限られる中国勢の競争を抑制する効果も見込まれ、結果的に欧州の自動車メーカーが恩恵を受けると見られています。
日本の「軽自動車」分類は、日本の狭い道路事情もあり、グローバルに見ても独自の規格であるため、かつて欧米各国から「非関税障壁」との批判を受けたこともありましたが、動機が違うとはいえ、同時期に日本のコンパクトカーに対する注目が集まっているのは興味深いことです。また、コンパクトカーはそもそも環境性能に優れていますが、カーボンニュートラルに向かう流れもあり、国内メーカーは軽仕様のEVを強化しようとしています。コンパクトカーの普及が、グローバルな環境対策に貢献することへの期待も高まります。