地域の社会課題解決に挑むローカル・ゼブラ企業(辰野 博一)
中小企業庁は3月1日に、地域の社会課題解決の担い手となるゼブラ企業(ローカル・ゼブラ企業)の創出・育成に向けて「地域課題解決事業推進に向けた基本指針」を公表しました。
 
ゼブラ企業とは、2017年にアメリカで提唱された概念であり、時価総額を重視するユニコーン企業と対比させて、社会課題解決と経済成長の両立を目指す企業を、白黒模様、群れで行動するゼブラ(シマウマ)に例えたものです。社会課題解決と経済成長の両立を目指すゼブラ企業は、社会課題を成長のエンジンに転換していく、地域経済の新しい担い手となり得る事業者とされます。
 
昨年6月に改訂発表された新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画では、「地域の中小企業から、地域の社会課題解決の担い手となる企業(ゼブラ企業)を創出し、インパクト投融資を呼び込むため、ソーシャルビジネスを支援する地域の関係者を中心としたエコシステムを構築する。」 としており、この方針を推進するための指針となっています。
成長のためのKPIを設定する 
ローカル・ゼブラ企業は、「社会的インパクトと収益性の両立」を目指すものとされています。さらに、指針で紹介されている企業の中には、昨年12月に東証グロースに上場を果たした株式会社雨風太陽(岩手県花巻市)のように、企業としてのスケールを果たしている企業も含まれています。事業規模として成長することで、結果的により大きな社会への貢献・還元を期待することが、NPOや財団法人などではなく、「企業」の創出・育成を志向する意図といえるでしょう。
 
株式会社雨風太陽は、NPO 法人として活動を開始した当初から、“都市と地方をかきまぜる”ことをミッションに掲げています。「関係人口の創出」を自社が生み出すインパクトとして捉え、 2050年までに「2,000万人の関係人口の創出」を目指しています。実現に向けて、事業を通して「生産者と消費者のつながり」を創り出し、そのつながりが、地域と多様に関わっていく関係人口になっていくと期待しています。
 
そして、「社会的インパクトと収益性の両立」の実現のために、「顔の見える流通金額」「生産者と消費者のコミュニケーション数」「都市住民が生産現場で過ごした延べ日数」という関係人口創出に紐づく3つの指標を、”生産者と消費者のつながり”を示す数値として、財務諸表と同様の重要性を持って企業活動を進めていく(KPIとする)ことを、明言しています。
エコシステム確立のためのプレーヤー
指針では、エコシステムを確立するためのプレーヤーとして「地域中間支援」と「伴走支援」の必要性にもフォーカスしています。地域中間支援は、地域課題解決事業を推進するために、ローカル・ゼブラ企業と地域の関係者をつなぐ役割を持つ支援です。事業を地域に根付かせ、地域のエコシステム形成に貢献したり、地域の主体が課題を特定し、ローカル・ゼブラ企業の創業や成長を後押しします​​。指針では、地域金融機関、地域の中核企業、地方公共団体が、この支援を担うことを期待されています。
 
伴走支援は、自らの専門的知見を活かしたローカル・ゼブラ企業の立ち上げや成長の支援や、必要に応じて外部の専門家等のネットワークへのつなぎ役となる支援です。成長フェーズごとに、資金調達の検討、専門領域における知見の提供、ビジョン実現に向けた振り返りの場の提供など、様々な支援を行います​​。指針では、現在の担い手としてはローカル・ゼブラ企業の伴走を先進的に行っている主体が挙げられるが、今後は、地域の金融機関や既存の中小企業支援の担い手が地域課題解決事業を理解した上で、育成や連携に向けた支援を行うことが期待される、としており、担い手が増えることで、エコシステムが各地に創出されることを期待しているといえます。
指針のまとめでは、資金や人材の流れを生み出すための「共感」が、地域の持続的な発展と豊かな地域経済の創出のための「共助」への期待が述べられています。「共感」と「共助」のマインドを広げ、活動の輪を広げていくことが、ローカル・ゼブラ企業を目指す起業家には求められます。
<参考URL>
・中小企業庁ホームページ 2024年3月1日ニュースリリース「『地域課題解決事業推進に向けた基本指針』を策定しました」 詳しくはこちら→
・株式会社雨風太陽ホームページ「関係人口とインパクト」 詳しくはこちら→
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