経済産業省は、毎年10月を「産業標準化推進月間」と定めています。「標準化」とは、ある製品やサービス等に対して、利害関係者との間で任意の「決め事」を開発し、普及させる取組です。 例えば、自社の製品・サービスの質の高さを適切に評価できる試験方法をJIS(Japanese Industrial Standard:日本産業規格)として標準化することができれば、業界全体で同じJIS(モノサシ)でその製品等の質を評価できるようになるため、自社の優位性をアピールしやすくなります。
経済産業省が作成しているパンフレット「標準化ビジネスベストプラクティスと未来の話」では、実際に標準化に取り組んた企業の実例が紹介されています。
・Spiber株式会社は、植物由来の糖を使って人工構造タンパク質を製造し、石油資源や動物繊維に代わる次世代のバイオ素材を開発しているスタートアップ起業です。従来の繊維素材は、石油や動物資源に依存しており、環境への負荷が問題視されていましたが、Spiberの人工構造タンパク質は環境に優しく、分解性も高いことが特徴です。ただ、市場参入にあたり、国際規格(ISO 2076)でタンパク質繊維の定義に人工タンパク質が含まれていなかったため、Spiberは産学官連携で新たな規格改正を目指しました。その結果、ISO 2076において人工構造タンパク質が「タンパク質繊維」として定義され、タンパク質含有量が80%以上の繊維を「タンパク質繊維」とする改正が実現しました。この標準化により、素材としての認知性や社会的信用性が向上し、、粗悪品との差別化が図られました。
・「今治タオル」は、愛媛県今治市を拠点にした地域ブランドで、高品質なタオル製品を生産しています。「今治タオル」として認定されるためには、今治タオル工業組合が定めた品質基準に合格する必要があります。この品質基準は、吸水性、色落ち、耐久性など、タオルの機能性に関わる多くの項目で構成されており、それを評価するためにJIS規格が活用されています。例えば、吸水性の試験方法としては「JIS L 1907」が採用され、その他の基準でもJIS規格が活用されています。このような客観的な品質基準を満たした製品だけが「今治タオルブランド商品」として認定されています。こうした認定スキームにより、顧客から「安心・安全・高品質」というブランドイメージを高く獲得しており、商品の高付加価値化に大きく貢献しています。
これらの例に代表されるように、標準化はグローバル企業や大手企業だけが行えるものではなく、「世の中にないもの」を生み出したいスタートアップ、地域団体でも取り組み、効果を上げることができるものです。経済産業省は、「新市場創造型標準化制度」などの支援制度を設けて、標準化の活用促進を図っています。