現在(2025年12月)、国の雇用施策は大きな転換点を迎えています。現行の第11次計画は今年度で終了し、いよいよ2026年4月から「第12次職業能力開発基本計画」がスタートします 。
本記事では、厚生労働省の「令和8年度(2026年度)予算概算要求」や最新の議論を基に、次期計画の全貌と私たちへの影響を解説します 。
1. 次期計画(2026~2030年度)の「3つの重点テーマ」
第12次計画は、政府の「三位一体の労働市場改革」を実装する実行計画と位置づけられています 。特に以下の3点が柱となります。
①「生成AI」を含む実践的デジタル人材の育成 これまでの「知識習得」から一歩進み、「現場で使える」スキルの習得が重視されます 。座学だけでなく、企業現場での実習(OJT)を組み合わせたモデル事業に新規予算が要求されています 。
②「ミドルシニア」へのキャリア支援強化 40代・50代の活性化が急務です 。企業内での定着だけでなく、「セカンドキャリアに向けたリ・スキリング」や社外転進も含めた相談ニーズへの対応が求められます 。
③「ジョブ・カード」と「job tag」の統合活用 マイナポータルと連携した「デジタル・ジョブ・カード」の活用が本格化し、個人のスキルを可視化して転職市場で評価される仕組み作りが加速します 。
2. 令和8年度(2026年度)助成金・給付金のトレンド
予算配分の特徴は、「座学から『実践』へ」、そして「『ミドルシニア』の活性化」です 。
企業向け:人材開発支援助成金 「生成AI」を業務にどう組み込むかという「実践の場」を提供する訓練への助成が強化される見込みです 。また、概算要求の目玉として「中高年齢層のセカンドキャリアに向けたキャリアプランニング支援」に約42億円が計上されており、ミドルシニア向け施策の新設・拡充が予測されます 。
個人向け:教育訓練給付 「デジタル・グリーン・建設」などの成長分野において、給付率が高い「専門実践教育訓練給付」の指定講座が増加する見通しです 。
3. キャリアコンサルタントに求められる変化と対策
第12次計画では、支援の軸足が「職場適応」から「市場価値向上・主体的なキャリア自律」へとシフトします 。私たちには以下の準備が求められます。
- 「労働移動」前提の支援: 「転職=ネガティブ」ではなく、成長産業への移動を支援する情報収集を強化する 。
- 生成AIスキルの習得: クライアントに助言するため、支援者自身がAIを活用できる状態にしておく 。
- 最新情報のキャッチアップ: 来年度の助成金変更(特にミドルシニア・実践AI関連)を予習し、企業や個人への提案に備える 。
まとめ
2026年は、日本の雇用システムが「ジョブ型・自律型」へ移行する決定的な年となります 。制度の「正確な情報」を提供しつつ、変化に戸惑うクライアントに寄り添う「伴走力」を発揮していきましょう 。