今日はjobtag(日本版O-NET)について
メルマガ第551号をお送りします。
 
今日は日本版O-NETと言われているjobtagを取り上げます。厚生労働省がモデルにした米国のO*NETは1990年にリリースした”Occupational Information Network”の略で「職業情報ネットワーク」と訳されます。元々紙ベースであった職業情報「DOT」をネットワークに公開する、というコンセプトで開発されたシステムです。  
 
493号でも説明しましたが、この項目は非常に応用が利く項目なのですが、キャリコン試験勉強としては盲点になっている場合も多い分野です。 特にお勧めなのは主要コンテンツで取り上げたものです。 面接試験の質疑応答の中で単純に「jobtagを使って仕事理解を促します」とするのではなく、「jobtagのしごと能力プロフィールを利用して相談者が経験した能力を整理します」とした方がよりリアルなキャリアコンサルティングをイメージ出来ていることをアピールできます。
目次
 
1.職業情報提供サイトjobtag(日本版O-NET)について
2.jobtagの主要コンテンツ
3.Job-tagの構造的変化(2023-2025)
4.キャリコンはjob tagをどう使うか?
昨日発表された国家資格キャリアコンサルタント試験の結果のまとめを、アップしました。

📊 今回のポイント
✅ 学科合格率は76.9%と高水準 
✅ 実技はJCDAが68.2%とキャリ協をリード 
✅ 実務経験者受験の合格率に厳しい現実も…

次回受験の方も必見のデータ分析です。 詳細はブログで解説中👇 

第30回国家資格キャリアコンサルタント試験結果
https://career-c.sognoplanning.com/?p=3062
職業情報提供サイトjobtag(日本版O-NET)について

 職業情報提供サイト(日本版O-NET)(愛称:job tag(じょぶたぐ))は、「ジョブ」(職業、仕事)、「タスク」(仕事の内容を細かく分解したもの、作業)、「スキル」(仕事をするのに必要な技術・技能)等の観点から職業情報を「見える化」し、求職者等の就職活動や企業の採用活動等を支援するWebサイトです。

 

 まだ就業経験のない方や再就職先を探している方が、どんな職業があるのかいろいろな切り口から探したり、その職業ではどんな仕事内容・作業が一般的に行われ、どんなスキルや知識を持った方が働いているのか調べたりすることができます。

 

 また、学生のキャリア形成を支援する方、求職者への職業相談・職業紹介を行う方、企業内の人材活用に取り組む方に活用していただける様々な機能も搭載されています。

出所:職業情報提供サイト(日本版O-NET)
jobtag(じょぶたぐ)日本版O-NET
まずjobtagの説明資料を入手しておきましょう
 
jobtagホームページのTop画面です
jobtagのコンテンツです
jobtagの主要コンテンツ
支援者向け活用ガイド・支援者向け活用ガイド参考資料
学生等に対する「キャリア教育」のシーン、求職者に対する「求職支援」のシーン、キャリアアップ等を目指す相談者に対する「能力開発」のシーンごとに、活用できる機能を紹介。

職業興味検査・価値観検査・職業適性テスト(Gテスト)
結果とともに、支援対象者にあった職業を提示します。

色々な観点から職業を見る
IT業界の仕事、金融・保険に関わる仕事などの業界別や、事務、営業などの職種別など、特集として色々な観点から職業を見ることができます。
 
 職業を調べる(フリーワード検索・テーマ別・イメージ検索等
支援に際してよく知らない職業があった場合にも、知識を深めて頂けます。また、需給調整事業者の方々には、社員研修などでもご利用頂けます。

 求職ガイド
求職活動の流れを説明し、ステップごとに結果を書き込んでまとめることができるガイドツールです。

しごと能力プロフィール
職歴や説明を見ながら「しごと能力プロフィール」をまとめることができます。職歴が長い人だけでなく、比較的短い職歴が多くある方などについても、それまで就業した職業の総体としての能力プロフィールをまとめて見える化することができます。

しごと能力プロフィール検索
しごと能力プロフィール検索から波形が近い職業を検索することができます。また、キャリア分析では、しごと能力プロフィールの波形を就きたい職業の数値データと比較することで、あっているところ、ずれているところが確認できます。途中、「不足しているスキル・知識」や「関連資格」が出てきますので、今後の教育訓練内容を検討することも可能です。

ホワイトカラー系19職種レベルチェック
ホワイトカラー系職種の職歴のある方の支援に、スタッフレベルからシニアマネージャーやシニアスペシャリストまで、求められる業務遂行のための基準について、どれぐらいできているか確認することができます。

ポータブルスキル見える化ツール
ポータブルスキルからそれを活かせる職務・職位を確認することができます。

労働法の基礎知識/全国最低賃金一覧
労働法について基本的な内容を解説しています。労働者の権利や何が違法なのか把握することができます。支援対象者に渡すツールとしてもご活用頂けます。 タスクを整理
障がい者支援などでは、雇い入れる企業側に部署内や企業内のタスクを入力してもらい、その中から支援対象者ができることを選定していくことで、雇い入れる企業に雇い入れの効果を見える化することができます。

求人ガイド
人材募集・採用までの流れを説明し、整理すべきポイントを書き込んでまとめることができます。求人を受け付ける際のツールとしてもご活用いただけます。 
 
職業情報動画一覧
類似する職業の動画を連続で見るなど、動画中心でご利用される場合などにご利用いただけます。
Job-tagの構造的変化(2023-2025) 
~キャリア支援の高度化に向けた必須知識~

「職業情報提供サイト(Job-tag)」は、単なる情報データベースから、キャリア形成を能動的に支援する実践的プラットフォームへと構造的な変化を遂げています。特に2023年から2025年にかけてのアップデートは、キャリアコンサルタントとしての支援の質を大きく左右するものです。


本稿では、これらの重要な変更点を3つの観点から詳説します。

 

1. 職業能力要件の具体化:DX・生成AIの本格的導入

かつて「PCスキル」といった抽象的な表現に留まっていた職業能力要件は、現代の業務実態を反映し、大幅に具体化・高度化されました。特にDX(デジタルトランスフォーメーション)と生成AIの活用に関する記述の拡充は、全てのキャリアコンサルタントが把握すべき最重要項目です。


具体的な変化として、以下のような記述が多くの職種で追加・更新されています。

  • データ分析・活用: 営業職やマーケティング職において、「各種分析ツールを用いたデータに基づく顧客インサイトの抽出」や「ダッシュボードを活用したKPI管理」といったタスクが明記された。

  • 業務自動化(RPA): 事務職や経理職において、「RPA(Robotic Process Automation)ツールを活用した定型業務の自動化」や「業務プロセス改善の企画・実行」といった能力要件が追加された。

  • 生成AIの活用: 企画職や広報職において、「生成AIを用いた資料・企画書のドラフト作成、情報収集、文章校正」など、具体的なAIツールの活用が業務内容として記載されるようになった。

これらの変化は、労働市場が求めるスキルセットの質的転換を示しており、相談者への助言において不可欠な視点です。

 

2. 支援機能の進化:「自己分析」から「具体的行動」への架け橋

2024年4月のサイトリニューアル以降、Job-tagは単に「調べる」ツールから、相談者の「次の一歩」を具体的に後押しするツールへと進化しました。その中核をなすのが、「キャリア分析」機能の拡充と「教育訓練給付制度」対象講座への動線確保です。

 

この連携が持つ専門的な意味は極めて重要です。

  • 行動喚起の円滑化: 従来、自己分析の結果や興味のある職業が見つかっても、「では、そのために具体的に何を学ぶべきか」という次のステップには進めませんでした。今回の機能強化により、職業情報ページから直接、政府の給付金対象となる教育訓練講座を検索できるようになりました。これにより、「興味・関心」から「能力開発(スキルアップ)」への移行がシームレスに繋がり、相談者が具体的な行動を起こすための心理的・情報的障壁が大幅に低減されました。

  • 支援の具体性と信頼性の向上: キャリアコンサルタントは、相談者の希望するキャリアパスに対し、「Job-tagで示されたこのスキルを習得するために、国が支援するこの講座があります」という、客観的なデータと公的制度に基づいた具体的かつ信頼性の高い提案が可能になります。これにより、支援の説得力が増し、相談者との合意形成がより円滑に進みます。

これは、キャリア支援が「精神的サポート」に留まらず、「具体的な能力開発計画の共同策定」へと踏み込むための強力なインフラが整備されたことを意味します。

 

3. 新規職業の追加:時代のニーズを映す15の専門職

 

2025年4月、技術革新、産業構造の変化、新たな社会課題といった現代の要請を的確に反映した15の職業が新たに追加されました。これは、労働市場の最先端の動向を示す極めて重要な指標です。

追加された15の職業は以下の通りです。

  1. GXコンサルタント

  2. プラットフォームアーキテクト

  3. データサイエンティスト(金融)

  4. 店舗開発(小売)

  5. MR(再生医療)

  6. 獣医療機器営業

  7. カスタマーサクセス(IT)

  8. サイバーセキュリティ技術者(製品開発)

  9. ドローンパイロット(インフラ)

  10. 半導体後工程技術者

  11. 再生可能エネルギー発電設備保守・運用技術者

  12. EV・HV等整備士

  13. 認定遺伝カウンセラー®

  14. ゲノム医療コーディネーター

  15. バイオインフォマティシャン

これらの職業群は、脱炭素(GX)、デジタル化、先端医療、新技術といった分野に集中しており、今後のキャリアを考える上での重要な指針となります。

 

まとめ

Job-tagの進化は、キャリアコンサルタントに対し、常に知識をアップデートし、新しいツールを使いこなす専門的責務を課しています。記述の具体化、支援機能の進化、そして新規職業の追加という3つの動向を的確に把握・分析し、日々の相談支援業務に活かすことが、専門家としての価値を証明します。


公式サイトを定期的に確認し、これらの変化を自身の知識として定着させることが重要です。

キャリコンはjob tagをどう使うか?

「job tag」は、厚生労働省が運営する総合的な職業情報提供サイトであり、キャリアコンサルタント(キャリコン)が求職者を支援する上で非常に強力なツールとなります。その活用法は多岐にわたりますが、主に以下の4つの側面から支援に役立てることができます。

 

1. 客観的な自己分析の深化

キャリコンは、相談者との対話を通じて自己理解を促しますが、「job tag」の豊富な自己診断ツールを用いることで、そのプロセスを客観的なデータで補強できます。

  • 職業興味検査や価値観検査: 相談者がどのような仕事に興味を持ち、仕事において何を大切にしたいのかを可視化します。これにより、漠然とした希望を具体的な言葉で捉え直すきっかけになります。
  • 職業適性テスト(Gテスト)やしごと能力プロフィール: 相談者の能力的な強みや特性を客観的に把握し、適職を考える上での重要な参考情報となります。
  • ポータブルスキル見える化ツール: 異業種・異職種への転職を考える相談者に対し、これまでの経験で培った持ち運び可能なスキルを明確に示し、自信を持ってキャリアチェンジに臨めるよう支援します。

これらの結果を対話と組み合わせることで、相談者はより深く、納得感を持って自己理解を進めることができます。

 

2. 具体的な職業情報の提供と探索

自己分析で得られた興味や価値観、スキルをもとに、具体的な職業情報を探索する際に「job tag」は真価を発揮します。

  • 多角的な検索機能: キーワード検索だけでなく、「仕事の内容」「必要なスキル・知識」「免許・資格」など、様々な切り口で職業を検索できます。「未経験でも比較的入りやすい職業」といった実践的な条件での検索も可能で、相談者の状況に合わせた情報提供が容易になります。
  • 詳細な職業情報: 各職業について、仕事内容、求められるスキル、平均年収、求人倍率、関連する資格、キャリアパスの例など、詳細な情報が網羅されています。これにより、キャリコンは根拠に基づいた具体的な情報を提供でき、相談者は仕事に対する理解を深めることができます。

3. キャリアプランニングの支援

中長期的な視点でのキャリアプランニングにおいても、「job tag」は有効です。

  • キャリア分析ツール: これまでの職務経歴をインプットすることで、キャリアの棚卸しを支援します。自身のキャリアの変遷を客観的に振り返ることで、今後の方向性を考える上での土台を築きます。
  • 職業能力チェック: 興味のある職業と現在の自分とのギャップを具体的に把握できます。目標とする職業に就くために、今後どのようなスキルや知識を習得する必要があるのか(学習の方向性)を明確にするのに役立ちます。

4. 企業側の視点の提供

求職者支援だけでなく、企業側の視点を理解する上でも役立ちます。「人材採用要件整理」などの企業向けツールを見ることで、企業がどのような人材を求めているのかを推測し、相談者の応募書類作成や面接対策に活かすことができます。

 

まとめ

以上のように、キャリアコンサルタントは「job tag」を駆使することで、自己分析の深化、具体的な職業情報の提供、長期的なキャリアプランニングの支援といった、キャリアコンサルティングの各段階で、より客観的で質の高い支援を提供することが可能になります。相談者自身が主体的に情報を収集・活用する習慣を身につけるきっかけともなり、自律的なキャリア形成を力強く後押しする羅針盤のような存在と言えるでしょう。

メルマガ名:キャリコン試験対策メルマガ(第551号)
発行者  :夢ロープレ研究室
発行責任者:中島則生
発行会社 :ソーニョプランニング株式会社
夢ロープレ研究室ホームページ:https://career-c.sognoplanning.com/
(YouTube)夢ロープレ研究室チャンネル:https://tinyurl.com/2buq7p5w
公式LINE:https://lin.ee/erkyqbh
アーカイブ(直近10号分):https://archive.benchmarkemail.com/yume_roleplay
正しく表示されない場合はこちら
このメールは、ソーニョプランニング株式会社からのメール配信をご希望された方に送信しております。今後も引き続きメールの受信を希望される方は こちらをクリック してください。 今後メールの受信をご希望されない方は、こちらから配信停止手続きが行えます。
本メールは info@sognoplanning.com よりinfo@sognoplanning.com 宛に送信しております。
〒220ー0004 神奈川県横浜市西区北幸1丁目11番1号水信ビル7F,


全てのメーリングリストから配信を停止する。 配信停止 | 登録情報更新