今日はキャリア構築理論のサビカス
メルマガ第554号をお送りします。
 本日はキャリア構築理論のサビカスを説明します。
目次
 
.ソーニョプランニング開催セミナーのご案内 (PR)
2.マーク・サビカス
3.自分探しのヒントが満載!キャリアインタビュー「5つの質問」の深い意味を知っていますか?
4.(コラム)スーパーとサビカス:キャリア発達理論の巨匠とその継承者
ソーニョプランニング開催セミナーのご案内 
詳細は画像をクリックしてください
経験×AIはキャリコンがシニアを支援する上で重要な概念です。シニア向けのセミナーですがシニアを支援するキャリコンにも役に立つセミナーです。

マーク・サビカス(1947〜) 

サビカスの理論の出題は「キャリア構築理論」と「キャリア構築インタビュー」という2つのグループに分類できます。

 

マーク・サビカスはキャリア発達理論のドナルド・スーパー、六角形(RIASEC)のジョン・ホランドに指導を受け、さらにアドラー心理学などからも影響を受けてキャリア構築理論を作り上げました。 

サビカスは第29回・第30回試験で出題されませんでした。第30回は他にもスーパーが出題されなかったというようなサプライズがありました。出題者の変更にともなう出題傾向の変化とも考えられますが、スーパーにしても、サビカスにしても重要な理論家であることに変わりはありません。
 
出題される時には大問で出題されることが多いので、しっかりポイントを押さえておきましょう。
 
なお、いつも紹介しています「職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査」(独立行政法人労働政策研究・研修機構) <以後ジル資料と呼ぶようにします>を読むとサビカスは2項目にまたがって説明されています。 
 
 1つが「キャリア構築理論」でもう一つが「キャリア構築インタビュー」です。 
 
過去問を紐解くと大問として出される時には、概ねこれら2つの項目に関する問題が多いようです。ジル資料で1項にまとめられなかったくらいですので、2つに項目にまたがった問題は出題しにくいのかもしれません。
【記憶サポート】
 
マーク・サビカスキャリア発達理論ドナルド・スーパー角形(RIASECジョン・ホランドに指導を受け、さらにアドラー心理学などからも影響を受けてキャリア構築理論を作り上げました。
 
キャリア構築理論を構成する要素のうち「職業パーソナリティー」はホランドの実証的なアプローチ、「キャリア・アダプタビリティ」はスーパーが提唱したものをサビカスがさらに深化させたものです。
 
このように複数の理論家を関連付けることで、記憶が安定します。
キャリア構築理論
キャリア構築理論では以下のようなステップでクライエントを支援していきます。
  1. 小さなストーリー(マイクロナラティブ)を通してキャリアを構築

  2. これらのストーリーを大きなストーリー(マクロナラティブ)となる語りを再構築する

  3. 現実の世界で次の行動のエピソードへとつながる意図を共構築する。

➀職業パーソナリティー 
個人が持っている、キャリアに関係するニーズや考え方、興味、そして能力を指します。サビカスの職業パーソナリティはパーソンズ→ウィリアムソン→ホランドにつながる特性因子理論がベースになっています。
 
②キャリア・アダプタビリティ
現在あるいは直近の職業的発達課題、職業的移行、個人的トラウマなどに対処するための個人のレディネスおよびリソースと定義されています。レディネスとは学習に必要な準備が整っている状態を指します。

※キャリア・アダプタビリティは4つの次元で構成されています。
・キャリア関心
・キャリア統制
・キャリア好奇心
・キャリア自信
③ライフテーマ

人々の職業行動に意味を与え、なぜその仕事で働くのかを明確にする職業生活でもっとも主観的な概念です。

長期的な目標を追求しながら、同時に統一感のあるキャリアを形成するということが難しい現状で、キャリアに統一感のある意味や価値観を与える解釈の枠組みです。

 

ライフテーマを導くのに用いられるのが「キャリアストーリーインタビュー」であり、5つの質問が有名です。

<キャリアストーリーインタビューの5つの質問>
  1. 子どもの頃に尊敬していた人物は?
  2.  定期的に読む雑誌・見るテレビ番組は?
  3.  好きな本や映画のストーリーは?
  4.  好きな格言や座右の銘は?
  5.  一番古い幼少期の思い出は?

自分探しのヒントが満載!キャリアインタビュー「5つの質問」の深い意味を知っていますか?

「自分に本当に合う仕事って何だろう?」 「このままでいいのかな……」

キャリアに悩んだ時、そのヒントをくれるのが、米国の心理学者マーク・サビカスが提唱した「キャリア構築理論」に基づくインタビューです。

 

これは、難しく言えば「あなたが自分の人生をどんな『物語(ストーリー)』として意味づけているか」を理解するための手法。でも、もっと簡単に言えば、「あなたらしさの源泉」を一緒に探るための、ちょっと不思議な面談です。

 

一見するとただの雑談?と思うような5つの質問から、あなたが大切にしている価値観、本当にワクワクすること、そして無意識に取っている行動パターンまで、いろんなことが見えてきます。

 

🗨️ 5つの質問、その裏にある「本当の狙い」

それぞれの質問に隠された意図を、こっそり解説しますね。

 

1. 憧れの人(ロールモデル)は誰ですか?

  • 質問の狙い: あなたの「理想の自分(こうありたい!)」を探ります。

  • 解説: 私たちが誰かに「素敵だな」「あんな風になりたいな」と憧れる時って、実はその人に「自分が心の底で大切にしている価値観」や「こうなれたら最高だな」という姿を無意識に重ねていることが多いです。

    その人の「どんなところ」に惹かれますか? 例えば、「信念を曲げない強さ」「ピンチでもユーモアを忘れないところ」「誰に対しても優しい姿勢」とか、色々あります。

    そこを深掘りしていくと、あなたがキャリアで何を一番大事にしたいのか(例えば「信念」なのか「優しさ」なのか)がハッキリしてきます。まさに、あなたの人生の「価値」を見つけるような作業です。

 

2と3. よく見る雑誌やテレビ、お気に入りの本・映画は?

  • 質問の狙い: あなたが「本当に好きなこと」や「居心地のいい環境」を理解します。

  • 解説: これは、2つのパートに分かれています。

    ① 雑誌やテレビ番組(日常の情報): 普段、自然と目がいってしまう情報は、あなたの純粋な「興味・関心」そのものです。 ついビジネス誌を読んじゃうなら「成長」がキーワード、趣味の雑誌ばかりなら「探求心」が強い証拠。ドキュメンタリーが好きなら、社会の動きに敏感なのかもしれません。 これが、あなたがどんな「分野」や「職場の雰囲気」だとイキイキできるかのヒントになります。

    ② お気に入りの本や映画(心惹かれる物語): これは単なる「好み」以上に、あなたが「人生の壁をどう乗り越えるか」という「人生の台本」のようなものを象徴しているんです。 好きな主人公が「どんな困難」にぶつかって、「どう乗り越えたか」に感動するなら、あなたも無意識に似たような解決方法を選ぼうとする傾向がある、と考えられます。

 

4. あなたの「座右の銘」や好きな言葉は?

  • 質問の狙い: あなたが「人生で迷った時の指針」や「自分にかける言葉」を知ります。

  • 解説: 好きな言葉やモットーは、決断に迫られた時や落ち込んだ時に「あ、そうだ、こうしよう」と立ち返る、自分だけの「お守り」や「ナビ」みたいなものですよね。

    「継続は力なり」が心に響くなら、きっと「コツコツ努力すること」をすごく尊いものだと感じているはずです。「為せば成る」が座右の銘なら、「まずはやってみよう!」という挑戦する心を重視している。 これは、あなたが壁にぶつかった時、自分自身にどんなエールを送るか、どんな信念で動くかを知る大きな手がかりです。

 

5. 子どもの頃(3〜6歳くらい)の印象的な思い出は?

  • 質問の狙い: あなたの「価値観のルーツ」と「今、何と向き合っているか」を探ります。

  • 解説: 不思議なもので、幼い頃の強烈な記憶は、その後の「何を大事にするか」「世界をどう見るか」という根本的な価値観(ライフテーマ)がギュッと詰まった「原体験」であるケースが多いです。

    そして、ここが一番面白いポイントですが…… 過去の思い出を「今」語る時、私たちは無意識に「今の自分のフィルター」を通して、その記憶を再編集しています。

    そのため、その思い出を「今、どう感じているか」がすごく大事です。例えば、昔の失敗を「ただ悔しかった」と語るのか、「あれがあったから学べた」と語るのか。それだけで、あなたが「今」どんな課題を持っていて、それをどう捉えているかが全然違って見えてきます。

 

まとめ:あなたの「ストーリー」こそがキャリアの資源

これらの質問は、「あなたの強みは?」「やりたい仕事は?」のように直接的に聞くものではありません。

これは、あなた自身の内側にある「ストーリー」にじっくりと耳を傾ける作業なんです。

 

その物語の中にこそ、あなたのキャリアを作っていくための大事な「材料(=価値観、興味、ピンチの乗り越え方)」がたくさん隠されています。

 

もしキャリアに悩んだら、ちょっと立ち止まって、自分にこの5つの質問を投げかけてみませんか? きっと、自分でも気づかなかった「あなたらしさ」を見つける、強力なヒントになるはずですよ。

キャリア構成理論におけるキャリアカウンセラーの役割
①ナラティブの再構成
クライエントのマイクロナラティブからマクロナラティブを作ること。キャリアテーマを明らかにする。
②ナラティブの脱構成
キャリアチェンジの選択肢を制限するような予測や有害な考えを取り除くこと。
③ナラティブの共構成
キャリアテーマを未来に拡張し、自分自身のストーリーを前進させる手助けをする。
キャリア構築理論のその他の概念

・ナラティブアイデンティティ

人が青年後期に発達させ始め、人生に意味と目的を提供する内在化され、進化したライフストーリー

 

・キャリアテーマ

小さなストーリー(マイクロナラティブ)をマクロナラティブに統合する暗黙のパターンのこと 

(コラム)スーパーとサビカス:キャリア発達理論の巨匠とその継承者

キャリア発達とカウンセリングの分野で、ドナルド・スーパーとマーク・サビカスは、師弟関係として知られています。そしてこの二人は20世紀後半から21世紀にかけてのキャリア理論の発展に極めて大きな影響を与えたています。

スーパーが築いたキャリア発達の基礎を、サビカスが現代的な視点から発展させ、その理論は今日のキャリア支援の現場に深く浸透しています。ここでは、この二人の関係性と、その理論的連続性および発展について説明していきたいと思います。

ドナルド・スーパー:生涯にわたるキャリア発達の提唱

ドナルド・E・スーパー(1910-1994)は、キャリアを単なる職業選択ではなく、生涯にわたる発達プロセスとして捉え、「自己概念」と「ライフステージ」、「ライフ・キャリア・レインボー」といった革新的な概念を提唱したことで知られています。

 

スーパーは、個人が自身の能力、興味、価値観をどのように認識し(自己概念)、それが年齢や経験と共にどのように変化・発達していくか(ライフステージ)を重視しました。そして、人生における多様な役割(子供、学生、労働者、余暇人、市民、家庭人など)の組み合わせが、その人独自のキャリアを形作る(ライフ・キャリア・レインボー)と考えました。

 

彼の理論は、それまでの特性因子論(個人と職業の適合を重視する考え方)から、より包括的でダイナミックなキャリア観への転換を促し、キャリアカウンセリングに人間的発達の視点をもたらしました。

 

マーク・サビカス:スーパー理論の継承と発展

マーク・L・サビカスは、ドナルド・スーパーの最も著名な弟子の一人として、その理論的遺産を継承し、21世紀の社会状況に合わせて発展させました。

 

サビカスは、スーパーの薫陶を受けながら、自分自身の博士論文ではクライツやホランドといった他の著名な研究者からも指導を受けるなど、幅広い知見を統合していきました。スーパーの蔵書を全て受け継いだというエピソードは、二人の深い師弟関係と、サビカスが正統な後継者と目されていたことを象徴しています。

 

スーパーの死後、全米キャリア発達学会が発行した追悼書籍『D・E・スーパーの生涯と理論』では、サビカスがスーパーの伝記部分を執筆しており、師の生涯と理論形成の背景を深く理解し、後世に伝える役割を担いました。

 

キャリア・アダプタビリティ:師から弟子へと受け継がれた重要概念

スーパーとサビカスの理論的連続性を象徴する重要な概念が「キャリア・アダプタビリティ」です。これは、変化する環境や予期せぬ出来事に対して、個人が柔軟に対応し、キャリアを主体的に形成していく能力を指します。

 

スーパーが最初にこの概念の重要性を示唆し、サビカスがそれをさらに精緻化し、体系的な理論として構築しました。サビカスはキャリア・アダプタビリティを「関心(Concern)」「統制(Control)」「好奇心(Curiosity)」「自信(Confidence)」という4つの次元(4C)で捉え、現代の不安定な社会において個人がキャリアを切り拓いていくための具体的な指針としました。

 

キャリア構築理論:ナラティブ・アプローチによる現代的展開

サビカスは、スーパーのキャリア発達理論を基盤としながらも、社会構成主義ナラティブ・アプローチを取り入れた「キャリア構築理論」を提唱しました。これは、キャリアを客観的な事実の積み重ねとしてではなく、個人が自らの経験に意味を与え、ストーリーとして構築していく主観的なプロセスとして捉えるものです。

 

カウンセリングにおいては、「キャリアストーリー・インタビュー」という手法を用い、クライエントが自身の過去の経験やロールモデル、好きな言葉などを語ることを通じて、その人独自のライフテーマ(人生の主題)を見出し、未来のキャリア設計を支援します。

 

スーパーの理論が個人の内的な発達段階と自己概念に焦点を当てたのに対し、サビカスの理論は、個人が社会との相互作用の中で、いかに自己のキャリアを意味づけ、物語として創造していくかという点を強調しており、より個人の主体性と解釈の重要性を前面に押し出したと言えます。

 

まとめ:現代キャリア支援への貢献

ドナルド・スーパーとマーク・サビカスの師弟関係は、単に個人的なつながりに留まらず、キャリア発達理論の深化と発展における重要な礎となりました。

 

スーパーが提示した生涯発達の視点と自己概念の重要性は、サビカスによってキャリア・アダプタビリティという具体的な能力として磨かれ、さらにナラティブという現代的なアプローチを通じて、個人の主体的なキャリア構築を支援する理論へと昇華されました。

 

二人の業績は、現代のキャリアカウンセラーや教育者にとって不可欠な知識であり、変化の激しい時代を生きる私たち一人ひとりが、自分らしいキャリアを築いていくための灯台として、今もなお輝き続けています。

メルマガ名:キャリコン試験対策メルマガ(第554号) 
発行者  :夢ロープレ研究室
発行責任者:中島則生
発行会社 :ソーニョプランニング株式会社
正しく表示されない場合はこちら
このメールは、ソーニョプランニング株式会社からのメール配信をご希望された方に送信しております。今後も引き続きメールの受信を希望される方は こちらをクリック してください。 今後メールの受信をご希望されない方は、こちらから配信停止手続きが行えます。
本メールは info@sognoplanning.com よりinfo@sognoplanning.com 宛に送信しております。
〒220ー0004 神奈川県横浜市西区北幸1丁目11番1号水信ビル7F,


全てのメーリングリストから配信を停止する。 配信停止 | 登録情報更新