ジェラットの「連続的意思決定プロセス」と「積極的不確実性」について
メルマガ第560号をお送りします。本日は「連続的意思決定プロセス」と「積極的不確実性」のジェラットを紹介します。

またロープレ対策分野では「間」と「視線」で傾聴力を示す重要性というテーマで説明をします。
目次
 
1.【徹底解説】合格率60%と20%の壁/国キャリと2級技能士、ロープレ試験の決定的な違い 
2.ハリィ・ジェラット 
3.【ロープレ試験対策】「間」と「視線」で傾聴力を示す重要性

【徹底解説】合格率60%と20%の壁

国キャリと2級技能士、ロープレ試験の決定的な違い 

キャリアコンサルタントの資格を取得し、いざ「2級技能士」へ。 しかし、ここで多くの人が高い壁にぶつかります。それもそのはず、国キャリの実技合格率が概ね60%以上であるのに対し、2級技能士は20%を割り込むことも珍しくない、非常に狭き門だからです。

 

「国キャリと同じ感覚で臨んでいるのに、なぜか受からない……」 そう悩む方が多いのは、試験が求めているコンサルタントのレベルが根本から異なるためです。

国キャリが良き聴き手(傾聴者)としての基礎を問うているのに対し、2級は熟練した支援者(介入者)としての解決能力を問うています。この合格率40ポイントの差の正体を、3つのポイントで紐解いていきましょう。

 

1. 「寄り添い」から「ギアチェンジ」へ:時間の使い方の違い

まず、試験時間の5分の差。これは単に「長く話せる」という意味ではありません。

国キャリ(15分)のゴールは、主に信頼関係の構築(ラポール)と、相談者の訴えを正確に把握することにあります。相談者が安心して話せ、何に困っているかをしっかり聴き取れれば、合格ラインに届きます。

しかし、2級(20分)では、これらに加えて具体的展開力が必須となります。 ただ丁寧に聴き続けるのではなく、面談の中盤(開始8〜10分頃)で、傾聴モードから問題解決モードへとギアを切り替える必要があるのです。

2級において「最後まで優しくお話を聴いて終わった」というのは、厳しい言い方をすれば展開力不足とみなされます。目標設定や具体的な方策への合意形成まで踏み込めるかどうかが、合格率20%の枠に入れるかどうかの分かれ目です。

 

2. 「表面的な悩み」から「真の問題」の発見へ

最も大きな違いは、問題を捉える深さにあります。

国キャリでは、相談者が話したいこと(来談目的)を漏らさず受け止めることが重視されます。 対して2級では、相談者自身も気づいていない、本当の問題(主訴)を見抜く力が求められます。

 

「なぜ、この人はこの状況で立ち止まっているのか?」 その背景にある思い込み、認知の歪み、あるいは自己概念の影……。プロの視点でそれらを「見立てる」ことができなければ、2級の合格は遠のきます。相談者の言葉をそのまま受け取るだけでなく、その裏側にある構造的な課題を特定する、高度な専門性が問われているのです。

 

3. 理論を「知識」ではなく「道具(地図)」として使う

国キャリにおいて、理論は学科試験のために暗記するものという側面が強かったかもしれません。しかし2級では、面談の現場で道具として使いこなすことが求められます。

 

例えば、相談者が混乱している時にシュロスバーグの4Sで状況を整理したり、サビカスのナラティブを用いて物語を再構築したり。理論は、相談者を迷わせないための地図のような存在です。

 

さらに、口頭試問(10分)も勝負の分かれ目です。 「なんとなくこう思いました」という感覚的な回答ではなく、「〜という理論に基づき、こう見立てたので、この質問をした」と、自分のアプローチを論理的に説明できる再現性。これこそが、熟練レベル(2級)に相応しい証となります


結論:求められているのは、プロとしての「意図」

合格率が示す通り、2級は受容的に支える段階を卒業し、専門的知見を持って介入し、相手の変容を促す段階へとステップアップすることを求めています。

「なんとなく聴く」のではなく、意図を持って問いかけ、構造的に把握し、論理的に展開する。 この意識の転換こそが、2級技能士という難関を突破するための最大の鍵となります。

ハリィ・ジェラット (1926~2021)

「連続的意思決定プロセス」「積極的不確実性」を提唱した意思決定理論の研究者です。

 

ジェラットが最初に提唱したのが連続的意思決定プロセスで、その後に示したのが積極的不確実性の理論です。

 

ジェラットは前期の「主観的可能性」連続的意思決定プロセス」と後期に「積極的不確実性」という大きなテーマがあり、過去問を見てもそれ以外のテーマは出題されません。  

 一時期毎回出ていたので、それほど範囲が広いわけではなく、難解な問題を作りやすいわけでもないので、どうしていきなりのジェラット推し?と感じましたが、その後出題が少なくなりましたので、まあ、こんなものかな?と感じています。
連続的意思決定プロセス

<3段階のシステム>

 

①予測システム(予期システム)
選択可能な行動とその結果の予測を行う。自分の客観的な評価と選択肢がマッチするかどうかを予測する。 


価値システム

予測された結果が自分にとってどの程度望ましいか検討する。自分の価値観や興味関心に合っているかどうか検討する。 


③基準(決定)システム

可能な選択を目的や目標に照らして評価し、その基準に合致したものを選択する。 

<3段階のシステムの参考事例>

55歳になったメーカーに勤務している現在営業部長のAさんは、➀57歳で役職定年になり、60歳の定年退職後は再雇用で働く、②会社の早期退職制度を使い、1年以内の転職を考える、③定年退職後に起業をできるよう今から準備をする、という3つのキャリアビジョンをもっている。
 
(予測システム)Aさんにとってどの選択肢が起こりうる可能性が高いか?
(価値システム)どの結果がAさんに最も幸せなキャリア生活をもたらすか?
(決定システム)予測システム、価値システムに基づいて3つの選択肢を正確に見積りした結果から得られた基準をもとにAさんは決定を行う。
連続的意思決定プロセスに沿ったガイダンス
  • 情報収集を行わせる
  • 意思決定の時機を捉えさせる
  • 人が陥りやすい3つの誤りに注意させる(要注意!)
    ➀inability(正確に評価できない)
    ②lack(あり得る選択肢を網羅できない)
    ③known(頭にあるものしか認識しない)
  • 眼前の決定が究極的目標を促進させることを理解させる
  • 連続的意思決定のプロセスを理解させる
  • 実行ガイダンスを評価する
 
積極的不確実性 
ジェラットの後期理論と呼ばれている理論であり、将来の不確実性をありのままに受け入れて前向きに捉えることで、新たな意思決定を行っていく考え方。趣旨は下記のジェラットの説明で分かります

「未来は存在せず、予測できないものである。それは創造され、発明されるのである。合理的なストラテジーは時代遅れなのではなく、もはや効果的でないというだけである」
(Gelatt,1989)
 
<意思決定の新たなガイドライン>
➀情報は限られており、変化し、主観的に認知されたものである。
②意思決定は、目標に近づくと同時に、目標を創造する過程でもある。
※新しいガイドラインでは(思慮深い)想像力、直感、柔軟性が重要である。 
【ロープレ対策】「間」と「視線」で傾聴力を示す重要性

キャリアコンサルタント試験の難関の一つであるロープレ試験。限られた時間の中で相談者との信頼関係を築き、問題を的確に把握するためには、高度な「傾聴」のスキルが求められます。

 

言葉による応答だけでなく、非言語的なコミュニケーション、特に「間(ま)」と「視線」の使い方が、傾聴の質を大きく左右し、試験の評価にも影響を与えます。本記事では、ロープレ試験における「間」と「視線」の重要性と、その効果的な活用法について解説します。

 

1. ロープレ試験における傾聴の重要性

ロープレ試験では、キャリコンとして相談者の話を深く理解し、共感的に関わる姿勢が評価されます。傾聴は、単に相手の話を聞くことだけではありません。言葉の内容だけでなく、表情、声のトーン、しぐさといった非言語的な情報にも注意を払い、相談者が本当に伝えたいこと、抱えている感情を受け止めるプロセスです。

 

効果的な傾聴を通じて、相談者は「受け入れられている」「理解されている」と感じ、安心して自己開示を進めることができます。これが、信頼関係(ラポール)の構築と問題把握の基礎となります。

 

2. 「間」がもたらす傾聴の効果

会話における「間」は、単なる沈黙ではありません。キャリアコンサルティングにおいては、非常に重要な意味を持つ傾聴技法の一つです。

  • 相談者の思考や感情を促す: 相談者が話し終えた後、すぐに言葉を返すのではなく、一呼吸置くことで、相談者は自分の考えを整理したり、言葉にしきれなかった感情に気づいたりする時間を得られます。「間」は、相談者の内省と自己探索を促すための大切な「空間」となります。
  • キャリコンの理解と応答の準備: 相談者の言葉をしっかりと受け止め、その意味や背景にある感情を理解するために、キャリコンにとっても「間」は必要です。焦って応答するのではなく、一呼吸置くことで、より的確で共感的な応答を準備することができます。
  • 相談者のペースへの尊重と受容のメッセージ: 適切な「間」は、相談者のペースを尊重し、「あなたの話をじっくりと受け止めています」というメッセージを伝えます。矢継ぎ早に質問したり、話を遮ったりするのではなく、ゆったりと待つ姿勢が、安心感と信頼感につながります。

 <ロープレ試験での活用のポイント>

  • 相談者が話し終えた後、2~3秒程度の「間」を意識的に作ってみましょう。
  • 沈黙が長く続きそうな場合でも、焦って言葉を挟まず、穏やかな表情と視線で相談者を見守りましょう。
  • 自分が質問した後も、相談者が考えを巡らせるための「間」を大切にしましょう。

3. 「視線」が伝える傾聴の姿勢

目は口ほどに物を言う、ということわざがあるように、「視線」は傾聴において極めて重要な役割を果たします。

  • 関心と注意を示す: 相談者の目を見て話を聞くことは、「あなたの話に真剣に耳を傾けています」という最も基本的なメッセージです。適切なアイコンタクトは、関心と注意を示し、相談者が話しやすい雰囲気を作ります。
  • 共感の伝達: 温かく、穏やかな視線は、言葉以上に共感の気持ちを伝えることができます。相談者の感情に寄り添うような眼差しは、安心感を与え、心の距離を縮めます。
  • 非言語的情報の読み取り: 相談者の視線の動き、目の表情から、言葉には表れていない感情やためらい、真意などを読み取る手がかりが得られることもあります。

 <ロープレ試験での活用のポイント>

  • 自然なアイコンタクト: 凝視するのではなく、時折、自然に視線を合わせることを意識します。話を聞いている時間の6~7割程度、視線を合わせるのが目安とも言われますが、自然さが大切です。
  • 柔らかい表情と組み合わせる: 険しい表情で視線を合わせても、威圧感を与えてしまいます。口角を少し上げるなど、穏やかで受容的な表情と組み合わせましょう。
  • 視線をそらすタイミング: 常に目を合わせ続ける必要はありません。考えを整理する際に少し視線を外したり、メモを取る際に手元を見たりするのは自然なことです。ただし、頻繁に視線をそらすと、関心がない、落ち着きがないといった印象を与えかねないので注意が必要です。
  • 相談者の様子に合わせる: 相手が視線を合わせるのが苦手なタイプの場合、無理に合わせ続けず、少し頻度を調整する配慮も時には必要です。

4. 「間」と「視線」の相乗効果

「間」と「視線」は、それぞれ単独でも効果を発揮しますが、組み合わせることで、より深い傾聴を示すことができます。例えば、相談者が話し終えた後の「間」の間も、穏やかな「視線」を向け続けることで、「あなたの次の言葉を待っています」「じっくり考えてください」というメッセージを効果的に伝えることができます。逆に、コンサルタントが応答を考えている「間」に、少し視線を下に向け、考えがまとまったら再び視線を合わせることで、真剣に考えている姿勢を示すこともできます。

 

まとめ

キャリアコンサルタント試験のロープレ試験において、「間」と「視線」は、単なるテクニックではなく、相談者への尊重と共感を示すための重要な傾聴技法です。言葉による応答と同じくらい、これらの非言語的コミュニケーションが、相談者との関係構築や問題把握の深さに影響します。

 

試験対策として、ロープレ練習を行う際には、自分の「間」の取り方や「視線」の配り方が、相手にどのような印象を与えているかを意識し、フィードバックをもらうことが有効です。録画して客観的に自分の様子を確認するのも良いでしょう。

 

効果的な「間」と「視線」を身につけ、相談者に寄り添う傾聴姿勢を示すことで、ロープレ試験の突破を目指しましょう。

メルマガ名:学科試験対策メルマガ(第560号) 
発行者  :夢ロープレ研究室
発行責任者:中島則生
発行会社 :ソーニョプランニング株式会社
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