キャリアコンサルタントの資格を取得し、いざ「2級技能士」へ。 しかし、ここで多くの人が高い壁にぶつかります。それもそのはず、国キャリの実技合格率が概ね60%以上であるのに対し、2級技能士は20%を割り込むことも珍しくない、非常に狭き門だからです。
「国キャリと同じ感覚で臨んでいるのに、なぜか受からない……」 そう悩む方が多いのは、試験が求めているコンサルタントのレベルが根本から異なるためです。
国キャリが良き聴き手(傾聴者)としての基礎を問うているのに対し、2級は熟練した支援者(介入者)としての解決能力を問うています。この合格率40ポイントの差の正体を、3つのポイントで紐解いていきましょう。
1. 「寄り添い」から「ギアチェンジ」へ:時間の使い方の違い
まず、試験時間の5分の差。これは単に「長く話せる」という意味ではありません。
国キャリ(15分)のゴールは、主に信頼関係の構築(ラポール)と、相談者の訴えを正確に把握することにあります。相談者が安心して話せ、何に困っているかをしっかり聴き取れれば、合格ラインに届きます。
しかし、2級(20分)では、これらに加えて具体的展開力が必須となります。 ただ丁寧に聴き続けるのではなく、面談の中盤(開始8〜10分頃)で、傾聴モードから問題解決モードへとギアを切り替える必要があるのです。
2級において「最後まで優しくお話を聴いて終わった」というのは、厳しい言い方をすれば展開力不足とみなされます。目標設定や具体的な方策への合意形成まで踏み込めるかどうかが、合格率20%の枠に入れるかどうかの分かれ目です。
2. 「表面的な悩み」から「真の問題」の発見へ
最も大きな違いは、問題を捉える深さにあります。
国キャリでは、相談者が話したいこと(来談目的)を漏らさず受け止めることが重視されます。 対して2級では、相談者自身も気づいていない、本当の問題(主訴)を見抜く力が求められます。
「なぜ、この人はこの状況で立ち止まっているのか?」 その背景にある思い込み、認知の歪み、あるいは自己概念の影……。プロの視点でそれらを「見立てる」ことができなければ、2級の合格は遠のきます。相談者の言葉をそのまま受け取るだけでなく、その裏側にある構造的な課題を特定する、高度な専門性が問われているのです。
3. 理論を「知識」ではなく「道具(地図)」として使う
国キャリにおいて、理論は学科試験のために暗記するものという側面が強かったかもしれません。しかし2級では、面談の現場で道具として使いこなすことが求められます。
例えば、相談者が混乱している時にシュロスバーグの4Sで状況を整理したり、サビカスのナラティブを用いて物語を再構築したり。理論は、相談者を迷わせないための地図のような存在です。
さらに、口頭試問(10分)も勝負の分かれ目です。 「なんとなくこう思いました」という感覚的な回答ではなく、「〜という理論に基づき、こう見立てたので、この質問をした」と、自分のアプローチを論理的に説明できる再現性。これこそが、熟練レベル(2級)に相応しい証となります
結論:求められているのは、プロとしての「意図」
合格率が示す通り、2級は受容的に支える段階を卒業し、専門的知見を持って介入し、相手の変容を促す段階へとステップアップすることを求めています。
「なんとなく聴く」のではなく、意図を持って問いかけ、構造的に把握し、論理的に展開する。 この意識の転換こそが、2級技能士という難関を突破するための最大の鍵となります。