キャリアコンサルタントの試験、特にロープレ(実技)でよく耳にするのが「何を話せばいいかわからない」という悩みです。でも、実は会話の主役は「言葉」だけではありません。古くから言われる「目は口ほどにモノを言う」という言葉は、キャリコンにとっても真理です。
有名なメラビアンの法則を持ち出すまでもなく、私たちは相手の表情や視線から、言葉以上のメッセージを無意識に受け取っています。試験官が見ているのは、あなたがどれだけ洗練された質問をするかではなく、どれだけ「目」を使って相談者と通じ合っているか、という一点です。
1. 相談者の「心の揺れ」を瞳でキャッチする
相談者が本当に抱えている悩み(主訴)は、口から出る言葉ではなく、ふとした瞬間の「視線の揺らぎ」に隠れています。
たとえば、ご家族や将来の話になった時、ふと視線が泳いだり、一瞬だけ目が潤んだりすることはありませんか?そんな時こそがチャンスです。「今、少しだけ表情が曇ったように見えましたが……」と、あなたの目で感じたことをそのまま伝えてみてください。 「あ、この人は私のことを見てくれている」という安心感が、深い信頼関係(ラポール)へと繋がる瞬間です。
2. 「考え込んでいる顔」が最大の敵
真面目な人ほど、次に何を質問しようか必死に考えてしまいますよね。でも、考え事をして視線が泳いでいる姿は、相談者から見ると「上の空」に見えてしまいます。
試験官もそこをシビアにチェックしています。次の展開を分析するのは一旦脇に置いて、まずは目の前の相談者の存在を丸ごと受け止める。少し柔らかい視線を送るだけで、場は驚くほど穏やかになります。形だけの笑顔ではなく、相手の悲しみに寄り添う時は、あなたの目も一緒に悲しんでいる。その「自己一致」こそが共感的理解の正体です。
3. 頷きは「心のメトロノーム」
「はい、はい」と機械的に頷いていませんか? 頷きは、対話のリズムを作る大切な楽器です。 深く重い話のときは、深くゆっくりと。言葉を促したいときは、小さく優しく。 質問を投げかけなくても、あなたの「頷きのリズム」一つで、相談者は自然と本音を話しやすくなるものです。
結論:あなたは「静かな鏡」になれているか
試験の評価項目にある「基本的態度」。これは、技術以前の「あなたの在り方」を問うものです。 たとえ言葉に詰まって沈黙が続いたとしても、焦る必要はありません。「あなたの力になりたい」という真っ直ぐな眼差しさえ失わなければ、その誠実さは必ず試験官に伝わります。
優れたコンサルタントは、よく「静かな鏡」に例えられます。 鏡は自分から喋りませんが、曇りのない表面で相手の姿をありのままに映し出します。あなたの温かい眼差しという鏡を通して、相談者が「自分自身の本当の答え」に気づく。そんなロープレを目指してみませんか。