今日はアドラー心理学のアドラーとマッチング理論のパーソンズです
メルマガ第563号をお送りします

本日はアドラー心理学のアドラーと職業相談の父でマッチング理論で有名なパーソンズです。
目次
 
(1)「目は口ほどに」――ロープレ合格のカギは、あなたの「眼差し」に宿る
(2)アルフレッド・アドラー
(3)【コラム】アドラーのエピソードを知る
(4)フランク・パーソンズ
(5)【コラム】なんかアレなパーソンズ先生
ロープレ試験対策コラム
「目は口ほどに」――ロープレ合格のカギは、あなたの「眼差し」に宿る

キャリアコンサルタントの試験、特にロープレ(実技)でよく耳にするのが「何を話せばいいかわからない」という悩みです。でも、実は会話の主役は「言葉」だけではありません。古くから言われる「目は口ほどにモノを言う」という言葉は、キャリコンにとっても真理です。

有名なメラビアンの法則を持ち出すまでもなく、私たちは相手の表情や視線から、言葉以上のメッセージを無意識に受け取っています。試験官が見ているのは、あなたがどれだけ洗練された質問をするかではなく、どれだけ「目」を使って相談者と通じ合っているか、という一点です。

 

1. 相談者の「心の揺れ」を瞳でキャッチする

相談者が本当に抱えている悩み(主訴)は、口から出る言葉ではなく、ふとした瞬間の「視線の揺らぎ」に隠れています。

たとえば、ご家族や将来の話になった時、ふと視線が泳いだり、一瞬だけ目が潤んだりすることはありませんか?そんな時こそがチャンスです。「今、少しだけ表情が曇ったように見えましたが……」と、あなたの目で感じたことをそのまま伝えてみてください。 「あ、この人は私のことを見てくれている」という安心感が、深い信頼関係(ラポール)へと繋がる瞬間です。

 

2. 「考え込んでいる顔」が最大の敵

真面目な人ほど、次に何を質問しようか必死に考えてしまいますよね。でも、考え事をして視線が泳いでいる姿は、相談者から見ると「上の空」に見えてしまいます。

試験官もそこをシビアにチェックしています。次の展開を分析するのは一旦脇に置いて、まずは目の前の相談者の存在を丸ごと受け止める。少し柔らかい視線を送るだけで、場は驚くほど穏やかになります。形だけの笑顔ではなく、相手の悲しみに寄り添う時は、あなたの目も一緒に悲しんでいる。その「自己一致」こそが共感的理解の正体です。

 

3. 頷きは「心のメトロノーム」

「はい、はい」と機械的に頷いていませんか? 頷きは、対話のリズムを作る大切な楽器です。 深く重い話のときは、深くゆっくりと。言葉を促したいときは、小さく優しく。 質問を投げかけなくても、あなたの「頷きのリズム」一つで、相談者は自然と本音を話しやすくなるものです。

 

結論:あなたは「静かな鏡」になれているか

試験の評価項目にある「基本的態度」。これは、技術以前の「あなたの在り方」を問うものです。 たとえ言葉に詰まって沈黙が続いたとしても、焦る必要はありません。「あなたの力になりたい」という真っ直ぐな眼差しさえ失わなければ、その誠実さは必ず試験官に伝わります。

優れたコンサルタントは、よく「静かな鏡」に例えられます。 鏡は自分から喋りませんが、曇りのない表面で相手の姿をありのままに映し出します。あなたの温かい眼差しという鏡を通して、相談者が「自分自身の本当の答え」に気づく。そんなロープレを目指してみませんか。

ロープレの練習をしていると、「沈黙が怖い」「何か言わなければ」と焦ってしまい、つい自分が話しすぎてしまうことはありませんか。

 

しかし、実は「CCの言葉は短ければ短いほど良い」というのが、ベテランたちの共通認識です。あくまで主役は相談者(CL)ですから、私たちはスポットライトを当てる「黒子」に徹することが理想的です。

 

CCが話しすぎるということは、極端に言えば「聴く」ことよりも「自分の存在」を優先してしまっている状態だと言えるからです。

 

尋問ではなく、対話をしましょう

相談者中心の対話の基本は、結局のところ「安心感」にあります。 私たちが矢継ぎ早に質問を投げかけると、相手はまるで取調べを受けているような気分になり、心を閉ざしてしまいます。

 

初心者のうちはどうしても質問で場をつなごうとしがちですが、熟練のCCは質問を連発しません。ただそこに「居る」だけで、相手が話し出す空気を作ることができます。大切なのは、相手が自分のペースで悩みと向き合える環境を整えることです。

 

言葉数を減らして、質を高めるコツ

では、具体的にどうすればよいのでしょうか。発話量を減らす分、関わりの質(密度)を高めていくことが大切です。

  1. 「空気」で聴く(非言語スキル) 言葉以外の部分に神経を注いでみてください。相手の話すスピードや声のトーンに自分を合わせる(マッチング)、深くうなずく。それだけで「あなたの話を真剣に受け止めていますよ」というメッセージは十分に伝わります。

  2. 鏡になる(伝え返し) 気の利いたアドバイスは必要ありません。相手が発した感情のこもった言葉やキーワードを、短く、丁寧に繰り返すだけで十分です。「鏡」のように相手の言葉を映し出すことで、相談者は自分自身の内面に深く降りていくことができます。

  3. 沈黙は「黄金の時間」 会話が途切れた時、ドキッとするかもしれません。でも、その沈黙こそがチャンスです。相談者は今、一生懸命答えを探して頭をフル回転させています。そこで焦って質問を被せないようにしましょう。「待つ勇気」を持って、その沈黙を一緒に味わうくらいの余裕が持てると理想的です。

最後に

ロールプレイングの評価基準も大切ですが、一番のゴールは相談者が「ああ、今日は全部吐き出せてスッキリしたな」と感じて帰っていただくことです。

そのためには、まず私たちが肩の力を抜いて、口を動かすのを少し控えてみる。まずはそこから始めてみませんか。

アルフレッド・アドラー (1870~1937)

 

オーストリアの精神科医、精神分析学者、心理学者です。

 

ジークムント・フロイトおよびカール・グスタフ・ユングと並んで現代のパーソナリティ理論や心理療法を確立した1人です。

アドラー心理学は、『嫌われる勇気』などの書籍で一躍注目を集めるようになった心理学です。

アドラーは「嫌われる勇気」という本で一躍知られるようになりました。知名度は上がりましたがキャリコン試験としては殆ど出題されていませんでした。ところが、15回試験で大問が出題され、22回と24回と立て続けに選択肢で登場していますので、今後出題頻度が上がる可能性があります。 
アドラー心理学の前提
①目的論:人はまず目的を持ち、その方向に思考し、行動する
②全体論:人の意識、無意識、思考、行動は個人として一貫している
③社会統合論:人は社会に埋め込まれている社会的な存在である
④仮想論:人は自分、他者、周りの世界を自分が見たいように見ている
⑤個人の主体性:人は自分の人生を自分で決めることができる、を前提とする。 
アドラー心理学に関するの重要なキーワード
  • 共同体感覚   

    共同体感覚とは、自分はその一員であるという感覚を持っている状態です。

    共同体感覚には「相手を無条件に信頼する」「そのままの自分を受け入れる」「他人の役に立つ行いをする」という3つの思想が重要だと言います。

    アドラーは「人はもともと誰かとつながりたいと切望する存在である」と考え、「共同体感覚を持ちながら他人を尊重し幸せにすることが、自分の幸せにもつながる」と説いています。
  • 劣等感    

    劣等感とは「他人と比べて自分が劣っていると感じること」を指します。アドラーは自身の体系から「人には劣った点を補おうとする力が備わっている」と考えるようになりました。

    アドラー心理学では、「劣等感」を持つことは悪いことではなく、「理想の自分に近づくために劣等感を利用する」ことを提唱しています。

  • 勇気づけ(困難を乗り越える力) 

    勇気づけとは「課題を乗り越えるための内なる活力」のことを指します。勇気付けによって、自分の考え方や行動が変わり、目的達成や悩みの解消につながっていきます。

    勇気づけは、自分だけでなく他者に対しても有用で、他者が自分自身の力で生きていけるようサポートすることも含めて解釈されています。また、先述した「劣等感」の克服に挫折してしまった場合にも、「困難を乗り越える活力を与えること」「困難に立ち向かうための精神的な能力を身につけること」といった勇気づけが効果的です。

 

アドラー心理学に基づく問題行動の5段階

アドラー心理学は、問題行動の背後にある根本的な原因を「特別でありたい」という願望にあると考えます。この欲求は、自己の平凡性に対する価値の認識の欠如から生じます。対策として、人が自己受容を促進し、内発的な価値観を基に行動することと同時に「普通であることの勇気」を身につけることの重要性が強調されます。


第一段階: 賞賛の要求

この段階では、人は社会的承認を得るために「良い行い」を演じることに集中します。これは、外部からの肯定的なフィードバックに過度に依存する傾向を示します。アドラー心理学は、この行動が内発的な動機ではなく、外発的な報酬によって推進されることを批判的に指摘しています。そのため、この段階では、自己の価値を外部の承認に委ねるリスクがあります。

第二段階: 注目喚起

この段階では、人は賞賛を超えて、どのような手段を用いても注目を集めようとします。これは、社会的な関心の対象となることによって自己の特別感を維持しようとする試みです。行動は次第に過激化し、社会的な規範を逸脱する可能性も高まります。

 

第三段階: 権力争い

この段階での行動は、挑発や反抗を通じて他者との権力争いに勝利し、その結果としての優位性を実感しようとするものです。ここでは、人は自己の力を誇示することで、特別感を追求します。

 

第四段階: 復讐

この極端な段階では、人は他者に対する敵意を明確に示し、復讐行為によって自己の存在感を確立しようとします。復讐の動機は、他者に苦痛を与えることで自己の内面的な空虚感を埋める試みと解釈されます。アドラー心理学は、この段階で専門家の介入の必要性を強調しています。

第五段階: 無能の証明

最終段階では、人は自己の能力を過小評価し、自己否定に至ります。この自己評価の低下は、外向的な攻撃性から自己攻撃的な行動への転換を伴います。

アドラーのエピソードを知る

アルフレッド・アドラーのエピソードをいくつかご紹介します。これらは、アドラー心理学の

  1. フロイトとの決別:

    アドラーは当初、ジークムント・フロイトが主宰するウィーン精神分析協会の中核メンバーの一人でした。しかし、人間の行動の基本的な動機をフロイトが「性的欲求(リビドー)」に求めたのに対し、アドラーは「権力への意志」や「劣等感の克服」にあると考え、次第に意見が対立しました。最終的に1911年、アドラーはフロイトのグループを離れ、独自の「個人心理学」を創設しました。この決別は、アドラーの独創性と強い意志を示すエピソードであり、彼の理論がフロイトの単なる亜流ではないことを示しています。

  2. 「もし私があなたなら」を使わないスタンス

     

    アドラーは講演やカウンセリングの場で、カウンセラーがよく用いる「もし私があなたなら、こうするでしょう」といった言い方を決してしなかったと言われています。アドラーは、他者の課題に土足で踏み込むことを戒め、相手の主体性を尊重する姿勢を貫きました。これは、他者と自分を比較するのではなく、自分自身の目標に向かって努力することの重要性を説いたアドラー心理学の「課題の分離」という考え方を体現しています。

     

  3. 第一次世界大戦への従軍と共同体感覚:

    アドラーは第一次世界大戦中、軍医として従軍しました。戦場での悲惨な体験や兵士たちとの交流は、彼に人間の相互協力の重要性を痛感させ、「共同体感覚という概念を深めるきっかけとなりました。彼は、個人が幸福になるためには、他者に関心を持ち、社会に貢献しようとする感覚が不可欠であると考えました。

  4. ある講演会でのエピソード:

    講演会で、ある女性が「うちの子は勉強ができなくて困っています」とアドラーに相談しました。アドラーは、「お子さんは、あなたを困らせるという才能があるのですね」と答えたと言われています。これは、一見ネガティブに見える行動の裏にも、その人なりの目的や「注目を得たい」といった欲求が隠されていることを見抜く、アドラー心理学独特の視点を示しています。

    彼は、問題行動そのものを非難するのではなく、その行動の背景にある目的を理解し、より建設的な行動へと導くことを重視しました。

これらのエピソードは、アドラーが自身の体験や他者との関わりを通して、人間理解を深め、独自の心理学を構築していった過程を物語っています。彼の思想は、現代社会においても多くの人々に影響を与え続けています。

フランク・パーソンズ (1854〜1909)

職業指導運動の創始者と言われています。理論家を勉強するときに一番最初に教わることが多いのではないかと思います。

パーソンズはボストンに職業指導局を設立し職業指導カウンセラーの名付け親となったています。このボストンが試験に出たことがあるので一応注意しましょう。  

 

パーソンズは出題頻度が少なかったので、正直あまり注目していませんでしたが、第24回の学科試験で大問で出題されたのに続き、第26回試験でも大問が出題されています。

第24回で出題されたので、第25回での出題の可能性は薄いと思っていましただ、予想通り連続はありませんでした。ただ、第22回、第24回と急に頻度が上がっているので、押さえておきたいと思います。
マッチング理論
個人の「特性」と取り巻く環境の「因子」を上手く「マッチング」させることで「適職」を得るという考え方で、マッチング理論特性因子理論と呼ばれています。 そして、賢い職業選択のためには3つの要素7つの支援段階が必要と提唱しています。 ◇特性因子論の3つの要素
  1. 自己分析:自分自身(適性、能力、興味、目標、強み、弱み、そして、それらの原因)についてはっきりと理解すること。
  2. 職業分析:仕事に付随する各種の情報(仕事の要件、成功の条件、有利な点、不利な点、報酬、就職の機会、将来性)を得ること。
  3. 理論的推論:1と2を合わせて考えて、自分にぴったりの職業を選択すること

    特定因子理論「7つの支援段階」

    1. 個人資料の記述 個人の就業に関する主要な要因を記述する。その際には、職業教育と関係がある課題を忘れずに記述する。
    2. 自己分析 自己分析はカウンセラーの指導のもと実施する。職業の選択に影響を与えるかもしれない傾向と興味はすべからく記録したほうがよい。 
    3. 選択と意思決定 選択と意思決定は初の2つの段階においても起きる可能性がある。またカウンセラーは、職業の選択はクライエントによりなされるべきであるということを心に留めなければならない。 
    4. カウンセラーによる分析 カウンセラーは、クライエントの意思決定の結果が、クライエントが探求しているものと整合性がとれているかを分析する。
    5. 職業についての概観と展望 カウンセラーの支援のもとクライエントの職業に関する概観と展望を支援する。カウンセラーは職業分類や職業、職業訓練の実施場所といった産業の知識に精通しているはずである。
    6. 推論とアドバイス この段階では、論理的で明確な推論と結び付けられた態度はとても重要である。 
    7. 選択した職業への適合 カウンセラーは、クライエントが選んだ仕事への適合と、意思決定に関する振り返りを支援する。 
    パーソンズの仮設
    • 人は必ず他の人と異なる能力や特性を持っている。しかもこの能力・特性は測定可能である。

    • 人の特性と仕事の内容、スキルが一致すればするほど、仕事における満足度、業績、安定性は高くなる。

    • 個人は、自分の能力・特性に最も相応しい職業を選択する。

    パーソンズが亡くなる1909年に刊行した「職業の選択」という本とその本の中に記述されている「丸い釘は丸い穴に」という言葉が有名です。 パーソンズのこの活動の背景には1900年〜10年の急速な移民の増加による就職難がありました。
    (コラム)なんかアレなパーソンズ先生

    まずは、パーソンズの経歴をズラズラと書いていきます。それだけでも興味深いです。

    • 15歳(1869年?)でコーネル大学土木工学部に入学し3年で卒業(普通に凄い)
    • 卒業後は、鉄道会社の土木技術者として勤務
    • 1873年(就職の翌年)の恐慌で失業。その後学校の先生など様々な職に就く。
    • 一念発起して法律を1年間勉強し弁護士となる
    • 弁護士の仕事に満足できず辞める(マッチングが良くなかったんでしょうね)
    • その後、法律の知識を活かして、出版社で、法律関係の教科書を作ったら評判になってしまう。
    • 1892年に、ボストン大学のロースクールの講師に招聘される。(マッチングが合ったのか、この仕事は亡くなる3年前の1905年まで勤めています)
    • 1901年に、移民支援を目的に建てられた「ボストン市民サービス館」で活動開始
      ここでの経験がその後のマッチング理論の研究のきっかけになったと言われています。つまり若者が離転職を繰り返している現状を見て、能力だけなく、場当たり的に職に就く若者が多く、それが問題であるとの問題認識です。
    • 1907年 ボストン職業相談所を開設
    • 1908年 ボストン市民厚生館職業局開設

    パーソンズ曰く、場当たり的に職に就いて離転職を繰り返す若者が問題!ということですが、このような経歴を見ているとパーソンズ自身が問題だったんじゃないか?という気がします。マッチング理論にはご自分の体験が大きな影響を与えているんでしょう。

     

    また、マッチング理論が心理学的なアプローチではなく、法律家の視点から生み出されたんだな。というのも興味深いです。

    メルマガ名:キャリコン試験対策メルマガ(第563号)
    発行者  :夢ロープレ研究室
    発行責任者:中島則生
    発行会社 :ソーニョプランニング株式会社
    夢ロープレ研究室ホームページ:https://career-c.sognoplanning.com/
    (YouTube)夢ロープレ研究室チャンネル:https://tinyurl.com/2buq7p5w
    公式LINE:https://lin.ee/erkyqbh
    アーカイブ(直近10号分):https://archive.benchmarkemail.com/yume_roleplay
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