今日はシステマチックアプローチについて
さて、メルマガ第572号をお送りします。
 
本日はシステマチックアプローチについてです。
 
システマチックアプローチについての問題は毎回の試験で2~4問出題されており、確実に点数をとる分野です。試験問題としては、なかなか難問を作りづらい内容なので、大筋を覚えておけば確実に得点可能です。
 
この分野の問題はステップ毎に出題されます。過去問を3~5回分をピックアップしてやっておくことをお勧めします。
 
このシステマティックアプローチは、カナダ雇用移民の「個人雇用カウンセリング-システマティックアプローチ」の執筆を行ったベザンソン(Bezanson)とデコフ(Decoff)によって作られたものでです。ただ、この名前は出題されていないようです。
目次

  1. 【コラム】ロープレ試験で見られるポイントとは?
  2. システマティック・アプローチの流れ
  3. 【コラム】「システマティック・アプローチ」のメリット・デメリット
(コラム)ロープレ試験で見られるポイントとは?
~評価基準の裏にある本質~

キャリアコンサルタントのロープレ試験では、「基本的態度」や「関係構築力」といった評価項目が設けられています。これらの基準を意識するあまり、「うまくやらなければ」と過度に力が入ってしまう受験者も少なくありません。

 

もちろん基準は重要ですが、合否を分ける本質は、より深い部分にある「キャリコンとしてのあり方」そのものです。ロープレ試験は「演技力」を試す場ではなく、目の前の相談者に真摯に向き合う「専門家としての姿勢」を示すための機会であることを理解することが重要です。

 

1.「教える人」ではなく、「意図」を持った伴走者としての姿勢

試験官が注目する点の一つに、受験者が「教える人」になっていないか、ということがあります。良かれと思って知識や経験から安易にアドバイスをしたり、相談者を自身の判断で正しい方へ向けようとしたりする姿勢は、相談者の力を信頼していないことの表れと見なされる可能性があります。

 

キャリアコンサルタントに求められるのは、答えを「引き出す」伴走者としての役割です。そのためには、一つひとつの応答に明確な「意図」を持つ必要があります。意図のない機械的な応答は、対話の流れを不自然にし、相談者との信頼関係を損なう要因となります。

 

2.沈黙を恐れず、自身の「エラー」を修正する姿勢

面談中に訪れる「沈黙」を恐れ、不必要な質問を重ねてしまうケースが見られます。しかし、沈黙は相談者が内省を深めるための貴重な時間です。

 

多くの受験者が、「次に何を聞こうか」と考え、相談者への集中が途切れてしまいがちです。その結果、表情や声のトーンといった非言語的なサインを見逃し、応答の質を低下させてしまいます。重要なのは、自身の解釈を挟まずに相談者の話をあるがままに受け入れる受容的な姿勢と、自身の「思い込み」や「誤解」といったエラーを自覚し修正していくことです。この姿勢が、相談者との信頼関係の土台を築きます。

 

3.表面的な問題から、本質的な課題を捉える力

限られた面談時間の中で、相談者の表面的な「来談目的」から、その背景にある本質的な「主訴」へと焦点を移行させる「ギアチェンジ」が評価されます。これは専門家としての技量が問われる点です。

 

問題の核心には、相談者自身が気づいていない「認知の歪み」「思い込み」が存在することが多くあります。単に状況を把握するだけでなく、そうした思考パターンが問題にどう影響しているかを相談者自身が気づけるよう支援することが、専門家としての役割です。また、話が停滞した際には、過去の状況や未来のありたい姿などを比較対象として用いることで、相談者の視点を変え、気づきを促す展開力も重要となります。

ロープレ試験は単なるテクニックを評価する場ではありません。ロープレ試験に対する学びは、自身の無自覚な癖やエラーを発見し、それを修正していくための重要な学習プロセスです。こうした訓練を通じて本質的なスキルを身につけることが、合格への鍵となります。

「キャリコン学習ポータル:キャリコンのお役立ち情報」に本日のコラムに関する記事を掲載しています。当記事に対しかなり突っ込んだ説明をしていますので、興味がある方、ぜひご一読ください。

キャリアコンサルタント試験合格の重要な視点
~評価基準の先にある「専門家としての姿勢」とは~
https://career-c.sognoplanning.com/?page_id=2598

キャリアコンサルタントの試験(国家資格や2級技能士)に向けて練習を重ねていると、「どうしても話が堂々巡りになってしまう」「結局、何を話せばいいのか分からなくなった」という壁にぶつかることがないでしょうか?

 

その焦り、よく分かります。実は、ロープレがスムーズに進まない最大の理由は、スキル不足ではなく、「今、自分たちがプロセスのどこにいるのか」という地図を見失っていることにあります。

 

その地図こそが「システマティック・アプローチ」です。今回は、試験の評価ポイントを押さえながら、単なる暗記ではない「血の通ったプロセス」として解説していきます。


ステップ1:まずは「心の扉」を開くことから(関係構築)

どれほど優れたアドバイスも、信頼関係という土台がなければ相手には届きません。まずは「この人なら話しても大丈夫だ」と思ってもらえる環境作りがすべてです。

  • 「聴いてもらえている」という実感を作る 単に「はい」と頷くだけでなく、相手の表情や声のトーンに自分を重ねていくイメージです。これを「ペーシング」と言いますが、難しく考える必要はありません。相手の「心の波」に寄り添うだけで、自然とラポール(信頼)は築かれます。

  • 「相談の入り口」を丁寧に扱う(A領域の確認) 相談者が最初に口にする言葉には、その人の「今、一番辛いこと」が詰まっています。背景(A'領域)を根掘り葉掘り聞く前に、まずは「今日、ここに来るまで抱えてきた思い」を、そのままの形で受け止めて要約して返してあげてください。「そうなんです、それが言いたかったんです」という言葉が返ってきたら、第一段階はクリアです。


ステップ2:表面的な言葉の「裏側」を読み解く(問題把握)

ここが一番の踏ん張りどころです。相談者の訴えをそのまま受け止めるだけでなく、プロとしての「見立て」が必要になります。

  1. 相談者の悩み(主観): 「仕事が辛いから辞めたい」

  2. キャリコンが見抜く本質(客観): 「実は、自己理解が足りなくて自信を失っているのでは?」

この二つのギャップを埋めるのが私たちの仕事です。「~すべき」という思い込み(認知の歪み)や、経験不足からくる不安など、相談者自身も気づいていない「本当のブレーキ」を、キャリア理論というレンズを通して探っていきます。

※ここがポイント! 見つけた「真の問題」をいきなり突きつけるのはNGです。「お話を伺っていると、〇〇という部分に、少し迷いがあるように感じられたのですが……ご自身ではどう思われますか?」と、相手と一緒に確認していく作業を忘れないでください。


ステップ3:一緒に「目指す場所」を決める(目標設定)

問題が見えたら、次はゴール設定です。ここで大切なのは「キャリコンが勝手に決めない」こと。

「とりあえず転職しましょう」といった安易な目標ではなく、「まずは自分の強みを整理して、納得感を持って動けるようになりましょう」というように、問題の根っこ(自己理解不足など)にアプローチする目標を立てます。相談者が「それならやってみたい」と顔を上げるような目標を、二人三脚で見つけ出しましょう。


ステップ4:明日からの「小さな一歩」を決める(具体的方策)

最後は、具体的にどう動くかです。ここで「ジョブ・カードを書いてください」といったマニュアル通りの提案をしても、相談者の心は動きません。

  • オーダーメイドの提案を: その人の今のエネルギー量に合わせた、無理のないアクションを提案します。

  • ベイビーステップ: 階段を一段飛ばしに登らせるのではなく、まずは「今日、求人サイトを10分だけ眺めてみる」といった、確実にできる小さな一歩から始めましょう。

この一歩が、相談者の「意識の変容」や「前向きな行動」につながっていくのです。


まとめ:合格をグッと引き寄せる3つの鉄則

  1. 焦ってプロセスを飛ばさない: ラポールができていないのに質問攻めにしない。

  2. 迷ったら「傾聴」に戻る: 一本道ではありません。行き詰まったら、いつでも丁寧に話を聴く段階に戻ってOKです。

  3. 主役はあくまで相談者: 私たちはあくまで「伴走者」です。答えは相談者の中にあります。

「今、自分たちはどのプロセスにいるんだろう?」と一歩引いて俯瞰する癖をつけるだけで、ロープレの質は劇的に変わります。自信を持って、目の前の相談者に向き合ってきてくださいね。応援しています!

キャリアコンサルティングにおけるシステマチック・アプローチは、相談者との関係構築から始まり、問題の把握、目標設定、方策の実行、そして相談の終結と評価へと進む一連の体系的なプロセスです。

 

まず、カウンセラーは相談者との間に信頼関係を築き、相談者が安心して自己開示できる環境を整えます。次に、相談者の抱える問題や課題を多角的な視点から明確に把握します。その上で、相談者自身が望む具体的な目標を設定し、その目標達成に向けた具体的な方策を共に検討・選択します。

 

選択された方策を実行に移す際には、カウンセラーは相談者を支援し、進捗を確認しながら必要に応じて軌道修正を行います。最後に、相談の成果を評価し、相談者自身が今後のキャリアを主体的に歩んでいけるよう促して終結します。この一連の流れを通じて、相談者のキャリア上の課題解決と成長を支援します。

システマチック・アプローチの流れ
  1. カウンセリングの開始 
  2. 問題の把握
  3. 目標の設定
  4. 方策の実行
  5. 結果の評価
  6. カウンセリングとケースの終了

①カウンセリングの開始:まずは「安心の場」を創る 

カウンセリングの開始は、テクニック以前に「あなたの味方ですよ」という空気感を作るフェーズです。

  • ラポール(信頼)の形成: 相手の言葉だけでなく、表情や沈黙にも寄り添います。「この人なら、心の奥をさらけ出しても大丈夫だ」と思ってもらえるかが勝負です。

 ②問題の把握:表面上の悩みと「真の問題」を見極める

相談者が話す「困りごと(主訴)」を大切にしながらも、キャリコンがプロとしての「見立て」を並行させます。

  • 視点の共有: 「私はこう感じましたが、ご自身ではどう見えますか?」と問いかけ、二人で同じ課題を見つめる作業です。ここがズレると、後の対策がすべて空回りしてしまいます。

③ 目標の設定:納得感のある「契約」を結ぶ
「とりあえず頑張りましょう」ではなく、具体的でワクワクするゴールを決めます。
〇〇目標設定の5ステップ〇〇
④方策の実行:オーダーメイドの作戦会議

目標が決まったら、いよいよ行動です。マニュアル通りではなく、「その人の性格や状況に合うか」を重視します。

  • 意思決定のサポート: 「何かを選ぶことは、何かを捨てること」という覚悟を支えます。

  • 学習と自己管理: 依存させるのではなく、相談者が「自分一人でも問題を解決できる力(自律性)」を身につけるためのサポートをします。

💡 情報提供のコツ 情報をただ「与える」のではなく、**「自分で手に入れる方法」**を教えましょう。耳の痛い現実(厳しい就職状況など)も、一般論として提示しながら、本人が自ら気づき、現実と向き合えるようサポートするのがコツです。

〇〇主な方策の種類〇〇
【1】意思決定
クライエントが意思決定することを支援する方策です。
  • カウンセリング・プロセスの中でクライエントは、受動的でなく積極的な役割を果たすことができる。
  • 1つを選択することは、他を捨てることである。何を捨てるかは、何を選ぶかと同様に重要である。
  • 意思決定には必ず不確実性を伴う。決定されたことは変わることがあるし、完璧性よりは可能性を重視すべきである。
  • 意思決定のタイミングは、その内容と同様に重要である
【2】学習 
クライエント自身が目標を立て、学習できるような状況を創り出し支援する方策です。支援する学習には以下の3つのカテゴリーがあります。
  • 技能(Skill)
  • 行動パターン(Action Pattern)
  • 意欲(Needs)
【3】自己管理 
カウンセラーへの依存ではなく、自分で問題を発見し、目標を定め、方策を選び、それを実行する進め方です。以下の3分野があります。
  • 自己監視(セルフ・モニタリング)
  • 状況の修正
  • 行動の学習

システマティックアプローチにおける職業情報提供の留意点

  • 原則としてクライエントが情報を自身で得る方法を教えること。
  • 自身の責任と行動で体験させること。
クライエントにとって否定的な情報は、一般的に受け入れられにくい。例えば就職を困難にしている習慣、観念、性格、高すぎる期待などの非現実性をクライエントが持っている場合である。この場合はカウンセラーから与えられる一般情報を基に、クライエントが自分の期待内容等を再評価し、現実に合わせていく「自己学習」をさせるのが良い進め方とされています。
⑤結果の評価:感情ではなく「事実」で振り返る

「なんとなくスッキリした」で終わらせないのがシステマティック・アプローチです。

  • 行動の変化を見る: 気持ちの変化はもちろん、「実際にハローワークへ行った」「求人を3件調べた」といった客観的な事実で成果を評価します。

  • 本人が評価する: キャリコンが決めるのではなく、相談者自身が「自分はここまでできた」と実感することが、次への自信に繋がります。

⑥カウンセリングの終了:自立への門出

「もう一人で大丈夫ですね」と笑顔で送り出すステップです。

  • いつでも戻ってこれる安心感: 終了は「決別」ではありません。「また壁にぶつかったら、いつでもここに来てください」というセーフティネットを提示して、完結します。

◇クライエントの成長評価の注意点

 

クライエントが成長したと感情で認識するのではなく、実際に行動が変わったという事実によること。

評価するのはカウンセラーや第3者ではなく、クライエント自身である。カウンセラーはその機会を提供し、クライエントの評価に耳を傾け、容認する。

「システマティック・アプローチ」のメリット・デメリット

カナダで生まれた「システマティック・アプローチ」は、キャリアカウンセリングの技法で、現在の日本のキャリアコンサルティングの中心としてロジャーズの「来談者中心療法」と双璧になっています。

「システマティック・アプローチ」は従来の特性因子論的なマッチング(個人と職業の適合)だけでなく、個人の主観的な経験や価値観を重視する構成主義(ナラティブ・アプローチ)の考え方を取り入れているのが特徴です。

このアプローチには、主に以下のメリットとデメリットがあります。特にデメリットの部分は知って練習するのと、知らないで練習するのでは全く違ってくるものです。


<メリット>

 

最大のメリットは、体系化された支援プロセスと、クライエント(相談者)中心の深い理解を両立できる点です。

 

カウンセリングが場当たり的にならず、「関係構築」「問題の明確化」「自己探索」「意味の解釈」「意思決定」「行動計画」といった段階を追って(システマティックに)進められるため、カウンセラーもクライエントも「今どの段階にいるのか」を把握しやすく、迷走しにくい構造になっています。

 

また、単にスキルや適性を診断するのではなく、クライエントの「語り(ナラティブ)」に耳を傾け、その人固有の経験や価値観、キャリアに対する「意味づけ」を重視します。これにより、クライエントは表層的な職業選択ではなく、自分自身の人生の文脈(ライフキャリア)の中で納得感のあるキャリアを主体的に構築していくことができます。自己理解を深め、将来への展望を描く上で非常に有効なアプローチと言えます。


<デメリット>

一方、デメリットとしては、クライエントの深い内省や「意味」の再構築を促すため、比較的時間がかかる傾向があることです。「今すぐ辞めたい」「手っ取り早く次にやるべき仕事を知りたい」といった、即時的な解決を求めるクライエントにとっては、プロセスが冗長(じょうちょう)で、まどろっこしく感じられる可能性があります。

 

最も大きな課題は、カウンセラー側に高度な専門性が要求される点です。このアプローチは単なるマニュアルではなく、構造(システム)を用いつつも、クライエントの語りに柔軟に寄り添い、本質的な問いを投げかける「アート(技術)」的な側面が不可欠です。カウンセラーの傾聴力、質問力、そして構成主義的な理論理解が不足していると、単に手順をなぞるだけの形式的な面談に陥り、アプローチ本来の良さを引き出せない危険性があります。

メルマガ名:キャリコン試験対策メルマガ(第572号) 
発行者  :夢ロープレ研究室
発行責任者:中島則生
発行会社 :ソーニョプランニング株式会社
夢ロープレ研究室ホームページ:https://career-c.sognoplanning.com/
(YouTube)夢ロープレ研究室チャンネル:https://tinyurl.com/2buq7p5w
公式LINE:https://lin.ee/erkyqbh
アーカイブ(直近10号分):https://archive.benchmarkemail.com/yume_roleplay
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