かつてジョブ・カードといえば、ハローワークの事務手続きのための面倒な書類というイメージが根強くありました。しかし、2024年から2025年にかけての法改正を経て、今やジョブ・カードは、クライアントが自律的にキャリアを切り拓くための「戦略的な羅針盤」へと完全に脱皮しました。
現場で指導にあたる私たちが、今この瞬間に語るべき最新の制度活用術と、現場での変化を整理してお伝えします。
1. 「学び直し」による給付制限の撤廃がもたらした心理的安全性
2025年4月の改正から約1年が経過し、自己都合退職時の給付制限期間の短縮は、支援現場の風景を劇的に変えました。
現在、多くのクライアントが、ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングを経てリスキリングを開始することで、待機期間という「空白の恐怖」を克服しています。これまで、生活不安から転職や学び直しに踏み切れなかった層が、制度を後ろ盾にして積極的に一歩を踏み出すようになりました。
我々キャリコンの役割は、単なる制度説明ではなく、ジョブ・カードを通じて「いかに早期に、かつ適切な訓練を選択できるか」という伴走の質を問われるフェーズに入っています。
2. 80パーセント給付という強力なインセンティブの定着
2024年10月に施行された専門実践教育訓練給付金の最大80パーセントへの引き上げも、すでに1年以上の実績を積み上げました。
受講後の賃金上昇を条件としたこの手厚い支援は、クライアントにとって「自己投資はリスクではなく、確実なリターンがあるもの」という認識を定着させました。50万円の講座が実質10万円で受講できるというインパクトは、今もなお強力な動機付けとなっています。
相談場面でジョブ・カードを広げながら、将来の賃金シミュレーションを共に行う。そうした「お金とスキルの直結した対話」が、今のプロのスタンダードです。
3. 教育訓練休暇給付金の創設と働き方の多様化(2025年10月より)
そして、昨年2025年10月から新たにスタートした教育訓練休暇給付金が、2026年の支援における最大の注目点です。
これは、仕事を辞めることなく、30日以上の無給休暇を取得して教育訓練を受ける場合に支給される制度です。離職を伴わない「学びのための長期休暇」が可能になったことで、ジョブ・カードは転職希望者だけでなく、現職に留まりながらスキルアップを目指す層にとっても必須のツールとなりました。
企業側も就業規則の整備を進めており、在職者へのキャリア形成支援という、我々の活躍フィールドが大きく広がっていることを実感されているはずです。
4. デジタル化の完成形。マイジョブ・カードとAIの共生
デジタルプラットフォームとしてのマイジョブ・カードも、2026年現在、非常に洗練されたものになっています。
マイナンバーカードとの完全連携により、職歴や資格情報の入力負荷は極限まで抑えられ、AIによるレジュメ作成補助は「本人が気づいていない強み」を瞬時に抽出するレベルに達しています。
我々指導者が注視すべきは、事務作業が効率化された分、そこで得られた余白をいかにクライアントの内省の深化や、意思決定の支援に振り向けるか。ツールの進化に頼るのではなく、ツールを使いこなした上での「人間にしかできない対話」が、これまで以上に求められています。
キャリア支援のこれまでと、これからの歩み
ここ数年の変化を振り返ってみましょう。
- 2024年10月には、給付率の最大80パーセントへの引き上げが実現し、自己負担を最小限に抑えた挑戦が可能になりました。
- 2025年4月からは、教育訓練を伴う離職者への給付制限が事実上撤廃され、生活の安定と学びが地続きになりました。
- 2025年10月には、離職せずに学べる教育訓練休暇給付金が新設され、学びの選択肢はさらに自由度を増しました。
- そして2026年、蓄積されたキャリアデータが「スキル証明」として労働市場で共通の価値を持つ時代が、いよいよ本格的に到来しています。
結論:2026年、私たちはクライアントの「変革」を導くプロである
ジョブ・カードは、もはや過去を記録するためのものではありません。これからの自分の価値を最大化し、国や企業の支援を賢く引き出すための「未来への投資計画書」です。
指導者の皆様には、この2026年の最新状況を胸に、クライアントが「ジョブ・カードを作ったおかげで、人生の選択肢が広がった」と実感できるような、熱意ある支援を期待しています。
まずは最新のマイジョブ・カードに触れ、AIが提案する新しい自己像を自ら体験することから、今年一年の支援を始めていきましょう。