今日はカウンセリンググループのスキナーとベックとバンデューラ
メルマガ第588号をお送りします。 

カウンセリンググループは「なんちゃら療法」というのが多く覚えにくいです。エリスの論理療法、バーンの交流療法、スキナーの行動療法、ベックの認知療法、そして家族療法あたりを押さえておく必要があります。本日はそのうち行動療法のうちスキナー箱オペラント条件付けで有名なスキナー認知の歪みという重要な概念を生み出した認知療法ベックをご紹介します。

その理解を助けるためにそれぞれにエピソードを紹介する短いコラムを用意しました。
目次
 
1.カウンセリンググループ
2.バラス・スキナー
3.コラム:箱の中の愛娘? – B.F.スキナーの誤解された理想
4.アーロン・ベック
5.コラム:心の声に耳をすます – アーロン・ベックと認知療法の夜明け
6.アルバート・バンデューラ
7.コラム:見て学ぶ、真似て育つ – ボボ人形が映し出す人間の本質
やってませんか?
第2話 事柄(事実・状況・背景)の確認で玉砕
この4コマ漫画は、キャリコン受験生が陥りがちな「事柄(事実)」の確認に偏り、「感情」をスルーしてしまう失敗例を描いています。 前半では、受験生が相談者の話す仕事の内容や経緯といった事実関係ばかりを質問し続け、話が深まらず堂々巡りになる様子が描写されています。相談者は「気持ちをわかってもらえない」と感じ、信頼関係(ラポール)が築けません。 しかし、最後のコマで受験生がハッと気づき、「その時どう感じたか」と感情に焦点を当てた問いかけに切り替えると、相談者は安心して心の内を話し始めます。事実確認だけでなく、相談者の感情に寄り添うことの重要性を伝える内容となっています。
カウンセリンググループ
今日の内容は丸暗記すると覚えにくいのですが、周辺のことをセットにすると覚えやすいです。まず、各理論家の活動時期の把握です。先日キャリア理論家版をご紹介しましたが、本日はカウンセリング理論版をご紹介します。

見て頂くと分かりますが、ベックとバンデューラがほぼ同時期で、スキナーが20年ほど早い時期になります。2000年代で活躍しているのはベック、バンデューラとアイビィと覚えておけばイメージがわきやすいかもしれません。
また、以下の文章を読んでみてください。この文章で流れをつかみことで多くの理論家の関係を理解することができ、覚えやすくなります。
バラス・スキナー (1904~1990)

行動療法の主要な提唱者としてパブロフ(レスポンデント条件付け:古典的条件付け)、スキナー(オペラント条件付け)、ウォルピ(系統的脱感作)の3名が挙げられます。

 

一番有名なのはパブロフの犬のパブロフですが、試験に出されるのはスキナーです。出題される場合、オペラント条件付けに関する問いが多いです。

オペラント条件付け
オペラント条件付けとは、報酬や罰に適応して自発的に目的の行動を増やしたり減らしたりする学習のことをさします。オペラントは自発的という意味です。たぶん試験には出ませんが2つの実験が有名です。
 
ソーンダイクの実験(1800年代)
「紐を引くと扉が開く」という箱を作り、猫を入れて観察するという実験が有名。箱に入れられた猫は試行錯誤の末に紐を引くと外に出られることを発見し、次からはすぐに紐を引いて脱出するようになりました。

スキナーの実験(1938年)
レバーを押したりつつくことでえさが出てくるように設計した「スキナー箱」という実験装置を使って、マウスやハトがえさを得るために自発的に行動するようになる過程を観察した実験。報酬を得るための道具として機能していることから、道具的条件づけとも呼ばれています。
スキナー箱 レバーを押すとエサが出る仕組みの実験箱です。
コラム:箱の中の愛娘? – B.F.スキナーの誤解された理想

バラス・スキナーには、どこか冷たく、人間を機械的に操作するようなイメージがつきまといます。「スキナー箱」と呼ばれる動物実験装置は、その代表例でしょう。しかし、スキナーの思想の根底には、人間の行動を科学的に解明し、より良い社会を築こうという真摯な願いがありました。

 

その人間的な一面と、スキナーを取り巻く大きな誤解を象徴するのが、次女デボラのために開発した「エア・クリブ(赤ちゃん箱)」のエピソードです。これは、温度と湿度が完璧に管理され、衛生的なフィルターで空気が循環する、広々としたベビーベッドでした。赤ちゃんが薄着で自由に手足を動かせ、毛布による窒息の心配もない、当時としては画期的な育児装置でした。

 

しかし、この発明は「スキナーは実の娘を箱に入れて育て、実験道具にした」という醜聞に姿を変えて広まります。噂はさらにエスカレートし、「その結果、娘は精神を病み、自殺した」という根も葉もない話まで生まれました。

 

もちろん、これは全くの事実無根です。娘のデボラは健やかに成長し、芸術家として自立した人生を送りました。彼女は後年、父に対するこの残酷なデマを自らきっぱりと否定しています。スキナーの願いは、非科学的な慣習から赤ちゃんと母親を解放し、最適な環境を提供することにあったのです。

 

スキナーの徹底した環境主義は、時に極端だと批判されます。しかし、私たちの行動が良い習慣も悪い癖も、周囲の環境からのフィードバック(強化)によって形成されるというスキナーの洞察は、現代の教育や臨床心理、そして自分自身の行動を変えようとするときの指針として、今なお重要な示唆を与えてくれます。冷たい科学者のレッテルとは裏腹の、人間行動への深い洞察と改善への情熱こそ、スキナーから学ぶべき点なのかもしれません。

シェイピング法(逐次接近法)
シェイピング法はスキナーがオペラント条件付けを利用して開発した技法で逐次接近法ともいいます。目的とする行動の変化(増加・減少)にたどり着くために、最初は少し対応しやすい変化をもたらす所から始めて、徐々に難しくして目的に近づけて行くやり方です。 
アーロン・ベック (1921~2021)
 認知療法の提唱者です。認知療法とは偏った認知を整え、柔軟な考え方が出来るようにする療法です。 うつ病などの場合は物事を悲観的・否定的に捉えることが多くあります。 そういった認知の癖に気付き、現実に沿ったものに整えていくことでストレスを減らしていこうというアプローチです。
自動思考

自分の意志に関係なく連鎖的に自責の念など不快な感情が起こることで、過去に誤って学習された記憶・イメージ・考え方など習慣化した非合理的・非現実的な考え方(スキマー)がそのような思考や感情を惹き起こすとしています。

スキマー(認知の構え):「でなければならない」「であるべきだ」などのこだわった信念

認知の歪みとどの代表例
➀感情的(恣意的)きめつけ
証拠もないのに「~に違いない」というネガティブな結論を引き出してしまう
 
②選択的注目
良いこともたくさん起こっているのに、ささいなネガティブなことに注意が向く
 
③過度の一般化
わずかな出来事から広範囲のことを結論づけてしまう
 
拡大解釈と過小評価(誇張と矮小化)
自分がしてしまった失敗など、都合の悪いことは大きく、反対に良くできていることは小さく考える

⑤自己非難(自己関連付け)
本来自分に関係のない出来事まで自分のせいに考えたり、原因を必要以上に自分に関連づけて、自分を責める
 
⑥ “0か100か”思考(白黒思考・完璧主義)
白黒をつけないと気がすまない、非効率なまでに完璧を求める

⑦自分で実現してしまう予言
否定的な予言をして、行動を制限し、その結果失敗する。そうして、否定的な予言をますます信じ込むという悪循環
コラム:心の声に耳をすます – アーロン・ベックと認知療法の夜明け

精神科医アーロン・ベックが作り上げた「認知療法」は今ではうつ病や不安障害の治療で世界的な標準となっています。そんなベックですが、キャリアの初期は、当時主流だったフロイトの精神分析を信奉していました。彼の革新的な理論は、ある一人の患者とのセッションにおける、決定的な「気づき」から生まれました。

1950年代後半、ベックは精神分析の理論に基づき、「うつ病は自身に向けられた怒りが原因である」という仮説を証明しようと研究に励んでいました。しかし、患者たちの話に耳を傾けるうち、理論と現実の間にズレを感じ始めます。

 

ある日のセッションで、一人のうつ病の女性患者がベックに対して不満を口にしました。精神分析的には、これは治療者への「転移」や抑圧された怒りの表れと解釈される場面です。しかしベックは一歩踏み込み、彼女に尋ねました。

 

「今、不満を口にしているとき、あなたの頭の中ではどんな考えが浮かんでいましたか?」

 

すると彼女は、意外なことを打ち明けました。彼女の頭に浮かんでいたのは、怒りではなく、「私ってなんて退屈な人間なんだろう。ベック先生を退屈させてしまっているに違いない」という自己否定的な考えだったのです。

 

ベックはこの、ふとした瞬間に自動的に浮かび上がる思考を「自動思考」と名付けました。そして、人々を苦しめているのは、無意識に抑圧された何かではなく、意識にのぼるこのネガティブな「自動思考」そのものであり、それがあらゆる憂鬱な感情を引き起こしているのだと看破したのです。

 

この発見は、心理療法におけるコペルニクス的転回でした。出来事が感情を直接生むのではなく、その出来事をどう捉えるかという「認知」が感情を左右する。このシンプルな真理から生まれた認知療法は、後に認知行動療法(CBT)へと発展し、私たちが自身の心の癖と向き合い、乗り越えるための強力な武器となっています。

 

ベックの功績は、私たち自身の「心の声」に耳を傾けることの重要性を教えてくれた点にあるのかもしれません。

アルバート・バンデューラ (1925~2021)

バンデューラは「自己効力感」で有名な心理学の学者です。

1990年代に提唱された自己効力感についての理論は心理学にとどまらず、教育学や社会学にも大きな影響を与えています。

 

試験としては第7回で「自己効力感」第14回で「モデリングの学習過程」が大問で出ています。また、第17回に「自己効力感を高めるための情報源 」が出ています。出る時は大問というのが特徴です。

社会的学習理論(モデリング理論)

人は自身の体験だけでなく、他者の行動を観察・模倣すること(=モデリング)によっても学習する、とした理論です。

観察によって学習が行われる理論なので、”観察学習理論”と名付けていいようにも思えますが、バンデューラはあえて”社会的学習理論”と名付けています。

 

<モデリングの4過程>

 

① 注意過程(モデルの観察)
モデルを見る過程で、実物を見るだけでなく、文章を読む、絵を見るなどの過程も含まれます。 
② 保持過程(モデルの記憶) 
この過程では、観察したモデルを記憶に残している段階になります。頭の中でその人やその人の特徴を記憶として保持するようにしています。
③ 運動再生過程(モデルの真似) 
この過程では、記憶に残したモデルの言動を自ら再生する段階になります。
④ 動機付け過程(続けるやる気)
モデルを模倣することで学習した行動を続けることの動機づけを行う段階になります。その行動を実践することによって得られた満足感や嬉しさや楽しさ、周りから褒められた、距離が縮まったなど様々な動機つけが存在することになります。動機づけには自分ではなく、外から受ける外発的動機(褒め言葉など)や自分の中から発生する内発的動機(自らの満足感など)が存在します

 

自己効力感(Self-efficacy)
目標達成のための行動を自身が遂行できると信じている状態のことです。

バンデューラは、恐怖症を克服した人の中にある共通点を発見しました。それは、自分は困難を克服できる、現状を変えることができると信じるようになったことです。

「自分はできるという状態」つまり自己効力感が、人間の行動に大きな影響を与えることや自己効力感を継続できる人の特徴、重要性なども明らかになってきています。

 

◇自己効力感を高めるための情報源

 ➀遂行行動の達成
 ②代理的経験
 ③言語的説得
 ④情動的喚起 

コラム:見て学ぶ、真似て育つ – ボボ人形が映し出す人間の本質

「学習はアメとムチ、つまり報酬と罰によって決まる」。かつて心理学の世界を席巻した行動主義の考え方です。しかし、その常識に「待った」をかけ、私たちの学習観を塗り替えたのが、心理学者アルバート・バンデューラでした。

 

彼の名を一躍有名にしたのが、1960年代に行われた独創的な「ボボ人形実験」です。実験の内容はこうです。まず、子どもたちに、大人が空気で膨らませた起き上がりこぼし人形(ボボ人形)を、口汚くののしりながら殴ったり蹴ったりする映像を見せます。その後、子どもたちをその人形が置かれた部屋で自由に遊ばせると、驚くべきことが起こりました。多くの子どもが、映像で見た大人の攻撃的な行動をそっくりそのまま真似し始めたのです。

 

この結果は衝撃的でした。子どもたちは、誰かから褒められたり、罰せられたりしたわけではありません。ただ他人の行動を「観察」しただけで、新たな行動を学習したのです。バンデューラはこれを「観察学習(モデリング)」と名付けました。私たちは、知らず知らずのうちに周りの人々やメディアの中の人物をモデルにして、考え方や行動を学んでいるというわけです。

 

この理論は、現代社会に重要な問いを投げかけます。子どもたちは、テレビやゲーム、動画サイトで目にする行動から何を学んでいるのでしょうか。一方で、スポーツや教育の現場では、優れた手本(ロールモデル)を示すことが、成長を促す上でいかに大切かも教えてくれます。

 

さらにバンデューラは、「自分ならできるはずだ」という自己評価、すなわち「自己効力感」が目標達成の鍵だと説きました。他者から学び、自らの可能性を信じる。バンデューラの理論は、人間が単なる受動的な存在ではなく、社会との関わりの中で能動的に成長していく存在であることを私たちに示してくれています。

メルマガ名:キャリコン試験対策メルマガ(第588号)
発行者  :夢ロープレ研究室
発行責任者:中島則生
発行会社 :ソーニョプランニング株式会社
夢ロープレ研究室ホームページ:https://career-c.sognoplanning.com/
(YouTube)夢ロープレ研究室チャンネル:https://tinyurl.com/2buq7p5w
公式LINE:https://lin.ee/erkyqbh
アーカイブ(直近10号分):https://archive.benchmarkemail.com/yume_roleplay
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