ジェラットの「連続的意思決定プロセス」と「積極的不確実性」について
メルマガ第658号をお送りします。本日は「連続的意思決定プロセス」と「積極的不確実性」のジェラットを紹介します。
目次
 
1.国キャリのロープレ試験合格は最初の5分間がカギ
2.ハリィ・ジェラット 
3.「決められない」を味方にする ― ジェラットの積極的不確実性

国キャリのロープレ試験合格は最初の5分間がカギ

「15分が時間切れになる」「話が堂々巡りで深まらない」――その原因は傾聴力ではなく、面談の入口の組み立て方にあります。

キャリ協の面接試験で評価されるのは、ロープレを“上手く演じる”ことではなく、相談者を尊重して関係を築き、問題を捉え、気づきを促すプロセスそのもの。なかでも勝負は最初の5分間です。


①徹底傾聴
 最初の2分は質問せず100%聴く。仕事内容などの事実情報(A′)の沼にはまらず、主訴(A)と今の気持ち(B)を捉えます。

②伝え返し 解釈を加えず、相談者の言葉で鏡のように返す。「そうなんです、それが言いたかった」を引き出せれば、ラポールは成立。ここまでを5分で完了させるのが絶対条件です。

③深掘り 質問攻めをやめ、「自分矢印」から「相手矢印」へ。沈黙は相談者が考えを整理する“黄金の時間”。感情に名前をつけ(ラベリング)、ふと漏れる一言(C)を逃さないことが、深い気づきを生みます。

④問題把握 このプロセスの先に、自己理解不足や思い込みといった「キャリコン視点の問題(D)」が浮かびます。感覚ではなく手順で進めるからこそ、口頭試問でも「なぜその応答をしたか」を根拠を持って説明できます。


練習は15分の通しではなく、最初の5分だけを切り出して反復する「5分間トレーニング」が最も効果的。録音して逐語録を作り、質問過多や要約の長さといった無自覚なクセを修正することが、合格への最短ルートです。


まずは、5分間から。あなたの面談は必ず変わります。

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ハリィ・ジェラット (1926~2021)

「連続的意思決定プロセス」「積極的不確実性」を提唱した意思決定理論の研究者です。

 

ジェラットが最初に提唱したのが連続的意思決定プロセスで、その後に示したのが積極的不確実性の理論です。

 

ジェラットは前期の「主観的可能性」連続的意思決定プロセス」と後期に「積極的不確実性」という大きなテーマがあり、過去問を見てもそれ以外のテーマは出題されません。  

 一時期毎回出ていたので、それほど範囲が広いわけではなく、難解な問題を作りやすいわけでもないので、どうしていきなりのジェラット推し?と感じましたが、その後出題が少なくなりましたので、まあ、こんなものかな?と感じています。
連続的意思決定プロセス

<3段階のシステム>

 

①予測システム(予期システム)
選択可能な行動とその結果の予測を行う。自分の客観的な評価と選択肢がマッチするかどうかを予測する。 


価値システム

予測された結果が自分にとってどの程度望ましいか検討する。自分の価値観や興味関心に合っているかどうか検討する。 


③基準(決定)システム

可能な選択を目的や目標に照らして評価し、その基準に合致したものを選択する。 

<3段階のシステムの参考事例>

55歳になったメーカーに勤務している現在営業部長のAさんは、➀57歳で役職定年になり、60歳の定年退職後は再雇用で働く、②会社の早期退職制度を使い、1年以内の転職を考える、③定年退職後に起業をできるよう今から準備をする、という3つのキャリアビジョンをもっている。
 
(予測システム)Aさんにとってどの選択肢が起こりうる可能性が高いか?
(価値システム)どの結果がAさんに最も幸せなキャリア生活をもたらすか?
(決定システム)予測システム、価値システムに基づいて3つの選択肢を正確に見積りした結果から得られた基準をもとにAさんは決定を行う。
連続的意思決定プロセスに沿ったガイダンス
  • 情報収集を行わせる
  • 意思決定の時機を捉えさせる
  • 人が陥りやすい3つの誤りに注意させる(要注意!)
    ➀inability(正確に評価できない)
    ②lack(あり得る選択肢を網羅できない)
    ③known(頭にあるものしか認識しない)
  • 眼前の決定が究極的目標を促進させることを理解させる
  • 連続的意思決定のプロセスを理解させる
  • 実行ガイダンスを評価する
 
積極的不確実性 
ジェラットの後期理論と呼ばれている理論であり、将来の不確実性をありのままに受け入れて前向きに捉えることで、新たな意思決定を行っていく考え方。趣旨は下記のジェラットの説明で分かります

「未来は存在せず、予測できないものである。それは創造され、発明されるのである。合理的なストラテジーは時代遅れなのではなく、もはや効果的でないというだけである」
(Gelatt,1989)
 
<意思決定の新たなガイドライン>
➀情報は限られており、変化し、主観的に認知されたものである。
②意思決定は、目標に近づくと同時に、目標を創造する過程でもある。
※新しいガイドラインでは(思慮深い)想像力、直感、柔軟性が重要である。 

「決められない」を味方にする ― ジェラットの積極的不確実性

キャリア相談の現場でも、私たち自身の歩みでも、「この選択で本当に正しいのだろうか」と立ち止まる瞬間があります。先の見えない時代だからこそ、その迷いはいっそう深くなりがちです。

そんなとき思い出したいのが、H.B.ジェラットが提唱した「積極的不確実性」という考え方です。これは、未来の不確実性を“リスク”として恐れるのではなく、むしろ肯定的に受け入れ、柔軟にキャリアを決めていこうとする理論です。

 

ジェラットは、この不確実な時代を生き抜く意思決定には、「左脳」と「右脳」の両方を統合することが欠かせないと説きました。

 

左脳的アプローチは、合理的・論理的な思考です。客観的なデータや事実に基づき、一貫性のある計画を立てる。従来のキャリア選択で最も重視されてきた、堅実な道といえます。

 

一方の右脳的アプローチは、直感的・創造的な思考です。自らの感情や直感を信じ、予期せぬ変化に対しても、しなやかに新しいアイデアを生み出していく。

 

ジェラットが勧めるのは、この一見相反する二つを組み合わせた「合理的・直感的」な意思決定です。冷静に状況を分析しながらも、最終的な決断や急な方向転換には、右脳の柔らかな発想が欠かせない。どちらか一方ではなく、両脳をバランスよくフル活用するのです。


不確実性は、避けるべき敵ではありません。両脳を使って正面から向き合えば、それは「変化を楽しむチャンス」へと姿を変えていきます。


相談者の迷いに寄り添うとき、この視点はきっと支えになります。そして何より、これからの道を選びつづける私たち自身にとっても。


今日も一歩ずつ、ご一緒に。

メルマガ名:学科試験対策メルマガ(第658号) 

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