キャリア相談の現場でも、私たち自身の歩みでも、「この選択で本当に正しいのだろうか」と立ち止まる瞬間があります。先の見えない時代だからこそ、その迷いはいっそう深くなりがちです。
そんなとき思い出したいのが、H.B.ジェラットが提唱した「積極的不確実性」という考え方です。これは、未来の不確実性を“リスク”として恐れるのではなく、むしろ肯定的に受け入れ、柔軟にキャリアを決めていこうとする理論です。
ジェラットは、この不確実な時代を生き抜く意思決定には、「左脳」と「右脳」の両方を統合することが欠かせないと説きました。
左脳的アプローチは、合理的・論理的な思考です。客観的なデータや事実に基づき、一貫性のある計画を立てる。従来のキャリア選択で最も重視されてきた、堅実な道といえます。
一方の右脳的アプローチは、直感的・創造的な思考です。自らの感情や直感を信じ、予期せぬ変化に対しても、しなやかに新しいアイデアを生み出していく。
ジェラットが勧めるのは、この一見相反する二つを組み合わせた「合理的・直感的」な意思決定です。冷静に状況を分析しながらも、最終的な決断や急な方向転換には、右脳の柔らかな発想が欠かせない。どちらか一方ではなく、両脳をバランスよくフル活用するのです。
不確実性は、避けるべき敵ではありません。両脳を使って正面から向き合えば、それは「変化を楽しむチャンス」へと姿を変えていきます。
相談者の迷いに寄り添うとき、この視点はきっと支えになります。そして何より、これからの道を選びつづける私たち自身にとっても。
今日も一歩ずつ、ご一緒に。