キャリコン学科対策:アドラーとパーソンズの頻出ポイント整理

今回は、学科試験で押さえておきたい「アドラー心理学」と「パーソンズのマッチング理論」を整理します。

アドラーは、目的論・共同体感覚・劣等感・勇気づけが重要です。
パーソンズは、職業指導局・特性因子理論・3つの要素・7つの支援段階を押さえましょう。

試験では人物名だけでなく、「どの理論と結びつくか」「どのキーワードが関係するか」が問われやすいため、セットで覚えることが大切です。

目次
 
  1. アルフレッド・アドラー
  2. 【コラム】アドラーのエピソードを知る
  3. フランク・パーソンズ
  4. 【コラム】マッチング理論の父、パーソンズ

アルフレッド・アドラー (1870~1937)

アルフレッド・アドラー(1870~1937)は、オーストリアの精神科医・心理学者です。
フロイト、ユングと並び、現代の心理療法やパーソナリティ理論に大きな影響を与えた人物の一人です。

 

アドラー心理学は、日本では『嫌われる勇気』などの書籍を通じて広く知られるようになりました。

キャリコン試験では出題頻度が高い人物とは言えませんでしたが、第15回で大問として出題され、その後も選択肢で登場しています。今後も基本事項は押さえておきたいところです。
試験で押さえたいキーワード

目的論:人の行動は、過去の原因だけでなく、目的に向かって起こると考える
全体論:人を意識・無意識などに分けず、一人のまとまりとして捉える
共同体感覚:自分が共同体の一員であり、他者や社会とつながっている感覚
劣等感:理想の自分に近づこうとする成長のきっかけにもなる
勇気づけ:困難を乗り越えるための内なる力を支える関わり

 

特に「劣等感」は、単に悪いものとして捉えない点が重要です。アドラーは、劣等感を克服しようとする力が人の成長につながると考えました。

①目的論:人はまず目的を持ち、その方向に思考し、行動する
②全体論:人の意識、無意識、思考、行動は個人として一貫している
③社会統合論:人は社会に埋め込まれている社会的な存在である
④仮想論:人は自分、他者、周りの世界を自分が見たいように見ている
⑤個人の主体性:人は自分の人生を自分で決めることができる、を前提とする。 
アドラー心理学に関するの重要なキーワード
  • 共同体感覚   

    共同体感覚とは、自分はその一員であるという感覚を持っている状態です。

    共同体感覚には「相手を無条件に信頼する」「そのままの自分を受け入れる」「他人の役に立つ行いをする」という3つの思想が重要だと言います。

    アドラーは「人はもともと誰かとつながりたいと切望する存在である」と考え、「共同体感覚を持ちながら他人を尊重し幸せにすることが、自分の幸せにもつながる」と説いています。
  • 劣等感    

    劣等感とは「他人と比べて自分が劣っていると感じること」を指します。アドラーは自身の体系から「人には劣った点を補おうとする力が備わっている」と考えるようになりました。

    アドラー心理学では、「劣等感」を持つことは悪いことではなく、「理想の自分に近づくために劣等感を利用する」ことを提唱しています。

  • 勇気づけ(困難を乗り越える力) 

    勇気づけとは「課題を乗り越えるための内なる活力」のことを指します。勇気付けによって、自分の考え方や行動が変わり、目的達成や悩みの解消につながっていきます。

    勇気づけは、自分だけでなく他者に対しても有用で、他者が自分自身の力で生きていけるようサポートすることも含めて解釈されています。また、先述した「劣等感」の克服に挫折してしまった場合にも、「困難を乗り越える活力を与えること」「困難に立ち向かうための精神的な能力を身につけること」といった勇気づけが効果的です。

 

アドラー心理学に基づく問題行動の5段階

アドラー心理学は、問題行動の背後にある根本的な原因を「特別でありたい」という願望にあると考えます。この欲求は、自己の平凡性に対する価値の認識の欠如から生じます。対策として、人が自己受容を促進し、内発的な価値観を基に行動することと同時に「普通であることの勇気」を身につけることの重要性が強調されます。


第一段階: 賞賛の要求

この段階では、人は社会的承認を得るために「良い行い」を演じることに集中します。これは、外部からの肯定的なフィードバックに過度に依存する傾向を示します。アドラー心理学は、この行動が内発的な動機ではなく、外発的な報酬によって推進されることを批判的に指摘しています。そのため、この段階では、自己の価値を外部の承認に委ねるリスクがあります。

第二段階: 注目喚起

この段階では、人は賞賛を超えて、どのような手段を用いても注目を集めようとします。これは、社会的な関心の対象となることによって自己の特別感を維持しようとする試みです。行動は次第に過激化し、社会的な規範を逸脱する可能性も高まります。

 

第三段階: 権力争い

この段階での行動は、挑発や反抗を通じて他者との権力争いに勝利し、その結果としての優位性を実感しようとするものです。ここでは、人は自己の力を誇示することで、特別感を追求します。

 

第四段階: 復讐

この極端な段階では、人は他者に対する敵意を明確に示し、復讐行為によって自己の存在感を確立しようとします。復讐の動機は、他者に苦痛を与えることで自己の内面的な空虚感を埋める試みと解釈されます。アドラー心理学は、この段階で専門家の介入の必要性を強調しています。

第五段階: 無能の証明

最終段階では、人は自己の能力を過小評価し、自己否定に至ります。この自己評価の低下は、外向的な攻撃性から自己攻撃的な行動への転換を伴います。

アドラーのエピソードを知る

アルフレッド・アドラーのエピソードをいくつかご紹介します。これらは、アドラー心理学の

  1. フロイトとの決別:

    アドラーは当初、ジークムント・フロイトが主宰するウィーン精神分析協会の中核メンバーの一人でした。しかし、人間の行動の基本的な動機をフロイトが「性的欲求(リビドー)」に求めたのに対し、アドラーは「権力への意志」や「劣等感の克服」にあると考え、次第に意見が対立しました。最終的に1911年、アドラーはフロイトのグループを離れ、独自の「個人心理学」を創設しました。この決別は、アドラーの独創性と強い意志を示すエピソードであり、彼の理論がフロイトの単なる亜流ではないことを示しています。

  2. 「もし私があなたなら」を使わないスタンス

     

    アドラーは講演やカウンセリングの場で、カウンセラーがよく用いる「もし私があなたなら、こうするでしょう」といった言い方を決してしなかったと言われています。アドラーは、他者の課題に土足で踏み込むことを戒め、相手の主体性を尊重する姿勢を貫きました。これは、他者と自分を比較するのではなく、自分自身の目標に向かって努力することの重要性を説いたアドラー心理学の「課題の分離」という考え方を体現しています。

     

  3. 第一次世界大戦への従軍と共同体感覚:

    アドラーは第一次世界大戦中、軍医として従軍しました。戦場での悲惨な体験や兵士たちとの交流は、彼に人間の相互協力の重要性を痛感させ、「共同体感覚という概念を深めるきっかけとなりました。彼は、個人が幸福になるためには、他者に関心を持ち、社会に貢献しようとする感覚が不可欠であると考えました。

  4. ある講演会でのエピソード:

    講演会で、ある女性が「うちの子は勉強ができなくて困っています」とアドラーに相談しました。アドラーは、「お子さんは、あなたを困らせるという才能があるのですね」と答えたと言われています。これは、一見ネガティブに見える行動の裏にも、その人なりの目的や「注目を得たい」といった欲求が隠されていることを見抜く、アドラー心理学独特の視点を示しています。

    彼は、問題行動そのものを非難するのではなく、その行動の背景にある目的を理解し、より建設的な行動へと導くことを重視しました。

これらのエピソードは、アドラーが自身の体験や他者との関わりを通して、人間理解を深め、独自の心理学を構築していった過程を物語っています。彼の思想は、現代社会においても多くの人々に影響を与え続けています。

フランク・パーソンズ (1854〜1908)

フランク・パーソンズ(1854~1908)は、職業指導運動の創始者とされる人物です。


ボストンに職業指導局を設立し、職業選択を支援する仕組みづくりに取り組みました。

 

パーソンズは、キャリア理論を学ぶ際に最初に登場することが多い人物です。第24回、第26回の学科試験でも大問として出題されており、今後も注意しておきたい理論家です。

パーソンズの著書『職業の選択(Choosing a Vocation)』は、本人の没後である1909年に刊行されました。

「丸い釘は丸い穴に」という考え方は、個人の特性と職業環境の適合を表すものとして知られています。
マッチング理論

パーソンズの理論は、一般に「マッチング理論」または「特性因子理論」と呼ばれます。
個人の特性と、仕事に求められる条件を照合し、適職を考えるという考え方です。

賢明な職業選択には、次の3つの要素が必要だとされます。

 

・自己分析:自分の能力、興味、強み、弱み、目標などを理解する
・職業分析:仕事の要件、成功条件、報酬、将来性などを理解する
・理論的推論:自己理解と職業理解を照合し、適切な職業選択につなげる

 

また、支援の流れとして「7つの支援段階」も押さえておきましょう。
細部を丸暗記するよりも、「自己理解」「職業理解」「照合」「意思決定支援」という流れで理解すると覚えやすくなります。

特定因子理論「7つの支援段階」

  1. 個人資料の記述 個人の就業に関する主要な要因を記述する。その際には、職業教育と関係がある課題を忘れずに記述する。
  2. 自己分析 自己分析はカウンセラーの指導のもと実施する。職業の選択に影響を与えるかもしれない傾向と興味はすべからく記録したほうがよい。 
  3. 選択と意思決定 選択と意思決定は初の2つの段階においても起きる可能性がある。またカウンセラーは、職業の選択はクライエントによりなされるべきであるということを心に留めなければならない。 
  4. カウンセラーによる分析 カウンセラーは、クライエントの意思決定の結果が、クライエントが探求しているものと整合性がとれているかを分析する。
  5. 職業についての概観と展望 カウンセラーの支援のもとクライエントの職業に関する概観と展望を支援する。カウンセラーは職業分類や職業、職業訓練の実施場所といった産業の知識に精通しているはずである。
  6. 推論とアドバイス この段階では、論理的で明確な推論と結び付けられた態度はとても重要である。 
  7. 選択した職業への適合 カウンセラーは、クライエントが選んだ仕事への適合と、意思決定に関する振り返りを支援する。 
マッチング理論の父、パーソンズ

パーソンズの「矛盾」が理論を強くした

パーソンズの歩みを改めて紐解くと、そこには単なる学術的な分析を超えた、本人自身の苦い「自戒」と「実体験」が息づいていることが分かります。

 

心理学的な感情論ではなく、「特性(A)と因子(B)を照合する」という極めて論理的・構造的なシステムが生まれた背景には、かつて身を置いていた法律家の世界がありました。証拠に基づき、客観的に事象を整理する法学的なアプローチこそが、この理論の骨格となったのでしょう。

 

また、「場当たり的な職選び」への強い危機感は、1873年の大恐慌でキャリアを根底から覆されたという痛切な過去に根ざしています。若者たちには自分のような不条理な苦労をさせたくない、科学的な根拠を持って道を選んでほしい――。パーソンズが抱いたこの切実な願いこそが、理論の原動力だったのかもしれません。

 

1892年から最期までボストン大学で教鞭を執り続けたことは、教育と法学の知見が融合する場所こそが、長い彷徨の末に見つけた「正解のマッチング」だったことを物語っているようです。

まとめ

今回は、アドラーとパーソンズを取り上げました。

アドラーは「目的論」「共同体感覚」「劣等感」「勇気づけ」。
パーソンズは「職業指導局」「特性因子理論」「3つの要素」「7つの支援段階」。

このように、人物名とキーワードをセットで整理しておくと、選択肢問題で判断しやすくなります。

次回も、試験で押さえておきたい理論家とキーワードを整理していきます。

メルマガ名:キャリコン試験対策メルマガ(第661号)
発行者  :夢ロープレ研究室
発行責任者:中島則生
発行会社 :ソーニョプランニング株式会社
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