2026年3月31日に、厚生労働省から「第12次職業能力開発基本計画」が告示されました。
この計画は、令和8年度から令和12年度までの5年間を対象とする、日本の職業能力開発政策の基本方針です。つまり、これからの国の人材育成、リスキリング、キャリア形成支援の方向性を示す“羅針盤”のようなものです。
当然、キャリアコンサルタント試験や2級キャリアコンサルティング技能士試験でも、今後かなり重要なテーマになります。
まず押さえておきたいのは、第12次計画を理解するうえで核となる「3つの視点」です。
それが、①個別化、②共同・共有化、③見える化です。
「個別化」とは、労働者や企業の事情に応じて、一律ではなく、きめ細かく支援していくという考え方です。年齢、働き方、雇用形態、企業規模、地域事情などが異なる以上、同じ研修を一斉に行えばよいという時代ではなくなっています。
「共同・共有化」は、特に中小企業にとって重要です。1社だけでは人材育成のノウハウや費用を十分に確保できない場合、産業単位、地域単位で企業同士が連携し、育成の仕組みを共有していくという発想です。
そして「見える化」は、スキル、職務、処遇、能力開発の機会などを可視化することです。何ができるのか、どんな仕事につながるのか、どのように処遇に反映されるのかが見えれば、労働者は主体的にキャリアを選びやすくなります。
さらに、第12次計画では、いくつかの重要キーワードも押さえておく必要があります。
まずは「労働供給制約」です。単なる人手不足ではなく、少子高齢化と人口減少によって、必要な労働力を確保しにくくなる構造的な問題です。だからこそ、多様な人材の活躍、継続的な能力開発、リスキリングが重要になります。
次に「人的資本」です。人材を単なるコストではなく、企業の成長を生み出す資本として捉える考え方です。能力開発への投資を通じて、企業の生産性向上と、個人の処遇向上・自己実現の両方を目指します。
そして「キャリアオーナーシップ」です。変化の激しい時代に、企業任せではなく、労働者自身が自分のキャリアを主体的に考え、学び直し、選択していく姿勢を指します。ただし、個人に丸投げするのではありません。ここで重要になるのが、キャリアコンサルタントによる伴走支援です。
ジョブ・カード等を活用しながら、経験や能力を棚卸しし、本人が自分の可能性に気づく支援を行う。これこそ、キャリアコンサルタントに期待される役割です。
また、スキル標準やキャリアラダー、job tagといった「見える化」を支える仕組みも、今後の学科試験では狙われやすいポイントです。名称を少し変えたひっかけ問題にも注意が必要です。
最後に、試験対策として大切なことを一つだけお伝えします。
迷ったときは、「国は一律の訓練ではなく、個別化・連携・見える化を進めようとしている」と考えてください。この大原則が分かっていると、不適切な選択肢をかなり見抜きやすくなります。
第12次職業能力開発基本計画は、単なる暗記項目ではありません。これからのキャリアコンサルタントに何が求められているのかを示す重要な資料です。学科対策としてだけでなく、実技や実務にもつながるテーマとして、ぜひ押さえておきましょう。