1. 英語教育改革の現場報告��
2. 新刊:バイカラーシール ~ たかがシール、されどシール ~

【1. 英語教育改革の現場報告~ 学校での英語実践レポート ~

 

6月~11月のさまざまな機会に小学校、中学校、高校の授業発表および実際の授業を見て参りました。ご存じの通り2020年には小学校、2021年には中学校の英語教科書が新学習指導要領に基づいて全面改訂されます。新学習指導要領・英語の改訂ポイントはざっと次の通りです。

  1.  4技能から5領域へ:Speakingが「やりとり」と「発表」に分けられ、実践的な英語が求められます。
  2. 反復ではなく、発話や発表などのアウトプットや表現する能力が重要視されます。
  3. 理解していることをどう使うか⇒「思考力、判断力、表現力」重視
  4. 授業時数:小3、小4は年間35時間、小5、小6は年間70時間。(中学は現状のまま変わらず)
  5. 語彙:中学3年間で1200語⇒1800語に。小学3-6年の4年間で600-700語。
  6. 文法:中学文法に仮定法、現在完了進行形、原型不定詞が入る(今は高校で履修)。*小5で習う過去形は非常に部分的。過去形を習って中学に行く、とは思わない方がよい。

 国の方針が大きく実践的な英語へと舵を切ったことはコミュニケーションの道具としての英語の必要性が学習指導要領に反映された意味で意義深いですが、地域や自治体によって状況は様々です。素晴らしい実践をされている学校は多々ありますが先生が変われば元に戻り、校長先生が変われば方針がガラリと変わる実態は簡単には解消されないようです。今年最後のメルマガでは本年参加した学会や授業実践の一部をレポートします。

  

1 小学校の実践:群馬県ほか複数の小学校の授業より

 

小学校では2018-2019年の移行期は文部科学省発行教科書Let’s Try(小3,4年用)、We Can(小5,6年用)を使うのが基本です。授業ではToday’s goalが日本語で黒板に示され、生徒は今やっていることを確認できるので教師が発する英語の意味を生徒は大体わかる様子でした。多くの学校で「○○についての表現を知り、言い慣れる」目標を掲げ、インプット⇒インテイクを工夫しながら実践していました。小学校では「フォニックス、チャンツ、ビンゴゲーム」が人気です。フォニックスはルール学習でカードもあるため導入しやすく、チャンツはリズムにのるので進行しやすく、ビンゴは誰もが楽しめるゲームだけあってスポーツや職業のカードを嬉々として並べる生徒達の姿がありました。教師の英語指示は、例えばプリントを配る時How many? と聞いたりPlease write your name.(プリントを渡して)、ビンゴではSpread your cards. Choose nine cards. 最後にカードを集める時はGather your cards.授業の最後に振り返りカードを渡す時Here you are.と言えばThank you.と返すことは習慣化していました。小学校の先生方は非常に多忙で、時には7時間授業をこなし他の教科も教える中、英語の準備が一番大変と仰っていました。リーダー的な役割を担っているある先生は「We Canは分量が多いため全部はやりきれず、生徒のために何かをプラスして取り入れる時間は取れない」と話して下さいました。

  

2 中学校の実践:英語授業研究学会・埼玉県の公立中学校の発表より

 

注目したのは、授業の最初の1分間トークや「基礎英語」を取り入れると共に「多量の繰り返し練習」と「意味を意識する」ことを両立させる5 ROUNDシステムという試みでした。これは『英語運用能力が伸びる5ラウンドシステムの英語授業』(金谷憲監修・著/西村秀之ほか著 大修館書店)が提唱しており、言語学習には繰り返しが大切という観点から教科書を5回繰り返して指導する新しい提案です。学会に参加した先生方はイメージができにくいようでしたが「英語を活用できるようになるにはしつこいほどの繰り返しが必要」という趣旨には多くの先生が理解を示していました。

  • 1ラウンド:リスニングによる大まかな内容理解(どんな場面が想像させる)
  • 2ラウンド:内容を理解した上で、本文で音と文字を一致させる
  • 3ラウンド:音読(正面で1回、右向きで1回、後ろ向きで1回、左向きで1回、正面で1回と計5回読んで着席させる)*生徒にたくさん読ませると同時に教師側が読みができていない生徒を確認できる
  • 4ラウンド:穴あきシートを使って音読
  • 5ラウンド:リテリング(自分の言葉でストーリーを伝える)  

 学会で授業講評をした先生は「登場人物が統一して出てきて感情移入しやすい教科書ならうまくいくかもしれないが題材によっては飽きてしまう。教科書によって向き不向きがある」と指摘されていました(横浜はじめ、いくつかの学校で成果をあげているので興味がおありの方は書籍をお読みください)。

  

3 高校の実践:英語授業研究学会・東京都の私立高校の発表より

 

「主体的、対話的な深い学び」や「即興的なやりとりを引き出す」ことを徹底しており、日々の授業で1.音読を大切にし、2.「いつでもchat」を授業内容に絡めて取り入れ、3.中間、期末の定期テストとしてプレゼンテーションを毎回おこなっていました。中学の段階では早口言葉(Tongue Twister)に挑戦させて英語らしい発音を意識させるなど、少し努力すればできそうな課題を多々工夫されていました。例を一部紹介します。


・ プレゼンテーションのフォーマット:AREA の順序で組み立てる。
 1. Assertion   2. Reason   3. Example   4. Assertion (大切なことは2度言う)

  トピック例): e-textbook is better than printed textbook.

 

・ 高校2年の期末テスト例:2つの写真(綺麗な海と、プラスティックゴミ等がたくさん浮いている海)を見せ、その写真の違いについて、指定したキーワード英語2語を使って書く問題を出していました。

 

なお、Debateは友達の意見に反論しなければいけないことに抵抗があるようで、ペアや個人でおこなうプレゼンテーションの方が多くなるとのことでした。

  

ご紹介した例はほんの一例ですが、発表されたどの先生方も新しい試みを導入する当初は生徒達が緊張し、沈黙し、なぜそんなことをするの?という空気が蔓延するが根気よく継続すると徐々に生徒が変わってくるので忍耐が必要。授業の上手な先生でも時に生徒の目線になりきれず、トピックが難しすぎたり、抽象的で皆が同じ英語になったりするとのことで、「いかに生徒目線に立つか」がどの現場でも大切であることを痛感しました。

 

【余談】Learning Worldではテキストを開いてレッスンを始めないことをセミナー等でお伝えしていますが、中学、高校でも教科書を最初に開くことをしないと発表する先生が増えたように感じました。(「この活動は閉本でやります」という表現だったので「ヘイホン??」と、意味がすぐにはわかりませんでしたが…苦笑)。次回のメルマガでは、これら学校教育の実態から見えてくる、今後の民間英語学校の役割についてお伝えします。

 

【参加した主な学会】
- 第48回中部地区英語教育学会静岡大会 6/23,24
- 英語授業研究学会 第30回全国大会 8/11,12
- 群馬英語授業研究学会 第83回例会(サマーセミナー)9/2 および授業見学  10/4
- 英語授業研究学会 関東支部第24回秋季研究大会 11/4 

【2. 新刊:バイカラーシール】

半分ブルー半分ゴールドのシールを作った理由

 

Learning World ではリスニングの宿題がマストです。毎回習ったページの音声を次週までに聞いてくる。次の授業時に先生が宿題チェックを1人ずつおこなう。リスニングの宿題ができていたらテキストにシールを貼ります。

① 宿題ページにスタンプを押す。
② 次週よく言えたらスタンプの上にゴールドシールを貼る。
① うまく言えなければブルーシールを貼る。
② 次週よくできたらブルーの上にゴールドシールを重ねて貼る。
このようにしてテキスト終了時には全てのシールがゴールドシールになることをめざします。ところが近年、ブルーシールを取り続ける生徒達が挫折から立ち直れず「できないから辞める」と言い出すケースがあるとお聞きしていました。「CDを聞いて頑張ってはいるが緊張などでスムーズに発表につながらずブルーシールの生徒」、「CDをろくに聞いてこないのでブルーシールの生徒」同じブルーでも頑張って聞いてきている努力過程を「見える化」するために“ゴールドまであと半分シール”の発売に至りました。

英語学習の継続には 1.小さい成功体験を積むこと(=きっと次もできると思える)、2.他の生徒がよくできる姿を見ること(=他人を観察することで自分もできると思える)、3.先生の励ましの言葉がけが大切ですが、幼い子供達には先生がどれほど言葉でフォローしても目の前の結果、シールの色が全てのようです。

 

この半分ゴールドシールは「ゴールドシールまであと一息」を意味しています。宿題チェックはレッスン内で5~10分程度で毎週おこない、ゴールドシールへと導きます。先日セミナーに参加頂いたあるスクールでは風邪をひいても疲れていても365日(!!)CDを流し続けたお母様がいるとのこと。「私は何も特別なことはしていないのにその生徒は発音も良く英語力が総合的にあがってびっくりです。年度初めに保護者の方にはリスニングの重要性を理解してもらってはいますが」と教えてくださいました。Learning World 著者の中本幹子先生曰く「子供だけじゃない、大人も見える成果はほしいものよ、いま楽器を習ってるけれどシールがもらえたらやっぱり嬉しいし、やる気になるもん」とのこと。成果は誰にとっても一目瞭然に勝るものはないようです。

→ LWシリーズの宿題チェックのシステムは こちらから

→ Bicolor Stickers(5シート入り/800円+税)は こちらから

【アンケートご協力のお願い】

「先生方に最も近い出版社」として、皆さまの声をもっとたくさんお聞きしたいと思っていますので、アンケートにご協力いただければ幸いです。※過去アンケートでは、大変参考になるご意見や、レッスンに関する悩み、ご相談、ご質問等を多くいただきましたので、今後何らかの形で回答させていただければと考えております。

今回アンケート項目は「2020年の公立小学校での英語教育改革へのご関心」、「生徒の好奇心を引き出すための工夫」、「プレゼントで欲しいアプリコット商品」です。 

ご回答いただいた方には、抽選で10名様に☟プレゼント!(3つの中から1つ選択)
① WELCOME PINK場面絵ポスター10枚セット
PINKのカードセットに入っているポスター10枚。折り目がボロボロの方は、こちらをゲットしてください。
② Award Stickers: Bicolor Stickers(240片)
12/2発売のBicolorシールをプレゼント!Goldシールまで「あと一歩だよ」という先生方の応援の気持ちを表すシールです。(3名様限り)
③ Learning World 地球ロゴ入りマグカップ(非売品)
ラーニングワールドのテキスト全巻の表紙に入っている地球の絵がマグカップになりました。
アンケートは こちらから。ご回答は2019/1/4までにお願い申し上げます。当選者プレゼントは2019/1/31ページ頃までに発送予定です。
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