【3.~好奇心と思い出が記憶を強化~ 有識者に学ぶ効果的な学習法③】
有識者に学ぶ効果的な学習法①と②(メルマガ10/11と11/1配信)では、復習のタイミング、復習の範囲、復習の方法について脳科学の視点から考えてきました。学習においては何よりも「復習」が肝要なのですね。今回メルマガでは、少ない復習で記憶を強化する秘訣について説明します。
そもそも記憶とはなんでしょう?脳科学者の池谷裕二によると、記憶とは、脳の神経細胞同士が長期的に結びつく「記憶の基(もと)」となる現象(専門用語ではLTP, long-term potentiation)によって作り上げられているそうです。この記憶の基(LTP)は、神経細胞を繰り返し刺激することで生じます。そう、この繰り返しの刺激が「復習」なのです。記憶のためには復習が避けられないと言えます。
でも、さほど復習しなくても記憶に残っていることはありませんか?人の話、テレビで見た出来事、本で読んだこと……どんどん流れては消えてゆく情報過多の世の中で、それでも自分の記憶に残っていることがあると思います。それは自分にとって興味のある内容だったのではないでしょうか?
より簡単に、記憶に残す秘訣の1つ、それは「好奇心」です。さまざまな脳波の中で「シータ波」と呼ばれるものは好奇心の象徴であり、わくわくしたり、ドキドキしたりして、好奇心が強く外に向かっている状態の時に強く出ます。反対に、飽きたりマンネリ化したりして興味が薄れると、シータ波は消えてしまうことが分かっています。重要なことは、シータ波が出ている時は、少ない刺激の回数で「記憶の基」が起こります。うまく刺激すると、繰り返す回数を80~90%も減らすことが可能だそうです!(『受験脳の作り方』池谷裕二)10分の1の復習で、同程度の記憶の定着がはかれるとは驚きです。
覚えようとする対象に「いかに興味を持つか」がいかに大切なことか…。先生方のクラスの中には、キラキラした目でレッスンを受ける子、つまらなさそうな表情で受ける子、どちらのタイプもいるかもしれません。どんなことに関心を持つかは人それぞれでしょう。子供一人、一人の興味のあることをまず見つけ出して、レッスンの内容と結びつけるという工夫が大事なのではないかと思います(→そんなレッスンを実践されているスーパー教師が
こちら)。
次に、記憶の基を引き起こすもう1つの秘訣は「思い出」です。「思い出」といった時、私たちには、楽しい思い出、悲しい思い出、辛い思い出など、様々な感情と絡み合った記憶として心に残っていると思います。その時に何かしら強い感情が湧き起こったからこそ、鮮明に覚えている。
なぜ思い出が記憶の定着を促すのか?池谷は、ヒトの進化の過程で、まだ野山をかけまわる野生動物だったころ、敵に会って感じた恐怖や、エサにありついた嬉しさといった感情が、その場所や状況にむすびつき脳にきちんと記憶されたと考えています。大昔は、感情を伴った記憶 = 生死を分かつ体験、だったのでしょう。
クラスの生徒さん達には、ぜひ楽しい思い出と一緒に英語学習をする機会を与えてみてください。APRICOTでは、やる気を引き出す感動体験として(認定校のみ対象の)夏や冬のキャンプをご案内していますのでご検討ください。
*2019年度Learning World 新規認定校・申請受付は12/1~3/末まで受け付けます。お申込の詳細は
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