こんにちは、高岡です。
今日は、半分フィクション、半分ノンフィクションの
ストーリーをお届けします。
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「次の来年のこのレースでは
4時間切りを目指すんだ。」
太田が所属しているランニングクラブでは
レース後に反省会という名の飲み会を開催するのが
お決まりとなっている。
今回のレースでは、クラブの同僚である内村が
自己ベストを約5分更新して
3時間55分39秒でゴール
見事、念願のサブフォーを達成した。
飲み会に参加している同僚たちは揃って
内村の快走を盛大に祝っていた。
「内村さんはスゴイよね。
練習量はクラブで一番多いし。
だいたい300kmくらい?」
同僚たちは内村の快走の理由を特定したくて
どんどん彼に質問を浴びせている。
「いや、今月は400kmだったよ。」
内村が、自慢げに応えた。
「ただただジョギングで距離を伸ばすだけじゃなくて
1000mのインターバルなんかも
週に2回はやったよ。」
それを聞いた同僚たちは
「やっぱ、そんくらい走んないと
サブフォーは無理だよね・・・。」
「内村さんを見習ってオレももう少し練習量増やさなきゃ!」
と口を揃え、太田に同意を求める。
「太田さんも今回はあんま良くなかったし
もっともっと走る距離と質を上げななきゃねー。」
それを聞いていた内村が
「太田さんは仕事が忙しくて
なかなか距離が踏めないんだよ。
やっぱ、マラソンやるんだったら
月間の走行距離を伸ばさないとダメだよね。」
と、太田の月間走行距離が少ないことを鼻で笑った。
今回のレースで太田は
自己ベストの4時間20分55秒を切るために
仕事の合間を縫って、練習時間を確保した。
しかし結果は、またしてもベストを更新できず
4時間32分21秒。
悔しかった。
なぜなら、太田と内村は
ほとんど同じ時期に走り始めたからだ。
クラブに入ったのもほとんど同じ時期。
しかし、内村は仕事の都合がつけやすく
練習時間の確保が容易な環境にいる。
方や太田は、土日も仕事があったり
残業も多かったりなので
練習時間の確保も難しい。
そんな中でも、どうにか時間をやりくりし
練習時間を確保して練習してはいるが
内村とはあまりにも環境が違いすぎて
クラブに入って2年経った今では
後塵を浴びせられるどころか
後塵すら浴びることができないような差がついてしまった。
悔しい。
オレだってもっとやれるはずだ。
同僚たちは内村の周りに集まり
成功の秘訣を聞き出そうと賑やかに飲んでいる。
太田の周りは対照的だった。
今回のレースで成績が悪かった数名と
しんみり、ジメジメしたお酒を飲んでいる。
「ドンっ!!!」
突然、テーブルに激しくグラスを置く音で
飲み会は一気に静まり返った。
この音の出所は、太田だった。
そして太田はすぐさま立ち上がって
「来年のこのレースで、オレは4時間を切る!」
そう宣言したのだった。
一瞬静まり返った場は
一気に爆笑の渦となった。
そして内村が笑いを抑えながらこう言った。
「太田さん、気持ちはわかるけど
今回だって4時間30分以上かかってんじゃん?
そんなに一気にタイム伸ばすなんてムリムリ!
しかも、練習量も満足に確保できないんじゃ
絶対無理だって!」
周りの同僚も、内村の言葉に大きく頷いていた。
そこで太田は、さっきのグラスに並々とビールを注ぎ足し
それを一気に飲み干すと
「裸足で走って、走り方を根本的に見直したいと思うんだ」
語気を強めて言った。
それを聞いた内村は肩をすくめ
ため息をつきながらこう言った。
「絶対やめた方がいいよ。
オレの知り合いにも、裸足で走って怪我をした人がいて
その人はその怪我がきっかけで走るのをやめてしまったし。
裸足で走るのがいいってのはわからなくもないけど
現実問題、難しいって。やめた方がいいよ。」
内村の周りにいた同僚たちも一様に頷いている。
しかし太田は内村の勧告を遮るように
「でも、練習時間がなかなか確保できないオレには
練習量や質を上げることじゃなくって
走り自体の質を上げる必要があるんだ。
そうやって、筋肉の無駄遣いを防ぎ
できる限り効率的な走りを身につける必要がある。
だからこその裸足なんだよ。」
場は、今の太田には何を言っても無駄だ、という雰囲気に。
さっきまで太田の近くで一緒に飲んでいた同僚も
いつの間にか太田の側から離れていた。
太田は、完全に孤立した。
空気を読んだ太田は
「ドンっ」
またも大きな音を立てて
テーブルの上に1万円札を置いて
帰る支度を始めた。
すると内村がワザと太田に聞こえるように
「もう太田さんが自己ベスト出すのは厳しいな。
走り方を見直しても
結局は走る量が月間200kmもいかないんじゃ
4時間なんて切れるはずないし。
努力の方向性を間違っちゃったねー。」
部屋を後にする太田の背中からは
太田に向けられた嘲笑しか聞こえなかった。
「もう、ここには戻らない。」
太田はそう誓って、飲み屋を後にした。
それから1年後。
あれからすぐにクラブを辞めた太田は
因縁のレースがスタートする直前に
内村とクラブの元同僚たちと出くわした。
「太田さん、久しぶり!あれから調子どう?」
半笑いの内村は続けた。
「よく怪我しないで、スタートラインにつけたね。
でも練習量は変わらないんでしょ?」
太田は静かに応えた。
「あの頃と変わらず、月間200km弱だね。」
内村は意地が悪そうな笑みを浮かべている。
「まあ、その走り込みじゃ
せいぜい4時間20分を切れるかどうかでしょ?
無理せず頑張ってー!」
太田の横を、内村とその集団が横目でニヤつきながら
通り過ぎて行った。
15分後、スタートの号砲が鳴り響くと
太田は4時間のペーサーが引っ張る集団に入った。
その中には、2回目のサブフォーそして自己記録の更新を狙う
内村の姿もあった。
太田の存在に気付いた内村は
「オーバーペースなんじゃないの?
後半脚が終わって、ペースダウンしちゃうよー」
いつものように、人を小馬鹿にするように言う。
しかし太田はそれを無視し
呼吸のリズムを整えることに集中している。
そうやって迎えた30km地点。
異変は起こった。
その主は、内村だった。
なんと、ペースダウンしている。
しかも、足を引きずっている。
明らかに、脚に異常がある走りだった。
どんどん集団から離されていく。
しかし・・・
太田は快調に走り続けている。
内村が集団から離れていく様子を横目で確認したが
それを気にすることもなく
ただただ自らの走りに徹していた。
「まだ、脚に余裕がある。
まだ、ペースアップできるぞ!
このままいったら4時間切りは確実だ。
あとは、今の力を出し切るのみ!!!」
残り10kmの標識を通過すると
グングンとペースを上げていった。
歓喜のゴール!
タイムは、3時間48分55秒。
サブフォーどころか
3時間50分も切ってしまった。
自己記録を30分も縮める
大・大・大自己ベスト!
ゴール後、太田は裸足で始めるようになって出会った
新しい仲間たちと打ち上げをしていた。
すると、横のテーブルには
内村と元同僚たちがやってきた。
これから反省会なのだろう。
しかし、どうも雰囲気が暗い。
内村が太田に気付き、不機嫌そうに聞いた。
「今日は少しは良さそうだったけど
どれくらいのタイムで走れたの?」
元同僚たちも、太田を見つめる。
すると太田は、バッグから記録証を取り出し
彼らの目の前にかざした。
「さ、3時間48分???
そんなバカな?月間に200kmも走ってないのに
サブフォーどころか、3時間50分まで切るなんて!」
内村は目を丸くした。
そして、内村の周りにいた元同僚たちは
ガバっと太田を取り囲み
太田がなぜこれほどまでに急成長したのかを特定するために
質問攻めにしていた。
ちょうど1年前。
遠目に見ていた、景色だった。
今は、その景色の当事者となっている。
「200kmも走ってないなんて嘘でしょ?
実は仕事が変わって、走る時間が増えたとか?」
「いや、仕事も相変わらずハードで
走る距離も、月間200kmもいってないよ。」
「じゃあ、なんでそんなに急激にタイムが縮まったの?
秘訣を教えて!」
「それは、1年前に言った通り、裸足で走り始めたんだ。
だけど、我流でやっても怪我をするだけだから
あるワークショップに参加することにしたんだ。
あの頃と違うのは、それだけだよ。」
1年前とは違う、美味しいお酒。
あの時の選択は、間違ってなかった。
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ぶっちゃけた話
僕のワークショップに来てもらって
フルマラソンのタイムを30分とか40分とか縮められる方は
結構いらっしゃいます。
それも、太田と同じように
走る距離は変わらずとも、です。
こないだのつくばマラソンでも
毎月コツコツとワークショップに来ていただいてる方で
Toe–Biも愛用いただいてるランナーさんが
45分もPB更新されました!!!
この方は、最初は踵からの接地する癖が
なかなか抜けなかったんですけど
最近走りが急激に良くなって来たんですよね。
しかし、45分って・・・笑
ビックリです。すごすぎ。
ゼロベースランニングのワークショップは
1回2回参加して、ガラッと走りが変わるなんて
そんなインスタントなもんじゃありません。
継続は力なり、ですよ。
「良いのはわかってるんだけど
少しでも時間があったら、走る時間にしたいんだよね」
確かにわかります。
でも、1日15分をゼロベースランニングのドリルを
やる時間に確保してみてください。
そうすれば、必ず体に変化が出てきます。
もちろん、やらなきゃ変化は起きない。
というわけで
まずはワークショップでお待ちしてますよ!
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