Ⅲ.【短時間労働者への被用者保険の適用拡大、および支援策について】(厚生労働省)
全世代が安心して働くことができ、老後の安心を確保するためには、働き方の形態に関わらず充実した社会保障制度の整備が必要です。政府は2019年12月公表の「全世代型社会保障検討会議中間報告」で、短時間労働者(週労働時間20~30時間未満)に対する被用者保険(厚生年金保険、健康保険)適用を義務とする企業規模要件の拡大を掲げました。
企業規模要件(現行:従業員数501人以上)の拡大については、2022年10月から従業員数101人以上、2024年10月から従業員数51人以上と段階的に実施することを決定するとともに、社内準備を円滑に進めるための専門家活用支援事業など様々な支援策を講じています。
1.短時間労働者への被用者保険の適用拡大について(概要)
(1)被用者保険の適用対象となる短時間労働者の要件
①週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
②月額賃金8.8万円以上(基本給、諸手当のみ。残業代、賞与等は含まず)
③2カ月を超える雇用の見込みがある
④学生ではない
上記のすべてに当てはまる労働者
(2)上記労働者の被用者保険加入が義務となる企業規模要件の拡大スケジュール
(現行:従業員数501人以上)
2022年10月~ 従業員数101人以上の企業
2024年10月~ 従業員数51人以上の企業
(3)適用拡大による主な変化
①企業側
・被保険者である従業員の厚生年金保険料と健康保険料の負担は労使折半のため、新たに被保険者となった短時間労働者についても、当該保険料の半額を事業主が負担します。
・「社会保険完備」となることで求人の魅力アップを図ることができるとともに、新たに対象となった従業員の意欲向上につながることが考えられます。
②短時間労働者側
・対象となる従業員は、新たに厚生年金保険に加入するため、基礎年金(国民年金)に加えて、老齢厚生年金・障害厚生年金・遺族厚生年金の給付を受け取れるようになります。さらに、企業が加入する健康保険の被保険者となることで、傷病手当金や出産手当金の給付が充実します。
※参照資料
○ 社会保険適用ガイドブック(厚生労働省)
○ 厚生労働省「社会保険適用拡大 特設サイト」
2.適用拡大に向けた企業の対応をサポートする支援策について
政府は、適用拡大の対象となる企業の円滑な対応を支援するため、以下の支援策を講じています。
(1)専門家活用支援事業
適用拡大対象企業に対して社会保険労務士を無料で派遣し、対応方針の検討、従業員への説明、手続きなどをサポートする事業です。詳細は、以下URLのチラシをご参照ください。
また、同事業を活用して、貴所主催の議員総会など各種会議、説明会・セミナーへ講師を派遣することが可能です。ご希望の場合は、以下の連絡先(年金事務所)へ直接ご相談ください。
○ 社会保険適用拡大 専門家活用支援事業
○ 連絡先 都道府県の代表年金事務所リスト
(2)よろず支援拠点
売上拡大や経営改善などの経営課題解決に向け、専門的な提案を行う事業です。
○ よろず支援拠点(中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業)
(3)中小企業生産性革命推進事業
中小企業基盤整備機構が中小企業の生産性向上を継続的に支援する制度です。
○ 中小企業生産性革命推進事業
(4)キャリアアップ助成金
短時間労働者の労働時間を延長した場合等に助成金を申請できます。
○ キャリアアップ助成金