先日、
宇都宮で開催された
自己基盤強化ワークショップに、
アシスタントコーチとして
参加してきました。
テーマは
「統合性を取り戻す」でした。
統合性という言葉は、
ふだんあまり使わないかもしれません。
コーチングの世界では、
英語の integrity の訳語として使われることが
多い言葉です。
integrity は
「誠実さ」とも訳されますが、
もともとは「全体として欠けがなく、
ひとまとまりになっている」という
意味を持っています。
つまり統合性とは、
道徳的な正しさのことではなく、
自分の内側と外側、
思っていることと言っていること、
大事だと感じている価値と実際の行動が、
一致している状態のことだと
解釈しています。
逆に、
この内と外が一致していない状態を、
ここでは「不一致」と呼びます。
この「統合性を取り戻す」は、
コーチングの父と呼ばれる
トマス・レナードが提唱した
自己基盤
(パーソナル・ファウンデーション)の
10の柱の一つです。
ただ、私には、
統合性は他の柱と 横並びの一項目というより、
他の柱の状態が
そのまま表れる場所のように
感じられます。
たとえば、
本当は嫌なのに
受け入れて我慢していること、
つまり妥協を抱えたままでいれば、
嫌だという本心と
受け入れている行動との間に
不一致が残ります。
気になりながら手をつけていないこと、
つまり未完了を放置していれば、
片づけたい本心と、
そのままにしている現実との間に
一つひとつの柱で
手をつけずにいたことが、
不一致となって集まってくる場所、
それが統合性なのだと考えています。
ですから、
統合性に向き合うことは、
結局それぞれの柱を一つずつ
見直していくことでもあります。
私が改めて考えさせられたのは、
統合性が崩れるきっかけに
ついてでした。
大きな嘘をついたとか、
誰かを裏切ったとか、
そういう劇的な出来事だけで
崩れるわけではありません。
もっと日常的なものでも
崩れることはあると思うのです。
本当はやりたくないのに
引き受けてしまう。
大切にしたいと言っている価値を、
日々の選択では後回しにしている。
こうした小さな不一致が
積もっていくと、
自分の言葉や決断に対する信頼が、
少しずつ目減りしていきます。
「統合性を取り戻す」とは、
具体的に何をすることなのか。
私なりに三つに整理しました。
一つ目は、
自分の中での不一致に
気づくことです。
どこで自分が無理をしているのか、
どの場面で本心と違うことを
しているのかを、
見える形にする作業です。
二つ目は、
何を大切にするかを
はっきりさせることです。
気づきから見えてきた
取り組むべきことに、
いっぺんに手をつけることは
できません。
自分にとって
何が本当に大事なのかを決め、
そこから手をつけていくことに
なります。
三つ目は、決めたことを、
自分との小さな約束にして
積み上げていくことです。
大切にすると決めても、
行動が伴わなければ
また不一致に戻ります。
だから、
いきなり大きく変えようとせず、
確実に守れる小さな約束から始めて、
守れた事実を一つずつ
積み重ねていく。
この小さな積み重ねが、
減ってしまった自分への信頼を
回復させていく、
もっとも地道なやり方です。
これは自己基盤の
「基準を引き上げる」とも
重なります。
基準とは、
自分が自分の内側でしている
約束のことだからです。
統合性は、
一度達成すれば終わりという
到達点ではないのだと思います。
生きている限り、
不一致は生まれ続けます。
だから、気づいては整え直す、
その反復そのものが
統合性のある状態なのだと
私は思います。