正しいことを言ったはずなのに、
その場の空気が悪くなった。
相手が黙り込んだり、
急に強い口調で言い返してきたり。
そういう経験はありませんか。
たとえば、
マンションの管理組合で、
本来は全体で話し合って決めることを、
ある人が一人で進めていた。
あなたは
「これ、みなさんに確認しました?」
と聞く。
責めたつもりはありません。
ただ確認しただけです。
でも返ってきたのは、
「誰もやらないんだから、
しょうがないでしょう」という
言葉だった。
それ以上、話す余地がない。
言っていることは、
あなたの方が正しいはずです。
それなのに、
なぜ届かないのか。
正論を言っているとき、
私たちはたいてい、
本当のことを言っていません。
さっきの場面で、
あなたが引っかかったのは、
「手順が守られていない」ことでは
ないかもしれません。
ちゃんと自分の意見を
聞いてもらえた
気がしなかったこと。
こちらの言い分が、
軽く流されたように
感じたこと。
そこに寂しさが
あったのかもしれませんね。
でも、それは言いにくい。
「話を聞いてほしかった」
と口にするのは、
少し子どじみて感じることも
あるからです。
だから正しさで覆い隠す。
やっかいなのは、
覆い隠していることに
本人が気づいていないことです。
「本来はこうすべきですよね」と
正しさで迫られた相手は、
責められたとしか
受け取れません。
だから話は前に進みません。
そして正論は、
簡単にひっくり返ります。
「本来は全体で決めるべきだ」
という主張は、
「そこまで大げさな話じゃないでしょう」
と返された瞬間に、
根拠を失います。
本当に言いたかったのは、
そこではないのに。
だから、
正論をぶつけたくなったときこそ、
いったん立ち止まってみて
ほしいんです。
そして、自分に聞いてみる。
私は今、
どんなふうに扱われたと
感じているんだろう。
軽く扱われた気がしたのか。
ないがしろにされたようで
悲しかったのか。
置いていかれたようで
寂しかったのか。
その場では難しければ、
あとで落ち着いてからで
かまいません。
振り返ってみると、
それだけで気持ちが少し
収まってきます。
さらに、
そこから先が大事なところです。
本当の気持ちに気づけると、
伝えるか、伝えないかを
自分で選べるようになります。
言えずに黙り込むのと、
分かった上で
「今回は言わない」と決めるのとは、
全然違います。
前者はもやもやが残り、
後者は残りません。
自分が本当は何を感じていたのか。
その奥で、
自分は何を大切にしているのか。
そこまで分かって、
はじめて相手に伝わる言葉が
出てくるのです。
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つい相手を優先してしまう、
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