この連載では、
伝える側の話を書いてきました。
今日は、反対側の話です。
伝えられる側になったとき、
どう受け取るか。
たとえば、こんな場面です。
仲間うちの集まりで、
次の予定を決めた日がありました。
その場にいなかった一人から、
後日、こう言われます。
「この前、
私がいないところで話が決まってたの、
ちょっと寂しかった」
さて、どう返すでしょうか。
とっさに出やすいのは、
こういう返事です。
「そんなつもりじゃなかったよ」
身に覚えがないから、
まず訂正したくなります。
悪気はなかった。
軽んじたわけでもない。
それは本当のことです。
でも、考えてみてほしいのです。
相手は、
あなたを責めているのではありません。
ただ自分の気持ちを伝えています。
「あなたが悪い」ではなく、
「私は寂しかった」と言っています。
それなのに
「そんなつもりじゃなかった」と返すと、
話は気持ちの話から、
つもりがあったかなかったかの
話に変わります。
相手が勇気を出して伝えた気持ちは、
受け取られないまま宙に浮きます。
では、どう受け取るか。
まず、そのまま受け取ることです。
「そうだったんだ。寂しかったんだね」
同意ではありません。
謝罪でもありません。
この連載で書いてきた通り、
同じ出来事でも、
引っかかる人と平気な人がいます。
大切にしているものが違うからです。
あなたに悪気がなかったことと、
相手が寂しかったこと。
この二つは、
両方とも本当のことで、
ぶつかりません。
だから、
どちらかを引っ込める必要はないのです。
相手がそう感じた。
その事実を、そのまま受け取る。
そして、受け取ってからなら、
同じ言葉が違って届きます。
「そうだったんだ。寂しかったんだね。
全然そんなつもりじゃなかったから、
言ってくれてよかった」
先に受け取れば、
「そんなつもりじゃなかった」は、
訂正ではなく、
安心してもらうための言葉になります。
言葉そのものを変える必要は
ありません。
順番が変わるだけで、
話の行き先はまるで変わります。
今日の一問です。
誰かに気持ちを伝えられたとき、
返事をする前に、
一つだけ確かめてみてください。
私はいま、
相手の気持ちを受け取ろうとしているか。
自分を守ろうとしているか。
守りたくなるのは、自然なことです。
責められたように聞こえる瞬間は、
誰にでもあります。
ただ、
相手はあなたを責めているのではなく、
自分の気持ちを伝えています。
先に受け取ってから、
自分の話をしても、遅くありません。
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