雲間を抜けて、着陸までの15分は宝物の時間だった。
安井泉先生が『ことばから見る英国文化論』の中で、ロンドン行きの飛行機は左の窓側を勧められていたので、座席指定をしておいたのが大正解。おとぎ話に出てくるようなお家が、道路に沿って整然と並んだ美しい街並みを存分に堪能することができた。
もっとも「左の」というのは、安井先生が上の研究報告書を書かれた当時にヒースロー空港の上空を左旋回して着陸をしていた事情があってのことなので、現在は左右どちらでも構わないかもしれない。それでも、ロンドンに向かう時の飛行機の座席は窓側をぜひ勧めたい。
思うに、旅先に向かう交通機関の窓から、目的地が近づいてくるに連れて見えてくる景色は、物語の
prologueであろう。